意外と凶暴らしい奴
今更ながら基本的に深夜テンションで書いてるので
私がカワウソの首を刎ね飛ばしたらユカリが叫んでた。
「ちょっとぉぉぉ!?何してんのぉぉぉぉぉ!」
「カワウソって何食べると思う?」
「え?」
「カワウソって雑食だし意外と顎の力が強かったりして甲殻類とか噛み砕いて食べるんだよね」
この前テレビで見た。
「・・・」
「あの大きさなら人食べれるんじゃないかな」
そう言うと同時にこちらを囲むような形でカワウソが現れる。その数七匹。
人懐っこく見えたのも演技だろう、油断させて襲い掛かり一気に周囲からトドメを刺す。何も知らないプレイヤーなんて特に騙しやすいだろう。知能高くね?
言ってる場合ではないようだ現れたカワウソたちはいつでも飛び掛かれる体勢でこちらの隙を伺っているようだ。
ユカリが慌てたように杖を構える。
確か魔法使いは最初から火、水、地、風の四属性を使えたはずだ。カワウソ相手なら水以外ならそこそこ通るだろう。
しかしこの状況はマズイ、一人なら何とかなるだろうが囲まれた状況で前衛一人で後衛を守り切れる自信はない。
彼女を守る義理もないのだが一度助けた以上見捨てるのも後味が悪い。
包囲を抜け出したいところだけどさてどうするか...
「初期の四属性は使えるよね?」
「あっはい一応は」
「目の前の奴の足元に最大魔力込めて火魔法ブチかませ!」
「魔力込めて?・・・どうなっても知りませんよ!」
魔法を打つときに魔力を込めることを意識すると威力が上がるらしい、魔法ごとに上限が決まっており込めれば込めるほど命中精度が著しく下がるが威力が上がる。上限まで属性によって違う現象が起きる。ちなみに火魔法はどうなるかというと...
「行きます!ファイヤボール!」
火球は勢いよく飛んでいき地面に当たって「バゴォォォォン!」としか言えない音で爆発し、周囲に炎をまき散らした。
火魔法は射程が短くなり爆発するのだ。チュートリアルで言ってた。
「走るよ」
「あっちょっグぇ」
ユカリを半分抱えるように走り出す、同時にインベントリからビックラットの毛皮を取り出し目の前の燃え盛る茂みに突っ込む。気休め程度だろうがこれくらいの炎なら通り抜けられるだろう。
「あっつい!あっついです!」
「この皮ほんとに耐性あるの?!」
二人で文句を言いながら駆け抜け、そのまま炎を通り抜ける。そして左にいた奴に燃えてる毛皮を投げつけ右にいる奴には頭にスイングをお見舞いする。
右の奴は吹き飛んでいった、かなり重症のようだがまだ生きている、左にいた奴はそのまま燃えて力尽きたようだ。
「ウィンドカッター!」
ユカリも走りながら魔法を準備していたようだ。二匹を切り裂き一匹に深手を負わせている、かなり威力が高そうだ。あれならすぐに力尽きるだろう。
一番近くの個体に駆けながら初期斧と入れ替え両手に取り出した亜人の斧を先ほど吹き飛ばした奴と目の前にいる奴二匹にぶん投げる。
目の前の個体は頭に当たったがもう一匹には綺麗に命中しなかった。まあ倒せたので良しとしよう。
「ストーンバレット!」
石の弾がめり込んだカワウソが吹き飛んでいった。今ので最後・・・じゃないなぁ!
先ほど彼女が深手を負わせた個体が今にも飛び掛かろうとしていた。
「この距離じゃ届かない・・・アンプトン!」
斧を振りぬく途中で離す。加速した斧は勢いそのまま最後の一匹を真っ二つにして地面にめり込んでいった。
「ひゃう!・・・え?なんです?」
あと少しでユカリの首を吹っ飛ばすところだった。アブね。
「なんかまた助けられちゃった感じですか?」
「・・・ソウダネ」
「なんかすごい勢いで飛んでいきましたけどスキルかなんかですか?」
「ソウダヨ」
うわぁ純粋な目。
実は上手くいくか分かんなかったし適当に投げたのでアナタの首も刎ね飛ばしかけましたとか言えない。
無駄に疲れた。主に味方を真っ二つにしかけた点。
「まあ無事ならよかったよ」
やっと一息つける、とレベルが上がっているようなのでステータスを開いてみる。
『スキル「投擲」を入手しました』
どうやら投擲攻撃の威力が上昇するスキルのようだ。亜人の斧を投げまくっていたから手に入ったらしい、パッシブのようなので便利だ。
アンプトンで強制的に高速投擲した初期斧もすでに威力過剰だったがこれでさらに威力が上がるだろう。
問題は耐久力だ。一回投げただけで耐久力が四分の1は減っている。普通に使っている分には全く減っていなかったのに。
アンプ投擲(今命名)はあと二回くらいが限度だろうな。まあこの攻撃が必要な敵なんてこの辺にいないだろうが。
レベルは2上がって10になっていた、少し経験値が多いような気がするが集団戦だったからとかだろう。
ドロップアイテムは皮が6枚に牙が7本だ、どうやらベルコッターという名前らしい。
アイテムは押し切られたので4つずつ貰うことになった。
気づけば夕飯時だ。一度ログアウトしようかな。
「疲れたし私は町まで帰るよ」
「んー私もそろそろ帰ります。一緒に戻りましょうか」
町の宿屋まで20分ほどだろうか、敵と遭遇することもなく雑談しながら帰りフレンドにもなった。少し仲良くなれた気がする。
戦闘シーン難しい...わかんない...
経験値は戦闘の難易度で決まります。自身とのレベル差や敵数とかですね