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瑠璃の輝き。~VRMMO攻略記~  作者: イヌ汰郎
序章:はじまりのはじまりの話
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無愛想少女と玄の未知と

「なんか全然遭遇しないな」


 町を出て1時間ほどだろうか?最初のほうこそモンスターに遭遇したものの途中からは何も出会うことはなく森にたどりついてしまった。

 地域名は強者必滅の森、数多のモンスターが日々生存競争を繰り広げているという争いの絶えない過酷な森らしい。

 森の中の道なき道を行く、木々の間はある程度開いているし月明りもあるが薄暗く鬱蒼とした森だ。

 しばらく森の中をうろついたが何もいない、全くいないというわけではなく何かがこちらを見ているような気はするが近づいてくることはなくすべてのものが戦うということ自体を避けているかのようだ。


「・・・私が避けられてる?いや昼間と変わったことなんて武器くらいだし・・・ん?」


 音が聞こえる。獣の鳴き声と時折微かに唸るような音だ。

 他のプレイヤーだろうか?戦っているところにわざわざ近づいていくのはあまりよろしくない行為だがこのままでは収穫がないままだ。


「行ってみるか・・・」


 音をたてないように注意しながらこっそり近づいてみるとしよう。


 ――――――――――


 姿勢を低くしながら音のなるほうへ進む。どうやら走り回りながら戦っているようで音の発信源へと近づくほどに木々に引っかき傷や荒々しい切り傷、そして狼のようなモンスターの死体だ。パックウルフというモンスターらしいがいたるところに転がっている。

 そこから息をひそめつつ移動すると30秒ほどで木々がなく円形の広場のようになっている場所にたどり着いた。広場の中央あたりで誰かが戦っているのが見える。

 やはり人間のようだ。狼のモンスターの群れと戦う槍のようなものを振り回している人影が見えた、あの槍が時折聞こえている唸る音の正体のようだ。


「すご・・・」


 謎の人物は結構強いようで今見えるだけでも20匹ほどの狼がいるがどんどんとその数を減らしていくのが分かる。

 森の中にあったものと合わせると4~50匹ほどの群れだったんじゃないだろうか?

 しかし、いくら強くても無傷とはいかないようで少しずつ傷ついていく、このままだと近いうちに倒れてしまうだろう。


「・・・よし、割り込むか」


 ――――――――――


「射角よーし、狙いよーし・・・アンプトン!」


 初期斧を投擲する・・・が一番近いパックウルフにすらに当たることはなく地面にまっすぐ突っ込んでいった。

「ドギャァァァン!!」とでもいえるような音ととも土煙が広がり初期斧君の柄部分だったであろう木片が飛んできた。


「あり?」


 もしかして・・・私、下手?

 狙ったところに飛ばすのが難しいとはいえこれはいかがなものだろうか。

 あれだけ標的が多いのに一匹も倒せてないじゃないか。まあ注意は引けたのでいいだろう、パックウルフ達は突然の乱入者に警戒しまくりである。

 ・・・人影にも警戒されているようだが。


「そこの人!こいつら倒してもいい?!」

「・・・詳細不明人物確認。・・・敵対反応無し、異邦人と推定。」

「?聞いてる?!」

「単騎での突破は困難と判断。協力を受け入れます」


 人影がこちらを向き頷いた。可愛らしいが人間味を感じさせない無表情な女の子だ、まだ子供だろうか。

 何を言っていたかわからなかったが協力は受け入れられたようだ。


 ―――――――――


 全て殲滅するのに5分とかからなかった。彼女はやはり強い、囲まれさえしなければ一人で倒せたんだろうなと思えるくらいの実力だ。

 だがどこか動きが割るそうに見える、外傷があるようには見えないし体調でも悪いんだろうか。


「・・・ふぅ、これで終わりかな?大丈夫?」

「状態確認開始・・・損傷は軽微。動作に支障無し。救援に感謝します」

「えっとプレイヤー?だよね?」

「・・・異邦人の別称と確認。いいえ、ワタシはプレイヤーではありません」


 まさかのN P C!どこから来たんだよ、ここで何してんだよ、親はどこだよ。

 色々言いたかったがそれらをぐっとこらえて、一番聞きたいことを。


「その喋り方何」

「回答の必要性がありません」

「・・・どこから来て、ここで何してるの?」

「回答を拒否、救援には感謝します。パックウルフの死体は自由にお使いください」


 そのまま彼女は立ち去ろうとするので引き留める。


「いや、少しくらい休憩していきなよ」

「提案を拒否、ワタシには目的地への迅速な到着が求められます」

「戦闘で疲れたままで行ったほうが危ないでしょ」

「・・・異議なし、提案を承諾」

「よろしい。お肉食べる?」

「動力低下、現状では食事が最適と判断」


 差し出した焼いた肉は素直に受け取ってくれた。空腹には正直なのかな?可愛らしい所もある。


 ――――――――――


 バカ食うじゃん!可愛らしいとか思った自分を殴りたい。焼いといた肉が足りなくなったからこの場で焚火作ってどんどん焼いても同じ速度で消えてったんだが?質問にも答えてくれずに黙々と食べ続けるのでむきになってしまった。


「もう無理ー!今焼いてるのが最後だからね!」

「(ごくん)エネルギー最大値の半分までの回復確認。動作に問題なし。提供に感謝します」


 捧げものじゃねえんだよ、提供って・・・

 一言言ってやろうと思い立ち上がったその時


「!!脚部ブラスター始動。衝撃に備えて」

「おぐぅ」


 急にタックルしてきた。よく見ると彼女の足元から火が出ている。なんか空飛べそうな感じだ。

 とか考えていると先ほどまでいた地点に上から降ってきたなにかにより焚火が爆散した。


「見つけたぞ。久しいな小娘」

「・・・想定外に時間を消費しすぎました」


 振ってきたのは巨大な金棒・・・そしてツノの生えた黒き鬼と呼ぶにふさわしい者だった。

 その頭上にはデカデカとウィンドウが表示されている。


《【黒鬼】鬼神・???》

ヒロインちゃんです。無知無知です。


【】は所謂ネームド個体。エリアボス等に限らず一体だけしかいないものでも個体名がつくくらいの事をしでかしていたらネームドになります。

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