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瑠璃の輝き。~VRMMO攻略記~  作者: イヌ汰郎
序章:はじまりのはじまりの話
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紫の夢

「エリスさんって人じゃない...ですよね?」


 さてどうしようか?可能なら誤魔化したいが。成り行きで一緒にいるけど彼女のことよく知らないし。


「...なんでそう思うの?」

「んー動きが人っぽくないっていうか...なんていうか制御された動きみたいで、それにフレンド申請飛ばそうとしてもできないんですよ」

「はぁ、よく気が付くね」

「それから今連絡するって言って腕輪いじってましたし...それ絆の腕輪ですよね?初めてテイムをした時にもらえるやつ」

「...」


 私はバカか?目の前で腕輪の操作するとか痛恨のポンしてるじゃん。

 やめて!そんな「コイツ馬鹿だ」みたいな目で見ないでエリスさん!


「話すか...」

「あまり広めるべきではないと思いますが」

「仕方ないじゃんもう言い逃れ出来なそうだし」

「じゃあやっぱり?」

「あー何から話そうかな...」


 ――――――――――


 とりあえず昨晩森の中でエリスと出会い共に玄鬼と戦って気づいたらテイムされていた。ということになった。

 謎の幼女の事、それからエリスと玄鬼の間に因縁がありそうなことは伏せておいたほうがいいだろう、エリスも話せない様なのでよくわかっていない所も多いし。


「なるほど玄鬼と戦った、だから調べてたんですね...それでエリスさんは何のモンスターなんですか?」

「...機械型モンスター?アンドロイド?だったけ」

人造人間(バイオロイド)です」

「そうそれ」

「バイオロイド...人に寄せて造られた。ってことですね?」

「はい」


 なんか雰囲気変わったぞ?


「それであなたは何が目的ですか?」

「話せません」

「話してください」

「...」

「はいストーップ、ケンカしないで」

「ルリさんは何故エリスさんと同行してるんですか?」

「え?なんでってそりゃ...」


 なんでだろうね?正直勝手にテイム扱いになったといっても一応こちらが主なわけで、その気になればこの関係は解消できるわけだ。

 けどまぁ強いて言うなら...


「楽しそうだから」

「...は?」

「良いねその顔...ここはゲームん中だよ?非日常を楽しむ場所だ、面白そうな事がありそうなのに自分から離れるゲーマーはいないでしょ」

「......」

「はい大口開けてボケっとしないの」

「分かりました...私も一緒に行っていいですか?...いえ行きます」

「えぇ?まぁいいけど...どうした急に」

「別に...強いて言うなら面白そうだから、です!」


 そう言われたら断りずらいな、まぁついてくるのは私はいいんだが。


「エリスもいい?」

「...構いません」

「とりあえず喧嘩しないでよね」


 妙に懐かれてる?のか?


 ――――――――――

 ユカリside


 私には姉がいる。

 天才とはあんな人のことを言うのだろう、誰にでも優しく、なにをやらせても軽くこなしてしまう。

 しかし少し、いやかなり抜けたところがあった。

 口車に乗せられやすくよく騙されていたし、どこへ行こうにも1人だとすぐ迷子になる。

 それでもかっこよかった。人を助ける事に迷いがなく色んな人から感謝されているのをよく見ていた。

 その時も同じように人を助けようとしたのだろう。

 私の憧れは小さい女の子を庇いトラックに跳ねられて呆気なく死んでしまった。

 雨による視界不良、トラックの運転手の持病、傘を風に飛ばされた女の子、運が悪かったとしか言いようがないだろう。

 それでも、それでもあの日、私が寝坊しなければ、待ち合わせ場所に時間通りに行っていれば、姉はあの道に行くことはなかっただろう。

 私の誕生日にわざわざ来てくれた姉を死なせてしまうことはなかっただろう。

 私は家から出なくなってしまった。ただ皆にしばらく休みますといってもう1年がたとうとしている。

 そんな時実家からの仕送りの中にゲーム機が入っていた、姉がよくプレイしていたらしい。姉はゲーム内でもかっこよかった、いつも私を守ってくれて、それでいて楽しめるようにしてくれた。

 最初は全くやる気はなかった、せっかくだからと軽い気持ちでやってみた。

 そこで彼女に出会った、ルリさんと言うらしい。

 人と話すのは久しぶりだったが何故かスラスラと言葉が出てきた、いつも会話しているみたいに。何故だろうか?

 ああそうだ、似ているのだ。容姿は似ても似つかないがプレイスタイルや言動などがそっくりなのだ。

 姉が生き返ったかのようだった。放したくない、近くでもっと見ていたい。

 あの状況だったら結構な人が助けてくれただろう、しかし私を助けてくれたのはこの人だ。

 出来る限りついていきたい。彼女は強いから、私なんかじゃ追いつけないかもしれない、けれどそれでも私の姉を、憧れを感じていたい。

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