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瑠璃の輝き。~VRMMO攻略記~  作者: イヌ汰郎
第一章:今のための過去のお話
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ここでじっとしてたらゲーマー名乗れないよね

 カヤ平原にはエリアボスが一体いる。ランダムな感覚、場所で定期的にリポップするタイプのやつだ。

 終盤でも役立つ便利な装備を落とすのでよく取り合いになっていたし、そのアイテムも法外な値段で取引されていた。別にアイテムの取引自体は悪い事ではないが上位層の、それも悪役ロールしているやつらの独占状態になっていたのがいけなかった。

 そのせいで悪役ロール勢の盗賊クランと初心者達、それから独占状態をよく思わない上位層の人達でよく小競り合いが起きていた。

 が、1年ほど前、とあるクランの出現によりその争いはなくなった。そのクランが『KNHT』だ。

 彼らは力でその場を収めた。誰よりも早くエリアボスの出現を嗅ぎ付け誰よりも早く討伐し始めた。

 当然最初にキレるのは盗賊クランだった。盗賊クランはPKという手段に出たが知られているだけで12回の襲撃もすべて蹴散らして全員黙らせた。

 そしてエリアボスの装備をそこそこの値段で売り出した。初心者でも頑張れば買えるくらいの値段で。

 批判もあったが自ら狩りたい者には譲ったし協力もしたことで徐々になくなっていった。

 その後盗賊クランは姿を消し、KNHTは商売を安定化させ、その地位は確固たるものになった。


 ――――――――――


「で、そのKNHTのリーダーがあの人だ。岩石と焦熱の2属性魔法使い、この平原でのNBM単独討伐17回の正真正銘『平原最強』だ」


 夏将軍が色々教えてくれた。とりあえず服を着て欲しい。


「あの人に全部任せとけばいいわけ?」

「まぁそうだな...KNHTのほうがここでの戦い方をわかってる。あの...マルタ?だか何だかに負けることはないだろうな」

「そっか...」


 正直惜しい。これはワールドクエスト、今まで存在が確認されなかったレアなクエストの可能性が高いのだ。特殊な報酬があるかもしれない。ここで何もせずに見ていたくはない。


「このままここで眺めてるだけでゲーマーが名乗れるかよ。どうせ俺たちはアイツの部下でも何でもないんだ。なぁ嬢ちゃんあんたも目がそう言ってるぜ」

「いいねぇ話が分かる人は!」


 その通りだ。ここで行かねばゲーマーは名乗れない。

 話の分かる人だ。あとでフレンドになりたいくらい。変態だったわやめとこ。


「二人は行く?」

「当然です」

「...ワタシは...いえ、行きます」


 沙羅身とPAPYも行くようなのでこれで6人だ。


「嬢ちゃん斧使いだな?これ持っとけ」

「うわナニコレ?要求ステ足んないし」


 祭禮式斧:神樂

 信仰、崇拝、忘れられし祭禮。かつての祈りはいまだ届かず。


「これも使え、一時的に要求ステを無視できる」

「助かるけどほんとにいいのこれ?高いんじゃない?」

「そこまでしないぞ、それに戦力は多いほうがいいからな。ほら魔法使いの嬢ちゃんには簡易魔術(スクロール)だ『発動』で使えるからな」

「あっありがとうございます」

「槍の嬢ちゃんは...なんもいらなそうだな、嬢ちゃんあっちで斧試してきな」


 とりあえずわかりずらいの呼び方を変えてもらうことにした。

 少し離れて斧を使ってみたが使いやすい。要求ステ無視できるアイテムとかぶっ壊れなのでは?常用したいんだがいくらぐらいだろうか?


「...あれダンジョン産ですよね。それにステ無視も安くはなかったと思うんですが」

「気にするな先行投資だ」

「先行投資?有名にでもなりそうですか?」

「昨日始めた初心者(ルーキー)が鬼に認められてあんな化け物(バイオロイド)連れてんだぞ?将来有望だろう」

「確かにそうですけど...それだけですか?」

「ん?ほかになんかあるか?」

「なんか見ていて楽しそうですけど...そういう趣味です?」

「違う。多分だがリアル知り合いの妹なんだよな...貧乏神と言えばわかるか?」

「えーと...あ、あの人の!てか大丈夫です?それ」

「妹はガチゲーマーらしいからな...最近始めそうって言ってたし多分あってるだろう」

「というか夏将軍さんにリアルフレンズがいたんですね」

「お前さっきから失礼だな。俺だってリア友くらいいるわ」


 ――――――――――


「インフェルノ」


 業火が吹き荒れマルタとやらを包み込む...が効果があるようには見えない。


「まぁ効かないか...いや銃撃は抑えられてそうだな、熱か?ロックショット三重(トリプル)


 4×3の岩石を打ち出すも少し刺さる程度で大したダメージにはなっていないようだ。

 今は地面を動かすことで進行を遅らせてはいるがこのままでは突破されるのも時間の問題だろう。


「どうしたもんかなー集中させれば倒せなくはないけど数が多すぎるし」


 先ほど地面に触れて分かった。まだ森の中で進行しているのがいる、それも100とかそんぐらいの数だ。


「不味いねー」

「団長ー!」

「なに?なんかあった?」

「ウチ以外で残ったプレイヤーをまとめました。夏将軍達です!」

「あー彼らかぁ...濃いなぁ」


 聞いたことがあるプレイヤーだ、戦力になるだろうが…勝手に動かなきゃなんでもいいけど。


「それよりもさちょっと街行ってきて応援呼んできて」

「えっ応援ですか?」

「そう応援今見えるのは何とかなるけど森の中にまだ数倍いる。あれが来たら捌ききれないからできるだけ早くね」

「...!分かりました」


 伝令君は今いる中で一番早いから15分もあれば街に着くだろう。

 そこからプレイヤーが纏まってくるまで...1時間くらいかな?

 誰がいるだろうか?この時間なら氷神はいるだろうか。


「さすがにそんなに待ってはくれないだろうけど...」


 再びMPを溜める。消費が激しいのであまり連発したくはないが悠長なことは言ってられない。


「悪いけど僕の二つ名は飾りじゃないんだ『赤熱土嶽』」


 大地が爆ぜる。

地の上が岩石で火の上が焦熱です。他にもあるけど。

2属性以上の上級職を取ると特殊職が解放されますが彼はたどり着いてないです。

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