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第6話 盾となる剣


朝。


王都リュミエールの空は、

不気味なほど澄み切っていた。


聖女選定戦、

決勝の日。


大聖堂前の広場には、

昨日までとは

比べものにならないほどの

人が集まっている。


誰もが、

歴史の証人になると

信じて疑わない。


バルトは

闘技場の中央に立っていた。


対戦相手。


仮面の剣士。


名は明かされていない。


記録上は、

無名の冒険者。


だが、

バルトは理解していた。


――強い。


肌が、

ひりつく。


殺気が、

明確すぎる。


貴賓席。


白い衣を纏った

ミレーヌが座っている。


彼女は

俯いている。


震えている。


バルトは

剣を構えた。


「始め!」


仮面の剣士が

消えた。


次の瞬間、

背後。


バルトは

反射的に振り向き、

受け止める。


衝撃。


腕が、

痺れる。


「……重い」


仮面の剣士は

笑った。


「王国最年少団長。

期待通りだ」


声は低い。


刃が、

嵐のように襲う。


バルトは

一つ一つ、

受け流す。


間合い。


半歩。


踏み込む。


斬る。


仮面の剣士が

跳ぶ。


地面が

抉れる。


観客が

息を呑む。


その瞬間。


貴賓席の床が

砕けた。


黒衣の者たちが

飛び出す。


「ミレーヌ!」


ダニエルが叫ぶ。


バルトは

仮面の剣士を

無視した。


ミレーヌへ走る。


背中に、

衝撃。


刃が

突き刺さる。


「ぐっ……!」


それでも、

止まらない。


ミレーヌの前に

立つ。


剣を構える。


仮面の剣士が

背後に立つ。


「それでも

守るか」


「守る」


短く答える。


黒衣の者たちが

一斉に襲いかかる。


ダニエル。

ランド。

アラン。


それぞれが

迎え撃つ。


血が舞う。


悲鳴。


混沌。


バルトは

一歩も引かない。


傷口から

血が流れる。


視界が

揺れる。


それでも、

剣を振るう。


ミレーヌの胸が

光る。


白い光。


結界が

広がる。


刃が、

弾かれる。


仮面の剣士が

後退する。


「……覚醒か」


ミレーヌは

叫んだ。


「やめてぇぇぇ!」


光が

爆発する。


闇が、

消える。


黒衣の者たちが

次々と倒れる。


仮面の剣士の

仮面が割れる。


そこにいたのは、

聖光教会の司祭だった。


「……貴様」


バルトは

膝をつく。


ミレーヌが

駆け寄る。


「バルト!」


バルトは

微笑んだ。


「無事か」


「うん……」


光が

静かに収まる。


聖女は、

ここに誕生した。


そして――


若き騎士団長は、

盾となる剣であることを

証明した。


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