裏話「学園管理者」
~???~
薄暗い部屋にパソコンとモニターが数台ある。パソコンに映し出されているのは、表計算のようなもの。モニターに映し出されているのは、体育館、廊下、教室、食堂と様々である。
そしてその部屋でコーヒーを飲みながら座っている男の人がいた。
「まったく、中の監視くらいもっと下の奴に遣らせればいいのによ。」
そんなことをぼやきながら、モニターをたまに見つつコーヒーを飲み、さらにパソコンに向かっていた。
すると
ウィーン
自動ドアが開き、白衣を着た女が入ってきた。入ってすぐ男に近寄り男に話しかけた。
「どうやら真面目にやってるみたいね。」
そう女が言うと男は少しいらついて話し始めた。
「そう見えるんだったら、とっとと別の場所に俺を移してくれ!こんなのはもっと下の位の奴がやればいいんだよ。」
「そうはいかないわ。」
「何故だ!!」
女は一回ため息をついて答えた。
「簡単なことよ。あなたより下の位の人はこの建物ではなく、大半が学園の職員として送りだされているからよ。」
「くそっ!!」
「分かったら監視を続けなさい。京次。」
「ちっ!分かったよ。続けりゃいいんだろ。」
再びパソコンやモニターに目を向かわせた。
「そう。じゃあね。」
女は一言そう言い、部屋を出た。
部屋の外の廊下は打って変わり、白を基調とした明るい壁で統一され、実際に電灯で明るくなっている。
向こうから少し、年上の男が歩いてきて話しかけてきた
「やあ、管理者の仕事についた彼はどうだった?嬉しそうだったかい?」
「どうもこうも、あんな仕事に嬉しがる人はいないと思いますが。真面目にはやっていると思いますけど。」
「そうかいそうかい。真面目にやっているのならそれでいい。琉穣君。後で彼に伝えてもらえるかな。」
「何をでしょうか?」
「監視の中でも、森の入口や海岸を特に見張るようにと。」
琉穣は言われた意味がイマイチ理解できなかった。
「何故そのような敷地の中でも遠い場所を?」
「うむ。遠いからこそ監視がいるんだよ。」
「?」
琉穣が意味不明な顔をして首を傾げていると、それを察したように話し始めた。
「今年、学園で5年に一回のイベントがあるのは知っているね。」
「はい。それは知ってます。」
「そのおかげで今年は少ないかもしれないが、やはり絶対毎年いるんだよ。」
「何がですか?」
一つため息をついて、琉穣の質問に答えた。
「・・・脱走者だよ。」
「え?でも、この敷地の中でできないことなんてほとんど無いはず一一一」
「確かにその通りだ。しかし必ずいる。仲間がいるせいなのか毎年後をたたないんだよ。」
「・・・」
「だから頼んだよ。」
「分かりました・・・」
琉穣は来た道を戻っていった。まったく想像のしていなかったことだったからだ