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ケーキを買ったその後は?

和哉、未知との遭遇の後の話です。

まあくん、甘いですが男の子しております。

「あいちゃん、ケーキは冷蔵庫に入れたからね」

「ありがと、まあくん」

私を甘やかす事が当たり前の日常と言いきる彼氏が当たり前のように私のおやつの用意をする。

「僕、このままおやつとお茶の支度するから、あいちゃんは着替えておいでよ」

「えっ、でも……」

「それじゃあ、僕が脱がせてあげようか?何もしない自信はあるよ?」

極上を笑みを貼り付けて、彼が耳元で囁く。

この人が言うと、本当に無傷で着替えをしてくれそうだ。

ブラジャーをするまでは、一緒に着替えてたものなぁ……いつまでもお子様と思っているのかしら?

「それならお願いしてみようかしら?私が子供体系って言いたいの?」

「そんなこと思ってないよ。僕はがっついていないって言いたかっただけなのに。そりゃ据え膳だけどさ……」

どんどんまあくんの言葉が小さくなる。単純に着替えて欲しかっただけか。

ちょっとやりすぎたかな。

「分かった。すぐに着替えて来るね。ところで今夜はどこで食べるの?」

「それなんだけども、今夜あいちゃんちにお泊まりでもいい?」

「はあ?」

「だって、母さん週末までインドネシアに出張だもの」

そうですか……。着替えを持ってくれば家でも生活可能だね。うちは平気だろうな。

問題なのは寝る場所よね。私が文句を言っても意味ないって事は分かっているんだけども……。

「どうせ、母さんたちも知っているんでしょう?いいわよ。お泊まり」

私が諦め半分で言うのに対して、まあくんは尻尾がちぎれないか不安になるくらいぶんぶん振り回しているブルテリアみたい。

まあくんの顔がブルテリアみたくいかつくはないよ。あえて言えば……ビビッドの双子みたいな受け入れやすい顔。

イケメンの入り口に佇んでいそうだけども……本人がアレじゃあねぇ。ちょっと残念だと思う。



とりあえず、いわれるがままに制服を着替えることにした。

ゆったりして、シンプルな服が好きだから、自然とユニクロや無印良品が多くなる。

でも高校生のおこずかいだと無印はちょっと高い。早くバーゲンにならないかなぁ。

とりあえず、無印のロングスカートにユニクロの綿のシャツ。

その上に、ニットのカーディガンを羽織った。地味と言えば地味。でもそれが好きなのだから。

私は再びダイニングに戻ることにした。

ダイニングに戻ると同時にまあくんが家に一度帰ると言って出て行った。

アレだ。着替えと学校の教科書類をもってくるんだろう。

週末までおばさんが帰って来ないってことは、週明けまではいるってことだから。

まあくんのおじさんは今、単身赴任で大阪に行っている。

関東で虎キチなおじさんは、この単身赴任を取っても楽しんでいるそうだ。

うちの両親は地方公務員だから……県を越えて異動って基本的にないものね。

母は近くの支所で、父は県庁で働いている。二人とも近いので自転車通勤だ。

私の将来……何になりたいんだろう?その為の勉強なのは分かるけど、何をしたいか?そのビジョンがない。



「あいちゃん?どうしたの?眉間に皺がついてるよ」

いつの間にか戻ってきたまあくんが私を覗き込んでいた。

すぐにキスが出来る位の至近距離。じっと私を見つめている。

さあ、どうしようか?素直に悩みを打ち明けるか?それともはぐらかすか?

「進路?何になりたいか決めていないんでしょう?」

「うん。とりあえず、近い大学に行ければいいと思うから、国立受験を考えてるよ」

「っていうか、近くの国立は十分受かるでしょう?先生から反対されていない?」

「私?それはないよ。こないだの進路面談で先生がうなだれていたけど」

「どうして?」

「私、キャリアウーマンにはなれないと思うからね。さっさと家庭に入った方がいいかなって」

「なるほどね。で、どういった方向な訳?」

「とりあえず、法学部に入って何処かの弁護士事務所とか会計事務所に入って事務をしながら奥さんしたいなって」

私のこの性格だと、総合職だと苦労するのは十分分かっているから、事務所系に潜り込みたいと思っている。

幸い、県庁の周りにはそういった事務所はたくさんある。アルバイトのままでもいいかも……そんな事も思っていた。

「安心して。僕の嫁になるのならね。お金は……とりあえずもう少し溜めたいから待っててね」

なんか、今スル―してはいけない発言があったような。僕の嫁……ぼくのよめぇ?

「まあくん、いつからまあくんの嫁な訳?」

「うーん、それしか考えたことないよ。あいちゃんが奥さんにならないなら結婚する意志もないし。あっ、僕の両親も知っているよ」

えっと、突っ込みどころ満載なのですが……どこから突っ込んでいいんでしょう?

「私が他の人と結婚する可能性はない訳?ねえ?」

どっかのラノベとか薄い本じゃないんだからさ……もう少し冷静に考えようよ。

「嫌?僕の嫁になるの?」

「だから、その言い方が嫌なの。ラノベ読み過ぎ」

「あの……僕そんなにラノベ読んでないんだけど……今。それより今は……止めた。やっぱり内緒」

何か……開いたらいけない扉を開けてしまった感があるけど……今は見なかったことにしようっと。

「ふうん。ま、いいや。お金って、何の事よ?」

「ん?僕個人投資家。高校に入ってから株投資してるんだよ。もうちょっとしたら、近くの更地位買えるよ」

サラリと言ってのけたけど、普通じゃないよね。まあくんの家って普通のサラリーマンだよね?

それとも違うのかな?何も知らない自分が少しだけ怖い。

「あいちゃん?また眉間に皺。可愛い顔が台無しだよ。僕の家の事はそのうち教えてあげる」

そう言うと、頬に軽くキスが一つ。まあくんは鼻歌を歌いながら、キッチンに行ってしまった。



「お待たせ。おやつにしようか」

まあ君が用意してくれたのは、初恋ショコラとコーヒー。

ブラックコーヒーって苦手なんだけども、アメリカンなら飲めるようになった。

「ありがとう。このケーキは、コーヒーの方が美味しいと思う」

「そうだね、僕もそう思うよ」

リビングのローテーブルにおいて隣に寄り添う。

リビングはまた陽射しが入るのでエアコンは入れないでも十分だけども、隣に彼がいるのだから温もりが恋しい。

「ん?寒い?ヒーター入れる?」

「ううん。こうしたいだけ。ヒーターはいらないよ」

「分かった。確かに人恋しいってことかな。それならどうぞ」

暫くそのまま私は彼にぴったりと寄り添っている。

ちょっと前なら、人の体温は苦手だったのに、彼は平気になっている。

とがっていた自分がどんどん丸くなっていく。それはいいことなのだろうか?

「あい、口開けて?」

「ん?」

言われた通りに口を開ける。スプーンに載ったケーキが口の中に入れられた。

暖かい部屋で食べる冷たいケーキ。アイスよりはこっちの方が好き。

「おいしい?」

「うん。おいしいよ」

「そっか。それじゃあもう一口どうぞ」

自分でも食べれるんだけども、彼がやりたい意思を尊重することにした。

ケーキはどんどん私の口に消えていき、やがてケーキは無くなった。

「ご馳走様でした」

私はいつもの習慣で幼児の様に手を合わせた。


「ねぇ?あい?」

食べ終わってご満悦な私に彼が耳元で囁く。私の名前を呼ばれただけなのに粟立つのが分かる。

「ん?何?」

「ケーキと僕のキス……どっちが好き?」

あぁ、これを言いたい為にこうなるように仕向けたんだ。

私にはべったべったに甘いまあくんだけども、確実にNOと言わせないようにするんだよね。

それだけ想われてるのは嬉しいけど、普通の人だと重たいだろうな。

そんな彼は私にはぴったりか。ってことは、ここで答える答えは一つだけ。

「私、欲張りだからどっちも好きよ」

彼は満面の笑みを貼り付けて私の見つめる。あぁ、彼のスイッチを入れてしまったようだ。

「それでは、リクエストにお答えします。返品はできません」

そう言って、彼はキスをする。啄ばむように始まったキスは暫くは終わらないようだ。

っていうか、キスって返品があるの?そういうもの?やっぱりまあくんの考えは分からないなぁ。

キスをしながらそんな事を考えている。やがて唇が離れた。

「僕以外の事を考える余裕のある子にはお仕置きです」

「ちょっ、お仕置きって何?それにまあくんしか考えてないし」

「何も聞きたくありませんっ」

噛みつくように荒いキスを受けて、もう考える事を放棄した私なのでした。



お仕置きに弱い女子は絶対にいると思う。私?否定はしない。


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