暴食の大罪者
「…創楽様」
「どうした?MOTHER」
「バグりました」
「あー…どこで?どんなバグ?即修正いる奴?」
「場所はカヤ平原…面白いことになってますね。プレイヤーが死ななくなってます」
「…それかなりマズイバグじゃない?」
「かなり特殊なので余程の事がない限り発生しないでしょう…というか起こしたのは瑠璃様ですね。」
「へ?…ハハハハハヒッゴホッゴホおえぇ」
「大丈夫ですか?」
「はーおもろ。昨日の今日でバグらせたの?しかもカヤ平原ってことはシセラ関連?」
「彼女は既にいませんが...カヤノヒメがいますね、瑠璃様はカヤノヒメの胃の中で生きてます」
「いのなかぁ?」
「通常は噛まれたダメージか出血ダメージでデスになるはずですが…出血のダメージが無効状態になってますね。『仮初の不死』効果中に受けた攻撃が元の持続ダメージが発生しないようです、あんな特殊なもの創るからですよ。それから胃酸に浸かってないので毒耐性で耐えれてます。」
「ほーん。…意識あるのかな?」
「ある…といいますか、捕食されたら強制的に気絶状態にしてあるので今は虚無空間です」
「胃の中の感想でも聞きたかったのに…どんくらいで修正できる?」
「もうできました。今回はこのままですが次は食べられても生き残ることは難しいでしょう」
――――――――――
…どこだここ
見渡す限り白である。
起き上がり周囲を確認しながら振り返ると、
「起きたか、女」
この空間には見合わない全身黒に包まれた人物がいた。
誰かは知らないけどイケメンや。
「…どちらさん?」
「人に名を聞くときは自分から名乗るのが礼儀ではないかね」
「そりゃそうかもしれない…ルリです」
「そうかルリよ。よく来たな」
…お前は名乗らないんかい。
なんなんだコイツ。
「ここどこ?」
「意識だけの空間だ、貴様の本体はどっかの獣の腹の中だろう」
「あ~カヤノヒメってのに食べられた」
「カヤノヒメか、よく生きているな。あれはなんでも嚙み砕き飲み込む化け物だな、我は嫌いだ」
「ほえー不死で耐えられるもんかなそれ…ていうか詳しいね」
「暴食系統持ちとは繋がりがあるからな。ある程度の情報は分かる、貴様のように会話できる者は久しいがな」
「暴食系統?…ん?『貴様のように』って何よ」
「理解してないのか?貴様も暴食系統に属しているからだ」
「…なんそれ?」
「それすら知らんのか、…はぁ説明してやる。大罪系統は―――」
「ごめんその前にあんた誰?」
「…名乗っていなかったか...んんっ。あー我が名はゼベル。吸血鬼の真祖にして【暴食の大罪者】だ」
「ほーん…」
たいざいしゃってなんだっけー…ああ放送があった奴か。討伐か可能になったとか言ってたっけ。うーん…討伐出来るなら敵だよなぁ。
…倒せるか?というか意識だけの空間とか言ってたけど戦えるのかここで?
「そう警戒するな。ここでは物理的に干渉は出来ない」
「…そう」
「話を戻していいか?大罪系統は七つに分けられる。【暴食】【強欲】【憤怒】【嫉妬】【傲慢】【怠惰】【色欲】だ。そして大罪者はそれぞれの【原罪】に当たる者のことだ。それぞれが特異な力を持っている、どれも強力なものが多い。」
「特異な力?」
「そうだ特異な力だ。それぞれの系統に属する者にも多種多様な力が発現するが...直接力を与えられた者と自然的に発現させた者ではその力も強さも大きく異なる...こんな所だな。さてルリよ、取引だ。貴様に【暴食】の力を授けたい。そしてやってもらいたいことがある」
「私に?!なんで?」
「貴様も暴食系統に属していると言っただろう。貴様は…鬼を喰ったのか?酔狂だな」
「あれは無我夢中だったし…とりあえず理解はしたけども、それでやってもらいたいことって?」
「ああそうだ、貴様が力を受け取るのであればそれを教えよう」
「…どんな力?」
「さてな、受け取る者によって変化するからな」
まぁ考えるまでもない...か。この話を受けないヤツはゲーマーじゃないね。
「イイじゃん、面白そうだね。その話受けるよ。私はゲーマーだからね」
「面白そう…か。やはり見込みのある女だな。それで肝心のやってもらいたいことだが」
こんな取引持ちかけてくるくらいだ、どんだけメンドクサイ条件が出てくるか。
「我を殺せ」
「え?」
「我を殺してくれ、この身に堕ちてどれほどの年月が過ぎたことか…この身は膨大な生命力と高い自己回復力を常に発動している。陽に焼かれようと、魔物に襲われ続けようとも死ぬことは出来なかった。もう疲れたのだ。何も変えられぬ日々に父も狂った、数百年は会っておらぬ。」
「…」
「貴様に【暴食】の力を授ける。貴様自身が成長すれば我を『喰らう』ことができる。そうして我を殺してくれ」
…わぁ、予想外に意味不明な条件を提示された。
「...よし、力は与えた。ではお別れだ」
「あ。そんな簡単なの」
「意識だけの空間だからな」
「ほーん…で、どうやったら私は起きれるの?」
「知らん。食われたのだから消化されればいいのではないか?異邦人とやらは死なんのだろう?」
「ええ...そんなぁ」
――――――――――
ルリが食べられてから約10分程、万全ではなかった面々は数人の退場と負傷により戦える人間は夏将軍、一三子、エリスを残すのみとなっていた。
「マズイね、これ以上足止めするのは難しいよ」
「…クソ。せめてエリス嬢だけでも逃がさねぇとな...俺たちみたいに復活出来ねぇ」
「お手数おかけいたします」
「ハハッ素直なこった!…来るぞ!」
獲物を正面に捉えたカヤノヒメが再び襲い掛からんとした時。
「『―――』捕まえろ」
突如現れた光沢を持った泥のような、金属のような物質がカヤノヒメに絡みつくような纏わりつくように動きカヤノヒメを抑え込んだ。
「これは...」
「よぉ、夏将軍」
いつの間にか夏将軍の近くに男がいた。彼はカヤノヒメに目もくれず夏将軍に話しかける。
「ウチの妹はいるか?」
うーんどう見ても説明不足、出していい情報と知っている情報と知っていい情報が決まらん




