第二話『あっつい!』
「お土産を買ってきたよ」
「おっ、ありがとう」
「どーよ、今度来る時には、忘れずに持ってくるって約束したからね」
「それで、これはなに?」
「アイスクリーム」
「あー、つまり、近所に来るまでは、忘れてたってことだね」
反らした視線の先で、奇妙な挙動をしているツクモが目に留まる。
MPを奪おうと踊っているものか、それとも、歩こうとして足をもつれさせているのか、とにかく足の運びがおかしなことになっていた。
「あれは、何をやっているの?」
「さあ、なんだろう?」
彼女も首を傾げている。
「ツクモって二足歩行は普通に出来たよね?」
「そのはずなんだけれど、まあ、とりあえず壊れてはいないから、好きにさせて様子をみてるところ」
ツクモは、前進しようと左足で踏み出した・・・ものの、軽く浮いた状態の時に右足を前に出そうとして、ついてこれず、後ろに残したまま、左足が先についてしまう。
今度は、追いついた右足で軽く弾んで、左足を上げようと、してはいる様だけれど、ほとんどあがらないうちに両足揃って着地。
一応、わずかずつ進んではいるけれど、一歩ごとに上体が左右にくねっ、くねっ、と曲がり、両手をあわあわと上げ下げしている仕草は、見ている分にはコミカルで面白いかも。
あっ、ついに転んだ。
崩れ落ち、ガックリと膝と両手をついたポーズで、うなだれているように見える。
そんなツクモのそばに僕はしゃがむと、そっと肩に手をおいた。
覗き込む僕を、顔を上げて見つめかえしてきたツクモに声をかける。
「何か良いことでもあったの?」
「鬼かっ君はっ!」
すかさず入った彼女のツッコミに、僕は思わず笑いながら。
「いや多分、これ、スキップだよ」
虚をつかれた顔をしている彼女に向かって。
「しかし、最近はほんと、あっついね、って、あれ、僕の分のアイスは?」
「ん?、あっ、ついね」
本日の19時に、三話目を投稿予定です。