秘策で奇策な解決策
「フハハハハハ!よく来たな雷鳴の!…?おい主人はどうした?」
「あやつは来んよ、お主なんぞ我一人で十分だ」
「舐められたものだな!貴様らが揃っていた時ですら俺に勝ったことはないだろうが!」
「喚くな」
何あの人達。因縁の相手って奴かな?
突然乱入してきた少女は広範囲の雷魔法っぽいものを放ったのち鬼と争いを始めている。
先ほどの攻撃、無差別攻撃すぎる。おそらく味方としていいのだろうが私が認識されていたか怪しいものだ。その攻撃を至近距離で食らったはずなのに表皮が焦げているくらいで消耗してないようだ。
「疑問です。何故生存しているのですか?」
「うわぁビックリした!脅かさないでよ。えーと…エリス?さん?」
「…肯定します。ワタシの個体名はエリスです」
「エリスさんあの人知り合い?」
「訂正します。正しくは...母の友?です」
「あっお母さんの、ね。フーン」
「質問を繰り返します。何故生存しているのですか?」
「あっと、えー…そういう能力だよ」
あの攻撃の効果時間が短かったのが救いだ、仮初の不死の効果時間ギリギリだったが。
初めて使ったが成功してよかった、ここにいる者私以外レア臭がする。ゲーマーとしてこのチャンスを逃すわけにはいかない。
「ともかく!あの人は味方?でいいんだよね」
「…不明です。貴方は排除される可能性があります」
「えっ私死ぬの?」
ここまで来たのに?
「有用性を示してください」
「使える奴だって証明しろって?あれ相手に?」
「協力が必要ですか?」
「?」
「貴方は敵対的ではないと判断しています。」
おっデレたか?それなら遠慮なく手伝ってもらうとしよう。とは言っても何をするべきか。
エリスを逃がすか?いや鬼がおとなしく見送っていてくれるとも限らないし、少女に完全に敵認定される恐れもある。
ここは鬼にダメージさえ入れることができればいいだろう、あの硬い皮と筋肉を傷つけるすべさえあればそれが最善なんだけどな…ん?
ステータスを確認する。未使用のSPは20、スキルのクールタイムは終わっている。
「作戦がありますか?」
「イチかバチかだ、どうせ死ぬならやってやるよ」
――――――――――
「どうしたぁ!痺れもせんぞぉ!」
「くっ」
大口を叩いたがこれはちとまずいかもしれぬな。
怪しげな異邦人も消し飛ばしたはずが生きている…敵対的ではなかったようじゃが異邦人というものは何をするかわからぬ。早めに排除しておきたいが、エリスとともにおるようじゃしうかつに攻撃するわけにもいかぬな
いや、今はそれよりも…
「余所見する余裕があるのか?」
しかしこやつ前よりも強くなっておる。金棒は当たらんがこちらの雷は効いておらん、向こうにまだ手があれば負けてしまうかもしれぬな。
さて、どうしたものか…
「演算開始…角度調整完了、準備は?」
「ちょっと心の準備g」
「セカンドアンプトン」
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
…何やっとるんじゃ?
――――――――――
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
提案したのはこっちだけどもう少し手加減してほしかったなぁ!
私が提案したのはエリスにぶん投げて貰って突っ込んでいく「一矢報いるために自ら矢になります」作戦だ。
武器を交換してオブシドの斧の平べったいほうに私を乗せて吹っ飛ばしてもらった。エリスの槍のほうが刺さりそうなのでちょうどいい。
鬼は背を向けている、このまま首元にぶっ刺してやらぁ…あっこっち向いた。止まれないからこのままいくしかないけど。
「っおらぁ!」
「!ぐっ」
腕に着弾。腕がどう考えても硬すぎだろ全然刺さってないぞ。血は若干出てるけども大した傷ではないし、他に武器がない...いや、あるじゃん人類最初の武器が。
槍を軸にして迫る右手を躱す。勢いそのまま顔面に飛び掛かり耳を嚙み千切った、流石に耳
鬼も流石に耳が取れては反応せざるを得なかったようだ。かなり出血もしている。
「ぐおぉ!貴様...」
あっやべ捕まった、じりじりHPが減っていく。最後に一言言ってやる。
「はっはぁー!人間舐めんなぁ!」
「…」
無言怖い、あっぶん投げられた。このまま死ぬわ、まぁやれることはやったので後悔はない…嘘ですここまで来て死ぬとレアエネミーがぁぁぁ。
「人は殺さんのではなかったかの?」
「…《異邦人》は人ではないだろう、手加減はしていたがここまでコケにされてはな」
あ、幼女さんどうも。助けてくれたんですか?ところで幼女に抱えられる鎧の人は違和感しかないと思うんですけどぅぇ。投げ捨てられた。
「お主異邦人じゃな」
「あーそうです?」
プレイヤーがそんな呼ばれ方だったような?
「そうか…エリス」
「…」
「わかっているな」
「…謝罪します、ワタシが」
「いい。友の娘だ、それ以外にも命を賭ける価値もある。さて異邦人、名はなんだ?」
「あールリ、です」
「そうか。…ではルリ、エリスよ」
幼女が柔らかく笑う。
「生きていればまた会おう」
「えっ」
私は雷光に包まれ蒸発した。
このゲームはレベルよりもスキルのほうが重要です。
レベルで上げれるステータスは微々たるものですしステータスの上がるスキルもありそちらのほうが上昇率は高いです。