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喧嘩の後には

ともくんとともこさんより

本格的は喧嘩をした二人は?

「とも君の分からずや」

「ともこさんだって、強情なんだから」

「ごめん、暫く個室にいるから」

「そうだね…少しクールダウンが必要ね」

「それじゃあ」



この捨て台詞で、私達が冷戦に突入したのは今から2時間前の事。

切っ掛けは、今夜のご飯だった。

おろしハンバーグが食べたい私とデミグラスソースで煮込まれたハンバーグが食べたい彼の些細なものだったはず。

2歳年の離れた彼と付き合い始めて1年と少し。一緒に暮らし始めてから半年弱。

春休みに、大学から近くてもう少し広い物件に移ってきてから…初めての喧嘩かもしれない。



彼は勉強部屋に引っ込んでしまった。彼はしっかりとご飯が今夜は食べたかったって事は分かっている。

けれども、税理士試験の勉強で少し煮詰まっていた私は少しさっぱりとしたものが食べたかった。

多分…私のイライラが彼に伝染してしまったのだろう。そんな自分がまだまだ幼いなぁと実感する。

時間は午後4時。ハンバーグの種は既に成形済みで冷蔵庫で待機している状態。

付け合わせの野菜たちも軽く下ゆでしてあるので、電子レンジで再加熱すればいいだけだ。

私達の仲がこれで終わるとは思っていない。けれども…どうしてもおろしハンバーグが食べたかったのだ。



結局、私は煮込みハンバーグを作ることにした。

それと同時に、大根のサラダを作れば結果としては同じだと思う事にした。

それにしても、本格的な初めての喧嘩が、ハンバーグとは…苦笑いしか出てこない。

後は弱火でゆっくりと煮込むだけになった私はリビングにあるテレビをつけた。

春に、本格的な引っ越しをした。今までも大学から徒歩5分だったけれども、今度は徒歩3分だ。

今まではちょっと広めの1LDKだったけれども、今度は3LDKの賃貸タイプ。

前の部屋は、分譲で購入したので、賃貸にして家賃収入を得ることにした。

同時期に就職の内定も貰えたので、後は税理士試験と卒論だけに集中するだけだ。

この部屋に越してきてから、少しだけ人の出入りが多くなった。

彼の友人だったり、ゼミの仲間だったり。少しだけ私の世界が広がる。

それは凄く嬉しいし、楽しい。けれども…私と実家の関係は相変わらずだ。

むしろ、緩やかに悪化している。もう、生前贈与してもらって相続放棄してしまいたい位に悪化している。




ぼんやりとテレビを眺めていると、今話題のアイドル画面一杯に移る。今話題の初恋ショコラのCM。

全部でかなりのパターンになるCMに釘づけになる。今見ているのはロングの30秒の方だ。

この喧嘩をするかなり前に、彼と頬を染めながらコンビニに買いに行った事を思い出した。

やっぱりね…コピーが凄いと思うんだ。『ケーキと僕のキスどっちが好き?』だなんて。

CMを見ながらも、その時を思い出して照れてしまう。

一緒に暮らしているから、体の関係ももちろんあるけれども…それはやっぱりそれな訳で。

今日のパターンは、高校生カップルの他愛のない言い合いから始まる。

やがて彼氏役のアイドルが腕を取って引き寄せる。そして耳元で囁くのだ。

「なあ、これで仲直りしようぜ。お前好きだろ?このケーキ。」

「うん、好きだね。でも…」

アイドルは更に引き寄せて、ケーキのパッケージを片手に彼女の耳元で囁くのだ。

「ケーキを食べた後は、僕がいっぱいキスしてあげるね」

そして、頬にキスを落してCMは終わるのだった。

暫く呆然としていた私は、キッチンに行って煮込みハンバーグの火を止める。

そしてお財布を掴んでコンビニに向かって走り出した。



いつもは彼に身を委ねちゃうけれども、こんな時位は私から仕掛けてもいいと思わない?ともくん?


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