表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夏の夜空

作者: 黒井翼
掲載日:2026/02/23

 これは私が小学三年生の夏に体験した不思議な記憶です。


 私はその頃、サッカーのクラブチームに所属していました。私が体験した不思議な話というのも、まさにそのサッカーのクラブチームで夏合宿を行っている時の出来事です。


 20年以上前の記憶なので、私が宿泊したのがホテルだったか、旅館だったかは曖昧です。ただ、宿泊した部屋というのは、小学三年生が20人程布団を敷いて寝ることの出来る大部屋だったと記憶しています。


 私はその部屋でチームの仲間と布団を敷いて寝るのでしたが、夜中にふと目を覚ましました。


 私はチームの中でも最も仲の良い子と隣り合って寝ていましたが、その最も仲の良いA君も私と同じタイミングか、そうでないかは分かりませんが、目を覚ましていました。


 A君は、私が目を覚ましたことを確認すると、窓の外を指さし、「UFOがいる」と言いました。


 その部屋は、大きな正方形の大部屋であり、部屋の入り口の反対側は壁であるものの、上の方に横一列に並んだ大きな窓が付いていたため、一応外が見えるのでした。


 A君は部屋の壁の上の方を指さし、私に窓の外を示しました。


 私はA君が指し示す方向を見ました。確かに、夜空に赤いような、オレンジ色のような光が点滅していました。ですが、私にはそれがとてもUFOには見えず、飛行機やヘリコプターの類ではないかと思えました。よく目を凝らしてみても、素早い動きを見せるとか、一瞬で光が増えるとか、そういったこともありませんでした。


 ですが、私はA君に対し、「本当だ、UFOっぽいのが見えるね」と返しました。


 正直、それが本当にUFOであったかどうかは関係ありませんでした。私とA君は興奮気味に、明日コーチにUFOを見たと言おうと約束し、再び眠るのでした。


 翌日、練習が終わるまで私とA君はUFOを見たことをすっかり忘れていました。そのため、コーチには夕方になってようやく、練習から宿泊場所への帰り道にふとしたきっかけで思い出した私がA君とともに報告したのでした。


 私とA君は興奮気味にUFOを見た旨をコーチに伝えると、コーチは笑っていました。「UFOなんて見えるはずないよ」と。


 私は昨日の夜に見たものがUFOであるかについては疑問を抱いていたものの、そう笑われてしまうとムキにならざるを得ませんでした。A君と私は必死にコーチに対してUFOだったと熱弁しましたが、「見えるわけない」の一点張りで、あしらわれてしまうのでした。


 そして、「そんなにUFOが見えたっていうんなら、今日もう一度窓の外を見てみなよ」とコーチに言われてしまい、その話は終わりました。仮に昨晩見たものが本当にUFOだったとして、二日連続で現れることは期待できません。コーチは私たちが小学三年生だから馬鹿にしたのだと感じていました。


 そして、練習から宿泊場所へ帰り、A君と私は部屋に戻り、窓の外を二人で見ました。勿論、夕方だったため、UFOが見れると期待しての行為ではありません。ただ、なんとなくそんな話をした後だったので、昨日の記憶をたどる様に窓の外を見るのでした。


 しかし、窓の外を見ると、コーチたちが宿泊している反対側の棟の建物が見えるだけでした。私たちの宿泊した大部屋は一階で、その窓からは反対側の棟の建物しか角度的に見えなかったのです。空なんて見えるはずがない窓だったのです。


 私とA君は言葉を失い、その後どういう話になったのかは覚えていません。


 私とA君が見た夜空は一体何だったのでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ