和哉、未知との遭遇
春隣 豆吉さんの春恋ショコラとのコラボです。オッケーしてくれた豆吉さんありがとうございます。
営業先での休憩を兼ねて立ち寄ったコンビニで和哉が見たものは?
会社では有能な課長として知られている和哉であるが、その実態は彼女を溺愛中の健全な肉食系男子である事は意外に知られていない。
その日の午後もいつものように外周りをして、休憩と称して県立高校の近くのコンビニに寄っていただけだった。
「お願いだからこれ一緒に買って食べようよ」
「い・や・だ」
「あいちゃんったらぁ。僕が食べさせてあげるからぁ」
「だが断る」
草食系の優男が、必死になって彼女におねだりをしている。二人の前にあるのはこないだ愛しい彼女が残業しながら食べていた『初恋ショコラ』だ。
なんとなく、この二人のやり取りが気になってしまった和哉は商品を探すふりして二人を観察する。
どうみても、高校生のカップルに見えるのだが、やり取りの間の取り方とかがかなり年季が入っている。
幼馴染から恋人に昇格したって所だろうか?二人は相変わらず売り場の前で夫婦漫才を繰り広げる。
「買ってくれたら、今夜のマッサージもするから」
「本当に?」
「するする。それに明日はもっと優しく起こしてあげるから」
「絶対に?まあくん、約束だからね。分かってる?」
「やったぁ。あいちゃんってば、だぁいすき」
「そうそう、約束忘れたら、マックスコーヒーで一気飲みさせるよ」
「ソレは・・・無理です。約束守ります」
結局、二人はケーキを買って帰って行った。
アレが…ちょっと前にはやったツンデレってやつだろうか?それとも羞恥プレーか何かだろうか?
俺はもう出会う事がないだろう、まあくんに密かな同情を抱いた。
そして、今の光景を俺と彼女がしたらどうなるだろうかと考える。
彼女はぷりぷりしながらもケーキを買っていいと言ってくれるだろう。
そう思うと嬉しくなって、思わずケーキを二つ買ってしまった。
コンビニを出て気がついた。今の俺の居場所は千葉。俺のホームタウンは東京23区。ちょっと離れすぎだ。
俺は、彼女の社内アドレスにメールを送る。所要ができたので、今日は直帰すると。
次に彼女の携帯にメールを送る。定時で俺の家に来るようにと。
帰りの電車の中での俺はこれからどんな事が起こるのか、それだけを想像するだけで非常に機嫌が良くなるばかりだ。
けれども…マックスコーヒー一気飲みは絶対に拷問だと俺は信じたい。
ちょっとだけ、千葉スピリットが理解できない瞬間だった。
この話の続きは午後7時に春隣豆吉さんが公開します。しばしお待ちください。
千葉スピリットだからってマックスコーヒーは一気飲みするものではありません。
千葉県民はいつでも海の側の夢の国には行きません。
同じ千葉県内でも出身地によってはかなり違います。
のんびりしている人が多いのはあながち間違ってませんけど(笑)