表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツクモ  作者: 誰か
7/7

第七話『はじめてのお使い』

 お土産に渡した羊羹を出してくれつつ、彼女が言った。


「また、つまらないものを切ってしまった」


 そんなことを言うのは、この口かあ!


「次は、コンニャクにするぞ」


 って、あれ?


 そう言えば、いつもはツクモがお茶を用意してくれているのに、今日は見てないな。


「ねぇ、ツクモはどうしたの?」


「えっ、あれ、そう言えば、見てない・・・かも」


「ちょっと探してみようか?」


「そうね、GPSで現在地を調べてみましょう」


「へぇー、さすが、ツクモにはGPSなんて付いているんだ」


「んーん、付いてないよ、携帯電話を持たせているだけ」


 なんだ・・・って、


「えっ、ツクモは、そんなものまで使いこなしてるの?、凄いな」


「まあね・・・っと、現在の位置は、どうもこの家の中みたいなんだけれど」


「とりあえず、電話をかけてみる?」


「そうだね、まあ、ツクモは喋れないけど」


 そう言えば、そうだった。


 トゥルルルル、トゥルルル♪


    リリリーン、リリリリリーン♪


 電話に出る様子がない。着信音が聞こえてくるのは・・・


「キッチンの方からだ」


「あっ、あったよ、携帯電話・・・だけ、みたい」


「うーん、ツクモは何処へ消えたんだろう」


 僕のつぶやきに続いて、彼女は、さらに訝しむ。


「それも、わざわざ、携帯電話だけを残して?」


 疑問に答えられない僕は、代わりに、


「仕方がない、他を探そう」


 そう言って、キッチンを後にしようとした時に、


「待って」


 彼女に呼び止められる。


「携帯電話の下にメモが置いてあった」


 二つ折りにされた紙を広げて目を通してから。


「どうやら、買い物に出かけたみたい」


「あー、書き置きを残していったのか」


 なるほど、こちらから携帯電話にかけたら、この書き置きが見つかるように・・・。


 機能を使いこなしているというか、使い方が間違っているというか。


「ちょっと見せて」


 どれどれ。


 "醤油、玉ねぎ、食パン・・・"


「って、このメモ、ここに残ってていいの?」


 彼女は、笑いながら。


「これは、ツクモの初めてのお使い!、尾行をせねばなるまい」


「そうだね、この前、玉子を買いに行ったスーパーだとしたら、すぐに追いつくと思うよ」


 彼女は楽しそうに。


「尾行かあ、どうしよう、変装とかする?」


「じゃあ、この眼鏡でもかけといたら」


「んー、伊達だとろくにあるけないんだけどなあ」


 なんて、バカなやり取りをしつつ、ツクモの捜索に向かう。


 とりあえず、結論から言えば、ツクモの尾行は失敗した。


 発見した時は、人だかりに囲まれて立ち往生していたので、そこから急いで救出。まあ、ツクモみたいなロボットがうろちょろしていたら、そりゃあ、子供とかほっとかないよね。


 それから暫くの間、ツクモは、彼女の足にしがみついて離れようとしなかったとさ。


 帰り際、僕は彼女に聞いてみた。


「今晩、電話してもいいかな?」


「お、おう、いつでもかかってきやがれってんだ」


 うわあ、なんだか、たちどころに切られちゃいそうだね。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『HAKO NIWA シークレット!』
 みんな、宝箱には目がないよね?、実はノドも無いから喋れないし、手も出ない、それどころか動けないんだよ、箱だから。異世界に転生したら、私、宝箱になってた。現在、ダンジョンに閉じ込められているので脱出しようと思うのだけれど、一ミリたりとも動けない。でも、動けないなりに頑張って、なんとかレベルを上げる方法を見つけたりして。ただまあ進化先の候補が、寄木細工に、びっくり箱、魔法瓶・・・って、動けないよ!。あれっ、もしかして幸運値が低いとかない?。とりあえず、スキル【ガチャ】は、お願い息をして。これは、箱になってしまった娘の冒険譚。まあ、最初の小部屋から微動だにしていないのだけれど。どうにか工夫して生き残るよ!。追伸、どうも脱出の鍵はロボットが握っているらしいです。

 人外転生(みかん箱) + ガチャ + ダンジョンに置き去り + ざまぁ(軽微) + レベルアップ→進化 + 変形ロボット(ファンタジーです)

 短編ですので労力はそこまでかからないと思います。
『HAKO NIWA シークレット!』


『このヒロイン、実は・・・』
 SF?、ミステリー?、コメディ?、そんな感じの短編です。


『ほんのり、ほのぼのしてもらえたら嬉しいです』(ファンタジー、SF、ミステリー、日常系、色々あります、一話完結ショートショートコメディ集です)


『みどりの竜』
 一話完結、ショートショートコメディです。


『月の音色』
 声優、大原さやかさんのネットラジオに投稿した400文字以下の物語


『いくとちゃんとおじいちゃん』
 子供に読み聞かせるとき、大人も一緒に楽しめる童話を目指しました。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ