第13話 若き盾
北門前。
炎と煙。
悲鳴。
戦場は、
地獄だった。
バルトと
グラードが
向かい合う。
グラードの
斧には、
血が付いている。
「どうした、
英雄」
「もう
終わりか?」
バルトは
剣を握り直す。
指が
震えている。
疲労。
打撲。
魔力消耗。
それでも。
「終わらない」
踏み込む。
剣と斧が
ぶつかる。
火花。
バルトは
体勢を
低くする。
斬り上げ。
グラードは
柄で弾く。
即座に
斧を
振り下ろす。
バルトは
横転。
地面が
抉れる。
間一髪。
グラードは
追う。
踏み込み。
バルトは
剣を
地面に突き刺す。
支点。
身体を
回転。
斬撃。
装甲の
隙間を
かすめる。
血が
飛ぶ。
「ほう……」
グラードは
笑う。
「面白い」
斧が
赤く光る。
火属性付与。
炎が
巻き上がる。
巨大な
火の刃。
バルトは
歯を食いしばる。
魔力を
絞り出す。
剣が
白く、
強く光る。
限界突破。
(身体強化と
魔力強化を
極限まで
重ねる技)
踏み込む。
正面衝突。
爆音。
衝撃波。
周囲の
兵士が
吹き飛ぶ。
煙の中。
剣が
斧を
弾き飛ばす。
バルトは
前へ。
一閃。
グラードの
胸甲を
斬り裂く。
膝をつく。
「見事だ……」
グラードは
倒れる。
バルトは
剣を下ろす。
呼吸が
荒い。
だが、
終わっていない。
周囲を見る。
帝国兵が
動揺している。
「今だ!」
バルトは
叫ぶ。
「押し返せ!」
王国兵が
士気を取り戻す。
反撃。
帝国兵は
後退。
地下水路側。
遠くで、
爆音。
ダニエルの
部隊が
侵入者を
撃退した合図。
戦いは、
王国の
勝利に終わった。
夜明け。
北門前。
瓦礫の中。
バルトは
座り込む。
ダニエルが
駆け寄る。
「団長!」
「生きてますか?」
「……なんとか」
二人は
笑う。
その時。
ミレーヌが
走ってくる。
顔が
真っ青。
「バルト!」
抱きつく。
一瞬、
時間が止まる。
バルトは
戸惑いながら、
そっと
頭に手を置く。
「無事で
よかった」
ミレーヌの
目から
涙が落ちる。
若き騎士団長は
理解した。
守るべきものは、
国だけではない。
この少女だ。




