表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

1話「学園生活?」

文武両立という言葉がある。


意味としては、学生の身分であれば分かると思うが、勉強と部活動を両立することである。


はたして、それが思うようにいく学生が一体どれだけいるのだろうか?

必ずではないにしろ、勉強が疎か、又は部活動が疎かになる人が少なからずいるばずである。



そして、最悪どちらも疎か・・・というのは同情はできないので、ついていけなくなった。とでも言い換えておこう。そう言う人も中には存在する。


何故こんな盛り上がりに欠けるようなことを話題に出しているのかと言うと、今現在僕の目の前にいる人の境遇がまさにそれであるからである。


「やっぱり考え直せよ。そんなことをしても、みんなが悲しむだけだ。」


僕は目の前の友達に説得を試みている。すると目の前の友達は絶望に屈したような顔で僕に返してきた。


「お前には分からないんだよ!ショウカ!お前みたいに俺は勉強もできないし、運動もいまひとつだ。それなら俺なんかは消えたほうがマシだ!」


どうしても、説得には応じてはくれない気配だった。とうの本人は本気みたいだが、どうしても同情はできない。


「(文武両立ができないから、自殺なんてな・・・)」


だが事は深刻だ。なんとかして止めないと大切なものを失ってしまうことになる。こうなったら捕まるなり、気絶させるなりするしかない。しかし


「俺は何と言われようと、本気だからな。そこから一歩でも近づいてみろ。すぐにここから飛び降りてやる。」


ここは学校の屋上しかも、相手は手摺りの向こう側。近づけば飛び降りると言っている。やっぱり説得するしかないみたいだった。


「なあ、頼むから考えを変えてくれ。勉強が出来なくても楽しいことが沢山あるじゃないか。」


これが最後の説得になるかもしれない。




「楽しいこと・・・そんなもん。」


「無いって言うのか。じゃあお前がクラスでみんなと楽しく笑っていた感情は嘘だったのか。」


作り笑いには限界がある。どんなに、例え自殺したくなるような立場の場所でも楽しい事が必ずあるのだ。


「っつ・・・」


「(よし手応えありだ。もう少しで助けることができる。)」

僕は最後の押しに入る。


「生きてれば、良いことがたくさんあるんだ。だからこっちに戻ってこい。」


僕は最後の説得を終了させた。これで靡いてくれなければ、僕は友達を一人失うことになってしまうのだろうか・・・

そして数秒、冷戦のような間が続く。そして


「・・・分かった。お前の言う通りだな。死んだら何もないもんな。今からそっちに戻る・・・」


俯いている顔からその言葉が聞こえた。しかし俯いている顔はすこし笑顔があるようにも見えた。

とにかく一件落着といいますか。これでまた普段の生活が・・・


ガコン!


・・・今の音は・・・?




一体、何が起こったのだろうか?

僕は今まで、友達と話していたはずだ。そして数秒前に説得に成功した。したはずだ。だが・・・


「なんで?なんであいつ、手摺り事いなくなってるんだよ!」

最悪の事態が本人の意思ではなく起こってしまった。僕は、手摺りの無くなっている部分に走り屋上から下を見た。


そこには絶対に受け止めるのが無理な残酷な現実の光景があった。


「・・・嘘だ・・・嘘だ!!」

僕はその場で、頭を抱え額をコンクリート作りの屋上につけるような体勢で、叫んでいた。


叫んでも変わらないのは分かっていたはずなのに。




その場所でどれだけ同じ体勢でいたのだろうか・・・変えられなかったのか、あいつは望み通りで納得したのか?

僕は立ち上がり空を見上げる。

「何も変わらなかったんだ。説得しようと、しまいと・・・」

涙は流れなかった。




僕が立っている屋上に今、あるもの、僕と材料のコンクリート、吹き抜ける風、そして・・・










「カット!!カット!!」

・・・空気を読まない叫び声?



~琴結学園 中央校舎 屋上~



「カットって言ってるんだから早く戻ってきなさい!」僕は空気をぶち壊した犯人のもとに駆け寄る。


「ちょっと待て、ここまでやらせておいてカットは無いだろ!?一体何が駄目なんだ?」


ここまで本気でやらせておいて中断は納得できなかった。僕はもっともらしい答えだけを希望した。


「カットの理由?まず一つ目、リアリティが無いわ。」


「今、そこ言うの!?撮影が始まる以前に指摘してくれよ!!」


「次に二つ目。」


完璧に無視で話しを進め始めた。


「涙がながれてない。」


「はい?」


すると、監督は機嫌が悪そうに答えた。


「『はい?』じゃなくて、涙よ!涙!分かる?こういうシーンでは流すのが普通でしょ!」


なんという、無茶要求だと思った。


「プロでも無いのに簡単にできるか!」


「とにかく!下の方に伝えて、みんなも今日は一旦解散!」


「お、おい・・・」


そう言い、スタスタと台本だけ持って帰ってしまった。その後、撮影の邪魔にならないようにと物陰に隠れていたみんなが、続々と出て来た。

僕は一旦みんなに切り上げを伝えることにした。


「みんな、今日はここで中止みたいだ。解散してくれ。僕は下の方に伝えてくる。」


そう伝えるとみんな自分の機材を片付け始めた。僕も早くさっき飛び降りシーンをやった友達に伝えに行くことにして、屋上から出た。




ガチャガチャと、カメラやマイクといった機材を片付けている屋上・・・というのが表向きである。

実際は。


「ちゃんと撮れてる?」


カメラを、屋上から出て行く少年にピントを合わせている男に微笑みながら聞いてきた。


「はい。バッチリです。これはいい物が出来上がるかもしれませんね。」


そうカメラに目を向けたまま答えると聞いてきた女が答えた。

「もちろんよ。絶対この隠し撮りで恋愛ストーリーを完成させるわよ。」


「カットの寄せ集めですけどね。」


そうカメラの男が呟くと怒ったように反論してきた。


「そこを言ったらおしまいでしょ。あの二人がもうちょっと素直になってくれれば、編集もはかどるのに!」


そんな愚痴を聞くのも飽きたような顔しながら顔をカメラに向けていた。

ちなみに二人というのは、先程監督をしていた女子とさっき、出て行った男子である。


「あの、草奏さん。今日はもうこのくらいにしませんか?撮影は順調ですし・・・」


カメラから顔を離し恐る恐る提案する、すると


「何言ってんの、途成君。まだまだ風景とか、ベストタイムの割り出しとか、ロケーションの打ち合わせとか、やることはいっぱいあるのよ。」


「・・・」


その言葉で完璧に反論の予知をなくしてしまった。


「ほら行くわよ!途成君。」


「え?あ、ちょっと待ってください。」


そう言って二人も、屋上から出て言った。

残りのみんなも片付けを終えた人から帰っていった。

かすかにクスクスという、小さな笑い声が数秒あったかもしれない。


~琴結学園 中央校舎 1階廊下~



「え?カットで今日は中止?」


「そう・・・悪いけど今日は終わりだ。」


僕は撮影の終了を伝えに来ている。ちなみに目の前にいるのはさっき飛び降りシーンで飛び降りてくれた人だ。

名前を、片桐当夜カタギリトウヤと言う。ちなみに設定ではなく実際に友達である。


「バンジージャンプも楽じゃないから、終わって欲しかったんだが、まあ仕方ないか?」


「僕に聞くなって。それにしても本当にこんなんで完成すると思うか?」


僕は今一番心配なことを聞いてみた。


「俺に聞いても分からない。アヤの決めた予定ならなんとかなるだろ?」


「それを信じるしかないか。アヤは何を考えているのやら。」アヤというのは、僕達がやっている映画撮影の第一人者。

監督である。

名前を青蘭アヤ(セイランアヤ)という。


「とりあえず食堂にでも行こう。飛んだら腹減った?」


「お前が腹減ったのな。よし少し早いけどご飯にしよう。」


僕と当夜は、学食に向かうことにした。早いとは言え腹が減るのは時間的に頷ける。


現在時刻 17時32分


~琴結学園 中央校舎 2階学生大食堂~



学食に来てみると、やはり時間的に早いのか、生徒の存在など感じなかった。しかし一人だけ生徒を確認した。


「あれ?珍しい・・・ってアヤ?」


「ん?何?あんたも来たの。」


誰もいない学食で、食事をしていたのは先程まで当夜と噂していたアヤであった。


「腹が減ったからな。」


「そう。」


そう言うと、アヤは自分の頼んだ狐うどんを黙々と食べ始めた。


「・・・」


「・・・」


どうにも気まずい・・・しかしアヤとはさっきのことのせいで話す話題が見つからないのが現状だ。

ちなみに当夜は僕のもいっしょに食券を買いに行ってもらっている。


「あ、あのさ・・・」

あまりに間が持たないので、無理矢理会話を行うことにした。

「なによ?」


ちなみに僕はアヤの方を向いて話しているのだが、アヤは狐うどんを見ながら答えた。


「や、やっぱり涙とかは目薬でなんとか一一一」


バン!


僕が話し終わる前に机に器を力強く置いた音により遮られた。やはりこの話題は・・・


「あの、アヤ。」


すると席から素早く立ち上がり器を持って僕の横に、僕の向いている方向と逆に向いて立ち止まった。

するとアヤから話し始めた。


「実を言うとね。あのシーン私書いた記憶が無いの。」


「え?」


僕は今衝撃的な事を聞いた気がした。しかしまったく話が見えない。

あの映画の台本は4パートに分かれて作っていた。そしてあのシーンは3冊目に書いているのだが、すべて手掛けたのはアヤだったはず。


「それどういうことだ?」


そう投げ掛けると、ため息をしたのちアヤは話し始めた。


「昨日、夜遅くまで今日やったシーンの脚本の最終推敲をやってたの。それで・・・」


何故か言葉が言い淀む。

言いにくいのだろうか。


「『それで』何だ?」


「み、みんなには言わないでよ!そ、それで不覚ながら途中で寝ちゃったみたいだったの・・・」


成る程。言い淀んだのはプライドのせいだった。

しかし肝心の最初の言葉とはまだ繋がっていないが


「それが、どういう関係があるんだ。」


「ここからが肝心なところ。眠っていた私はまず起きてから書き途中だった台本を見て驚いたわ。」


「何に?」


そう聞くと、頭の悪い人を見るような目を一瞬して答えた。


「・・・私の書いた覚えのない台詞が何個か書き加えてあったのよ。」



書いた覚えのない台詞。

それを聞いて少し納得した部分はあったが、それはそれで疑問が生まれる。


「でも、そんな台詞はすぐに消せばいいじゃないか?誰かが勝手に忍び込んで書いたのかも。」


この学園は全寮制だ。

人の部屋に忍び込むのは少し頑張ればたやすいことだ。


「言ったでしょ。覚えがないって。誰かが書いたなんて証拠は無いし、もしかしたら寝ぼけ眼で自分で書いたかもしれない。もし後者なら推敲は既に終わっている。だからこの台本で行くしかないのよ。」


成る程。いろいろ煮え切らない態度の理由がわかった。


「(ん?ならもしかして。)」

「なあアヤ。」


「何よ?」


一つ確認したいことを、アヤに聞く。


「今のアヤ的にはあの台本はどう思ってるんだ?」


「撮影のときにも言ったけど、あれはリアリティが無さすぎてあまりいいとは思ってない。」

「じゃあもし、あの台本を書いたのがアヤじゃない誰かだと証明したらあの台本書き換えてくれるか?」


「ええ。そのつもり。でもそんなことできるの?」


僕は自信満々に答えた。


「ああ。絶対見つけてやる。じゃあ早速捜してくる。」


僕は一気に方向転換して、走って学食を出て学生寮に向かった。


「あ、ちょっと!・・・」


「あれ?どこ行った?」


「あ、片桐君いたの?」


「おうアヤ。なあリトしらない?」


「たった今どこかに走り去って行ったわ。」


「え?(ってことはこれどうすればいいの?)」


片桐当夜の手に持っているもの。

チャーハン ×2

餃子×2



人口密度の低い学食はとても広く感じる。だからこそ離れれば人の気配は増えてもあまり感じないものである。二人の会話をカメラを回しながら物陰から聞いていたとしても。


「まさかこんなシーンに出くわすなんて。」


楽しそうにテンション高めな声が途成に伝わる。


「そ、草奏さん、声が高いですよ。響きやすいんですから自重してください。」


途成が小声で草奏に促した、しかし


「こんな想定外のシーンが撮影できてるのに自重なんてできないわ!」


さっきよりもさらに声のボリュームが上がってしまった。


「ちょっと、本格的にばれますって!一旦寮に帰りますよ。」

途成はなんとかテンション上がりの草奏を引っ張って学食から退散することにした。


「ちょっと!まだ撮ってる途中でしょ!途成君ー!」


「もう。見つかったらなにもかも台なしなんですから分かってくださいー!」


叫び会話をしながら学生寮のほうに入って行った。

さあ、書いてはみましたが。

さあ設定はその場で作る小説になりそうな事だけ言っておきます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ