導入でよく見る展開
「ネズミ・・・かな?」
この世界最初の敵として現れたのはファンタジーの定番・・・とまではいかないが序盤の敵としては見かける相手ネズミ型のモンスターだった。
「ヂュ!」
「うぇっと・・・痛いな」
まっすぐに突っ込んでくるネズミを真正面からぶん殴る。吹っ飛んでいくネズミ、僅かにダメージを受ける私。そりゃあんなデカい前歯をぶん殴ったら当たり前である。咄嗟のことで拳が出てしまったのでしょうがない。
「うげ、こっちにもダメージ入ってんじゃん」
僅かだが互いにダメージが入ったようだ、リアリティが増している分たとえ武器を使わずともダメージを与えられるゲームはある。
たとえ素手で殴り掛かったとしても先にHPを削りきってしまえば勝ちなのだ。
まあそんなことしないので斧を構え、再び突っ込んできたネズミに合わせて振りぬく、大口を開けていたので口角から胴体半ばまで刃が食い込む。HPを削りきれたようでネズミは白いポリゴンになって消滅した。
「なんか落とすのかなっと・・・ビッグラットの肉、毛皮、歯か」
どうやらビッグラットというらしい。ドロップ品は直接インベントリに放り込まれるタイプのようだ。毛皮は少し火に耐性があるようだが歯と同様、使い道がわからないので放置、肉は焼いたりすれば食えるらしい、結構おいしかったりするらしい。
「レベル上がるまであと半分くらいか・・・とりあえずレベル上げ兼ねてあの森を目指そうかな」
目的地は平原の先に見える森だ、多分次のエリアだろう。
森に向かっていく途中、川があったので川沿いに森へ向かって進んでいく道中ビッグラット以外にも何種類かモンスターに遭遇した。
ファンタジー有名どころ亜人のゴブリンにコボルト、水中からジャンプしてきて地上で数回跳ねてまた水に戻るブルーバス、最後の最後で相打ちになり麻痺毒でやられかけたポイズンアント等厄介な奴もいた。
亜人の斧:人型種族が作った斧。単純な作りになっており基礎知識さえあれば誰にでも製作可能。切れ味は非常に悪い。
ブルーバスの牙:非常に鋭いが折れやすい、一週間もあれば新たな牙が生えてくる。
ポイズンアントの毒袋:ポイズンアントの体液が入っている。体液は弱い毒と麻痺効果を持っている。
ドロップアイテムはこんな感じだった。あと肉
レベルも8まで上がりステータスポイントは+24、ステータスポイントは3ずつ貰えるようだ。川沿いを歩きながらとりあえず割り振りをしてステータスはこんな感じになった。
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PN:ルリ
合計Lv:8
所持金:5000ゼニィ
職業:戦士(斧使い)Lv8
HP《体力》:150(+100)
MP《魔力》:30
STR《筋力》:15(+5)
VIT《耐久力》:20(+10)
DEX《器用さ》:10
AGI《素早さ》:10
LUK《運》:1
MND《特殊防御》:5(+4)
残りステータスポイント:5
装備
右:初心者用汎用斧
左:×
頭:初心者用戦士鎧(頭)
胴:初心者用戦士鎧(胴)
腕:初心者用戦士鎧(腕)
腰:初心者用戦士鎧(腰)
脚:初心者用戦士鎧(脚)
装飾品:なし
スキル
・仮初の不死(1)
・麻痺耐性
・毒耐性
・ブレイクカウンター
・アンプトン
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近接特化って感じになった、今のところ斧をぶん回すプレイをする予定なのでこれでいい。それにさっきのクソアリみたいに毒を使うやつがいるかもしれないので状態異常の耐性が上がるという特殊防御も少し上げておいたがどれくらい効果があるだろうか。草むらの中で倒れたまま麻痺で動くこともできずに毒で死ぬかもしれない恐怖はもう味わいたくない。最悪の1分間だった。
耐性系スキル二つはクソアリの毒に侵された時に手に入った、毒の効果を無効化することは出来ないが軽減することができるようだ。
ブレイクカウンターは攻撃を受け流したり弾いたりしながら反撃するスキルで部位破壊にプラス補正がかかるようだ、ゴブリンやコボルトの武器をカウンターしながら壊していたら勝手に習得した。
アンプトンはレベルアップで習得したスキルで斧を大きく振りぬき攻撃するスキル。振りぬく速度と威力が上がる効果がある。
どちらも使えるスキルだが現状ブレイクカウンターは部位破壊できるような敵が少ないので効果が薄い、アンプトンは威力が過剰なくらいだし使用中の隙が大きいので使いずらいといった感じだ。
ちなみに亜人系の敵は武器を壊さなければ確定で武器がドロップするようだ。まあ性能はお察しなので使う予定はないが。
「だれ...いませんか~...」
「・・・ん?」
助けを求めているような声がする。草むらの奥のほうだろうか・・・そこには少し草の焦げた匂いが立ち込める中、緑の粘着質な液体にまみれ股を広げる形のお昼には放送できないような倒れ方をしている少女がいた。
「・・・・・・」
「あっそこの人!助けてくれませんか。お肉上げますから」
「・・・・・・」
正直関わりたくない。
「あの?なんか言ってくれませんか?」
「・・・助けて欲しいの?えっと.・・・なんかその趣味?じゃなくて?(笑)」
「趣味でもこんなとこでしないですよ!なんか大きい虫爆発させたら変な液被っちゃって動けなくなったんです」
多分ポイズンアントのことだろう。あのクソアリ体液被るだけで毒になるのか、というかあのサイズのアリを爆発四散させるとは怖いもの知らずというかなんというか...
「・・・悪いけど私は解毒とかはできないから時間経過を待つしかないと思うよ」
「えっ・・・じゃあこのまま股おっぴろげて後2分間寝てろと?」
「大丈夫だよ、パンツじゃないから」
「そこじゃないでしょ~あぁ可愛い乙女の尊厳が失われていく…」
「あっゴブリン」
「えっやだ待って助けて!嫌あああああ!!薄い本みたいになっちゃうぅ!!!」
ちなみにゴブリンはプレイヤーはそういう目的では襲いません。
亜人の斧は片手斧でアサクリみたいに投げれます。