第肆話「日常の合間」
物事の開始地点はいつ、どこにでも存在する。復讐心、それは最も生物を感化させ、行動の着火剤となりゆるものである。それは人間だけではない。
大魔王、ルークも皇帝への復讐心を胸に行動を開始した。しかし、復讐の眼差しを向けられるのは、大魔王たるルークも同じだった。
カメラの男は薄暗い部屋で写真の現像をしていた。冷たい液体の中で少しずつその価値をあらわにする。それを見て、男は一つ奇妙な写真を見つけ、ピンセットでつまみ上げた。
「なんだこれ..............。」
それは時計塔で撮った写真だった。そこには何も怪しいものは写っていない。写っているはずなのだ。あの長髪の影が。しかし、まるで写真からはそんな奴はいないと語りかけて来るように思えた。
「えー、革命暦一年、世界に聖剣が神により落とされました。それで.....。」
授業中に眠くなることがある授業の教師の口にはおそらく睡眠薬が埋め込まれているのだろう。そんなことを考えながらルークは欠伸をした。
ここはルークが通う{ベルグス学園}だ。今は歴史の授業中で、睡眠薬入りの口があるハゲの年寄り教師の授業を聞いていた。
しかし、ルークの頭には全く違うことが思い浮かんでいた。それは何故帝国は大魔王復活の情報を流さないのかということだ。
あれから7日、帝国は混乱が起こるどころかまともに復活を恐れる人間すら滅多に見ない。あれだけの人数の前で大魔王の存在を再認識させたのだ。
警察もいた。大問題になるはずだ。その内帝都にまで情報は届くだろう。ルークは帝国が大魔王の情報を聞いたら、即刻処分するために大軍を差し向けると思っていた。
しかしどうだ?帝国は大軍を差し向けるどころか大魔王のことすらなかったように秘匿している。これはかなりおかしいことだ。
例えば街中に獰猛な獣が出たとしよう。警察は市民に注意喚起し、出没場所を調べ、駆除へと近づいていく。もし戦力が足りないのなら、麻酔銃だの専門家など、そのような援軍を呼ぶ。そうして確実に獣を仕留めるのだ。
しかし、今の状況ではまるで獣にはいどうぞと市民を差し出しているようなものだ。国として、いや地域規模のことだったとしても異常である。
一回馬鹿馬鹿しいと思い、対処しなかったという仮説にも至ったが、それは違うという考えに至った。何故ならジャックは今ここにいるからだ。
人類、魔族、天使族は3種族の中でランダムに転生し続ける。例外はない。だからこそ、100パーセント違うという確証が持てない。
本当に大魔王が転生したのかもしれないし、ただ語っているだけの奴なのかもしれない。そんな不安に駆られるくらいなら兵を送り込んで逮捕した方が合理的だ。
それを思いつかないのは底抜けの馬鹿しかありえない。皇帝は腐っても皇帝だ。そんな馬鹿だとは思えない。だからこそおかしい。
しかし、市民だって馬鹿じゃない。獣が出たとなれば第一発見者が噂を広めるだろう。実際登校中も大魔王の事を話している人間は少なくなかった。
一人が大勢にばらまき、その噂い感染した者がまた噂を広める。そうなれば国が動かざるをえないのも時間の問題だ。いずれにせよ、帝国側には大魔王という絶対的恐怖の象徴であるを秘匿するなんらかの理由があるらしい。
実に好都合だ。本来は攻め込んできた軍隊をまとめて掃討する気でいたが、予定より行動が格段に早くなるだろう。そうと決まれば早速予定の修正をしなくては。
ルークは持っていたペンを置くと、今後の予定のについて考え始めた。
「ちょっとルーク君、聞いてますか?」
その時、ルークの思考を切断する形で先生から声をかけられた。ルークはいきなりの事で対応できず、きょどってしまった。
「え、ええ。聞いてますよ。」
先生から疑いの目を向けられるも、何とか見逃されたらしい。先生は黒板に向かった。
「おいおい、何考えてたんだよ。」
すると、隣に座っていたカミテルがルークに体を寄せて、小声で話しかけた。生徒同士の机がつながっているとこういうことが起こりやすい。
正直うっとおしい。さて、カミテルにはどう言うのがいいだろうか。流石に本当のことを言うわけにはいかない。だがいい言い訳も思いつかない。
「ええと、まあ色々だ。」
「またまた、あの大魔王の事でも考えてたんじゃないの?」
........鋭い奴だ。こいつまさか心が読めるんじゃないだろうな。ルークは返すことが出来ず、そっぽを向くことで強制的に会話を打ち切った。
今黒板に書かれている聖剣、それは教師が言ったように革命暦1年に神から落とされた7つの剣の事である。その聖剣に適合し、手にした者は協力して世界を平和にしていた。しかし、ある戦争で3本が失われてしまった。
レティーの持つ、ルークを救ってくれた剣も、{炎の聖剣}である。炎の聖剣は代々魔族が管理してきた聖剣の一つだ。
彼女がジャックの騎士になるときに、聖剣に選ばれたらしく、他の者に持たせようとすると、異常な炎が発生し、レティーしか扱うことが出来ない。
放課後、ルークはカミテルの家にお邪魔し、庭で明日の小テストに向けて勉強していた。ルークは効率よく問題を解くが、カミテルは頭を抱えて教科書をパラパラめくっていた。
「カミテル、勉強をしてくれないと勉強会にならないぞ。」
ペンを走らせる手を止め、ルークは呆れ顔でカミテルに話しかける。カミテルは教科書に顔をうずめると、そのまま呪文と唱えるかのような低くゴロゴロの声でルークに話しかけた。
「お前と違ってなあ、俺はそんな簡単に覚えれねえんだよ!!」
「失礼な。俺だってそんなポンポンポンポン覚えれるわけじゃない。」
「違う違う違う、もっと........こう、何かが!」
声を荒げてテーブルをドンドンと叩く。理解不能。それに限る。すると、花で作られた文字通り花道を通りながら紅茶のポットを持った執事がやって来た。
「ルーク様、カミテル様が申し訳ありません。」
「いえ、そんなことはございませんよ。あ、おかわりいいですか?」
ルークはノートの隣に置いてあるカップのとってを持つと、執事のポットの元まで上げた。執事は何も言わず頷くと、ルークのカップに紅茶を注いだ。
「ありがとうございます。」
そう言ってルークは教科書に再び目を通す。見ているのはテスト範囲ではなく、前世である大魔王が死んだ後の歴史だ。
140年前と絶妙に昔なだけあって、研究などが進んでおらず、書き方があやふやなことが多い。しかし、かろうじて分かったことが二つ。
一つ目は大魔王だったころ、自身に仕えてきた4騎士、その内の{戦争の騎士}の行方が分かっていないことだ。行方が分かっていない。つまりは捕まったり死亡が確認されていないということだ。
ユリア・レグナイアは4騎士の中で最年少の95歳だった、生きている可能性も十分あり得る。そして2つ目は
マーゼの居場所である。なんとマーゼは囚われた後、帝都カリジュリアで今もなお監禁されていると書いてあるのだ。しかし、これには大きな疑問もいくつか残る。
まず結論から言うと、これは誤情報、罠、プロパガンダの可能性が非常に高い。まず疑問に思ったのが何故マーゼだけご丁寧に場所まで書いているのかということ。
ユリアは行方不明とされているが、他3騎士の居場所は一切書かれていない。これは重要人物がどこで囚われているのかバレないようにするためだ。
ならばマーゼにも場所がバレないようにするべきだ。なのにご丁寧に書かれている。だからこれは嘘の可能性が高い。
ならば嘘の情報をわざわざ書く必要はあるのか?考えうる可能性は2つ。一つ目はずばりマーゼ奪還にやって来た者を捕えるため。
3種族の中でランダムに転生するという性質上、ルークやマギアスのように元魔族が人間に転生して目覚める場合がある。だから、こういう嘘の情報でのこのこやって来た奴を捕まえる。
全くひどいものだ。そしてもう一つがプロパガンダだ。現在帝国には{魔族解放戦線}や{北凍団}をはじめとするレジスタンスや解放戦線が跋扈している。
その中で、先ほども言ったように人間に転生した魔族がレジスタンスに入るようなことがある可能性がある。それを阻止するため、もう魔族に抵抗する力がないと思わせなくてはならない。
そのためのものと思われる。まあそれだと何故ユリアは行方不明と希望を持たせるようなことを書くかは謎だが。ここまで長々と思考を巡らせてはみたが、何にせよこの情報は信じるには値しないということだ。
ルークが新たな行動を起こすにはあまりにも情報が足りない。レティー達のいるアジトで会議だな。ルークはそう結論づけ、片付けうをして立ち上がった。
「あれ?帰るの?」
「ああ、ちょっと家の用事を思い出したんだ。」
カミテルにそう嘘をつき、ルークは踵を返して歩き出す。日はすでに傾きかけており、ルークは少し足を速めるのだった。
ベルグス区の街はずれにある誰も見向きもしない一軒家、そこがルーク達のアジトだった。もうボロボロのレンガとヒビの入った木材、こんなところ廃墟か心霊スポットになるのが性だ。
誰にも見つからないようにルークは草木をかき分けて裏口から家に入る。階段を下りて薄暗い部屋にたどり着く。そこでは眷属達が各々したいことをしていた。
レティーは隅で素振り、マギアスとジェリーはテーブルに盤を広げてチェス勝負、ミージュはソファーで自分の武器の手入れをしていた。
しかし、ルークを認識した瞬間、立ち上がって一礼をした。ルークもレティー達に向かって礼をする。そしてそのルーティンが済んだら、各々はもとに戻る。ルークはミージュの方に向かった。
ミージュは一度作業の手を止め、隣に座ったルークの方を見た。
「ミージュ、頼みがある。」
「なんでしょうか?」
「腕の立つ情報屋を見つけてほしい。範囲はこの帝国内で。」
「分かりました。探してみます。あと、少しあなたに見せたいものがあるんです。」
見せたいもの?なんだろうかと思考を巡らす。ミージュはマギアスに{あれ}を持ってくるように言った。マギアスは頷き、奥の棚から一つの直方体の鉄のケースを取り出した。
そしてケースをルークの前にテーブルを持ってきて、そこに置いた。重々しい音と重厚感がルークに伝わる。どうやらルークに開いてほしいらしい。
他の眷属もルークを輝く瞳で見つめる。あれ、今日誕生日だっけ?
とにもかくにも開けてみなくては分からない。ルークはゆっくりとロックを外し、上蓋を開く。そこには一丁の純黒の拳銃が入っていた。
それを見て、ルークは目を見開いた。それはルークが大魔王時代に使っていた拳銃だった。銃身、撃鉄、引き金、フレーム、グリップ、あの頃と変わらないほどどの光沢を保っていた。
レティー達が念入りに手入れをしていてくれたのだろう。磨き上げられた金属の美しさは月光さえ飲み込みそうだ。邂逅出来るなんて思ってもみなかった。
「メビウス...........!!」
ルークは感動し、メビウスを持ち上げようと、グリップを右手で力強く握る。その時、ある問題が発生した。
.............................持てない。
ルークは想定外のことに動揺し、唾をごくりと飲んだ。なんだ?なんで持てない!?たしか大魔王時代片手で振り回せたはず。そこでルークは気付いた。
今自身は魔族ではなく人間だということ。つまり身体能力がガクッと下がっているのだ。まずい、持てないって言いたい。だが、大魔王たるプライドが高い壁のようにそれを邪魔する。
「なあ、れ、レティー、メビウスって何キロくらいだっけ?」
ルークの質問に頭に?を浮かべながらも、丁寧に答えてくれた。純粋無垢な瞳で。
「えーっと、だいだい20㎏くらいですね。」
20㎏!?魔族時代ではなんとも思わなかったが、人間になって聞いてみるとすさまじい。もはや拳銃というより鈍器である。殴った方が強いだろう。
痛い、早く持ってくれというキラキラの純粋な目が痛い!しかしそうだ、己は大魔王、ジャック・ヴィ・ラン・アーサーなのだ、そう自分を奮い立たせ、なんとか両手を使って持つことが出来た。
そして、レティー達は隣の部屋にルークを案内する。そこは素朴ながらもしっかりとした射撃練習所があった。的は手作りで、中心にあるテーブルの上には銃声で耳にダメージを受けないようにヘッドフォンが置かれている。
そんな素晴らしい射撃練習場でやれるのはとてもありがたいが、問題が一つ。メビウスが持っているだけでつらいということだ。
重い、本当に重い。ダンベルを持っている気分だ。いやこれはもはや筋トレ用とした方がいいのではとまで思えてくる。普通に肩が取れる。
これを片手で振り回したとか大魔王時代の俺が怖い。それにメビウス+鉄のケースを軽々持っていたマギアスも恐ろしや。あいつ一応人間だよね?
やめたい、しかし、またプライドが邪魔をする。眷属の手前、情けない姿を見せたくない。よたよたと生まれかけの小鹿のような足取りでテーブルまで行き、一度銃を置いてヘッドフォンを付けた。
そしてまた20㎏あるメビウスをなんとか持ち上げ、的に向けて構える。ルークの腕はすでに限界を迎えようとしていた。
的の中心に狙いを定め、思い切って引くがねを引く。その瞬間、ルークはその場から消えた。いや、消えたというより銃の反動で信じられない速さで吹き飛んだのだ。
まるで掃除機に吸われるゴミのごとく、ルークは壁に頭からめり込んだ。そして発射された弾丸は的を貫き、壁を大きく凹ませた。レティー達は急いでルークを助けようと駆け寄って壁から引き抜く。
ルークの目は渦を巻いていて、完全に意識はお空だ。ルークは先ほどミージュが座っていたソファに寝かせ、目が覚めるまで待つことにした。
「...............う..................王、大魔王、今ここでお前を殺す!!」
ルークは目覚める。するとの前に一本の剣を持ち、純白の装備を身に着け、いざ自分を殺さんとする闘志に満ちていた。
剣には全く影がなく、正義を象徴するかのごとく輝いていた。細長い刀身だが、どんな太い剣より力強く、とんでもないほどの威圧を感じる。
「やってみろ、勇者。ただでは殺されんぞ!」
魔族は負けた。すでに大魔王のいる王城に攻め入られている状況だ。しかし、最期に一矢報いたい。そのために目の前にいる敵{勇者}に向かう。
右手にはメビウス、左手には一本の剣が握られている。底が見えないほどドス黒く、禍々しい威圧を放っている。これは魔族が管理してきたもう一本の聖剣、{闇の聖剣}なのだ。
大魔王と勇者は刹那の間目を見合わせ、そして同時に地面を蹴って相手に突撃していった。
「.....知ってる天井だ。」
どうやら今までのは夢だったようだ。ルークが目を覚ますと、初めに目に入って来たのは薄汚れた電灯だった。少し遅れて全身に痛みが走る。
まだメビウスを撃った時の痛みが残っているらしい。痛みを感じながらも、ルークは起き上がる。すると、ルークが寝ていたソファの隣にミージュの姿があった。
「あ、お目覚めですか?」
ミージュは本を読む手を止め、ルークの方を向いた。何故か気まずそうだ。しかし、ほかの眷属が見当たらない。
「他の眷属はどうした?」
「皆さんは周囲の警戒に交代で当たっています。今は私が休憩で...........。」
「すまない、面倒をかけたな。」
「いえ、そもそも私があんなことをしなければ...........。」
空気が一気に重くなる。誰も悪くはないのだ。しかし、どう否定していいかわからない。そんな空気のまま、刻刻と時が過ぎていった。
「ミージュさ、お前ってスイーツ好きだったよな。今度、作ってくれないか?」
ルークがしたのは話題をそらすということだった。もうそれしか思いつかなかった。ミージュは少し表情が回復し、頷いてくれた。
「ミージュ隊長、2時間たったのでこうたいですよ!!」
その時、そんな陽気な声と共にマギアスが部屋に入って来た。ん?まてよ。2時間!?たしかここに来た時の時間って、たしか5時くらいで............
「なあマギアス、俺が倒れてからどれくらいたった?」
恐る恐るそうマギアスに問いかける。マギアスは少し考える素振りを見せると、元気いっぱいな声でこう答えた。
「だいたい8時間ですね!」
5+8=13=1。つまり今は日をまたいで一時だ。衝撃を受けすぎると逆に冷静になるとはこのことか。ルークとしての家の門限は10時。
「やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!」
ルークは痛む体を鞭打って走っていた。父上であるアインは時間にそうとう厳しく、ルークもそういう教育を受けてきた。
しかも日付まで変わっているとは。もうガチギレなんてレベルじゃないだろう。いや、もしかしたらもう寝ているのかもしれない。
そうだと信じたい。信じてなと自身を保っていられない。そんなことを考えながら足を動かし続ける。
なんとか家にたどり着く。どんとあるレンガ造りの豪邸は、ルークを見下ろしている。明かりはついていない。つまり寝ているのだ!!
歓喜で息を思い切り吐いたが、ここからが本番なのだ。シュバルツァー家は代々ネクロポリス帝国でその地位を守って来た。
まあつまるところ豪邸は古くて歩く度にギシギシ鳴るということだ。意を決して、ルークはまるで泥棒かのごとく自身の家に入って行った。
暗く明かりがない豪邸はもはやお化け屋敷である。何を隠そうルークはこの歳でお化けが大の苦手なのだ。
原因は5歳の時に父がハロウィンの日にお化けの仮装をしてルークを追いかけたからだ。その日からルークはお化けがダメになってしまった。
今となっては昔の事だが、トラウマというのはタコの足のようにピッタリ付いて離れることはない。足はガクガクと震え、頭では最悪なシチュエーションが思い浮かぶ。
あの角から何か現れたらどうしよう。足をいきなり掴まれたらどうしよう。いくらありえないことだと考えても、思考は恐怖に勝てない。
その時、背後に気配を感じた。ルークの足が止まる。全身から血の気が引くのを感じ、歯をガチガチと鳴らす。ああ、死んだ。そう悟った。
「ルーク様っ!」
しかし、聞こえてきたのは予想外の声だった。一気に安心してその場にへたり込んでしまった。
「ちょっ、大丈夫ですか!?」
そんなルークに先ほどの声の主が駆け寄る。ルークは大丈夫と言って立ち上がり、主の方に向き直った。そこにいたのは{スズ}という一人の使用人だった。
短い白髪にカチューシャを付け、150㎝台の身長は小動物のようなかわいさがある。目もくりくりしていて、顔だちも完璧。だが一つ、こいつは男だ。
「あの、本当に驚かせてしまってすいません............。」
申し訳なさそうに頭を下げるスズ。断然帰りが遅くなったルークの方が悪いのだが。
「あ、いや、俺が勝手に驚いただけで.......」
ルークは必死に自分に非があるとスズを慰める。スズは何でも自分が悪いという認識をしがちなのがたまに傷だ。すると、スズは急に顔を上げると、こうルークに問いかけた。
「それはそうとルーク様、こんなに遅くまでどこへ?」
いきならりその質問をされ、ルークは戸惑ってしまう。どうしよう、早く帰る事しか考えてなかったからそれに頭が回っていなかった。
「ええと、その、カミテルと遊んでて..............。」
「本当ですか?」
「あ、いや、その.............。」
疑いの目を向けて来るスズ。何も言えずに目をそらすしかないルーク。しかし、見逃してくれたのかスズは大きなため息を吐くと、その場を去った。
ルークは簡単にシャワーを浴びた後、自室に戻ってベットに腰かけた。いまだに体中が痛む。感覚的にこのままじゃだめだと感じる。
筋トレしよう。
明日色々買いに行こう。そう決心し、ルークは目を閉じるのだった。




