表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツクモ  作者: 誰か
4/7

第四話『悲鳴の天ぷら』

 バチ、バチ、跳ねる油の音がして、キッチンの方がずいぶんと騒がしい、というか。


「きゃあああ」


 彼女、悲鳴をあげてるんだが・・・


「玉子を買いに行くよ、一緒に来て!」 


 ツカツカと早足で迫ってきた彼女に手をとられて、着いて早々に玄関の外へUターン。


「私、目玉焼きなら上手だから!」


 なるほど、サニーサイドアップか、裏を返したりせずに、文字通りの意味に解釈しておけばいいと、はい、全てを察しました。


 最寄りのスーパーの入口で、なんとなしに張り出されたチラシを見ていた僕に、彼女がのたまう。


「玉子の特売で、お一人様、ワンパック限りなんだよ、ちょっと協力して」


「ねえ、そのことなんだけれど」


「ん、なに?」


「どうも特売日は、昨日だったみたいだよ」


「チッ、せっかく連れてきたっていうのに、君ってば、ちっとも役に立たないな」


「おいコラっ!」


 結局、ワンパック10個入り216円也を購入。


 そして、現在、エプロン姿でキッチンに立つ彼女は言う。

 

「ツクモも、玉子を割ってみたいの?」


 彼女とおそろいのエプロンをつけて、踏み台を抱えて持ってきたツクモがコクリとうなづいた。


 コツコツとテーブルを叩いてヒビをいれるところは上手くいっている。両手で慎重に玉子を持ち、ボールの上に運んで、グシャリ。

 

 やはり玉子の難易度は高かった。


 しばし、フリーズしていたツクモは、気を取り直して、二つ目の玉子も潰すと・・・


「何もなかったかのように、シャカシャカと殻ごと玉子を溶いているんだけど?」


「君は、多分、カルシウムが不足しているね」


「なるほど、僕が食べることになるのか」


 ツクモは、溶いた玉子を、湯切りに使うざるでこしながら、バターをひいたフライパンに流し込むと、トントンと柄を叩いて器用に丸めてしまった。


 完成したオムレツは。


「えっと、私の目玉焼きと交換してほしいの?」


 コクリとうなづく、ツクモ。


 彼女の作った目玉焼きを捧げ持ち、たいそう嬉しそうに眺めている。


 目玉焼きは上手に殻が割れないと作れないからね。



 後日。


「はい、おみやげのケーキ」


「いやー、ふたつも、ありがとう」


「ちょっ、ひとつは僕の分だからね」


「わかってるって、冗談だから、はい、どーぞ」


「まったく」


「まぁまぁ、ほら良かったら、もうひとつ、おかわりもあるよ」


「それは、それで、ひどいよ!」


 ちょうどツクモが紅茶をテーブルに並べている。


「あれから、あちこちに踏み台が増えたよね」


「ツクモがあれこれするのに不便だからね」


「料理はどうなったの?」


「まあ、ありがたい話ではあるんだけれどね、ツクモに好きな物を言ったら、そればっかりを作るようになっちゃってさ」


「ならもっと、いっぱい好きな物の話をしてあげればいいよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『HAKO NIWA シークレット!』
 みんな、宝箱には目がないよね?、実はノドも無いから喋れないし、手も出ない、それどころか動けないんだよ、箱だから。異世界に転生したら、私、宝箱になってた。現在、ダンジョンに閉じ込められているので脱出しようと思うのだけれど、一ミリたりとも動けない。でも、動けないなりに頑張って、なんとかレベルを上げる方法を見つけたりして。ただまあ進化先の候補が、寄木細工に、びっくり箱、魔法瓶・・・って、動けないよ!。あれっ、もしかして幸運値が低いとかない?。とりあえず、スキル【ガチャ】は、お願い息をして。これは、箱になってしまった娘の冒険譚。まあ、最初の小部屋から微動だにしていないのだけれど。どうにか工夫して生き残るよ!。追伸、どうも脱出の鍵はロボットが握っているらしいです。

 人外転生(みかん箱) + ガチャ + ダンジョンに置き去り + ざまぁ(軽微) + レベルアップ→進化 + 変形ロボット(ファンタジーです)

 短編ですので労力はそこまでかからないと思います。
『HAKO NIWA シークレット!』


『このヒロイン、実は・・・』
 SF?、ミステリー?、コメディ?、そんな感じの短編です。


『ほんのり、ほのぼのしてもらえたら嬉しいです』(ファンタジー、SF、ミステリー、日常系、色々あります、一話完結ショートショートコメディ集です)


『みどりの竜』
 一話完結、ショートショートコメディです。


『月の音色』
 声優、大原さやかさんのネットラジオに投稿した400文字以下の物語


『いくとちゃんとおじいちゃん』
 子供に読み聞かせるとき、大人も一緒に楽しめる童話を目指しました。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ