世界の歴史
「まず今の世界の大まかな国は3つだ。他にも小国はあるがとりあえず置いておこう。
1つ目は今いる国エクルタス、建国は約700年前。冒険者が多く魔物狩りが盛んだね。プレイヤーがそのまま居つくから最近は景気がいいらしいね。
2つ目はアマツ連邦、ここから南にある国だね。30くらいの島国の集まりだ。昔は領土の奪い合いが絶えなかったらしいが400年ほど前にアマツという人物が統一した。以来アマツ一族が統治してきた場所だ、ここは和の文化があるらしいよ、あたしゃいったことないけどね。
最後がマスエル帝国、西の海を渡った先の大陸全土を支配している大きさで言えば最大国家だね。科学と魔法を融合した技術が極めて高く建国から3000年は続いている国だ。まぁ要するにSF国家ってやつだね。
この帝国が1200年前に亡びかけた国、要するに滅んだ文明って言われている所だ。
西の大陸は北と南で二つに分かれたような形をした大陸だが一般人は南側にしか住んでいない、北側は大量の魔物に支配されているからね。
この魔物が現れたのが1300年前、当時帝国は世界征服目前だった、が突如大地から大量の魔物があふれだし領土の三分の二以上である北側を魔物に占拠された。帝国はそれからずっと戦い続けている。
この時代南側は穀倉地帯だったらしいからね、北側には帝都もあったし重要な施設もあった。ここで技術と優秀な人材が多く失われ古代の高度な技術はなくなったってわけさ。
軽くこんな所かね、何か質問はあるかい?」
古びた世界地図を広げ、雰囲気作りか眼鏡をかけた一三子さんが話してくれた。
「帝国ってこの辺に施設作ってたりしました?」
「このあたりにかい?確かいくつかは遺跡として見つかっていたはずだ。さっきも言った通り帝国は世界征服目前だったからね、世界中に施設をつくっているさ」
「...まだ稼働中のものがあったりは?」
「稼働中の遺跡ね...このあたりにはないね。なんだい新しい遺跡でも見つけたのかい?」
「いや遺跡を見つけたわけじゃないんですけど...なんていうか技術の高いものを見つけた?というか」
「...そうかい」
エリスのことはあまり話したくないので濁したがバレている気がするので話をそらそう。
「黒い鬼のことは何か知りませんか?」
「黒い鬼ね…有名処じゃないか、あったことあるのかい?」
「ええまあ...」
「【黒鬼】名前が表示されていない謎の多い奴だ」
そういえば遭遇した時のアナウンスで黒鬼???とか言ってた気がするな。名前は判明してないのか。
「神出鬼没の戦闘狂、強者と戦うことだけを考えている鬼族だね」
「戦闘狂、ね」
それで幼女が来たときテンション高かったのか。強そうだったし。
「そうさ。そして奴と戦い、気に入られれば者は認識される。ま、認識されたからと言って何かがあったとか聞いたことはないけどね」
「つまり目を付けられるってこと?」
「さぁ?そこはよくわかってないね、また会ったら会話でもしてくれるのか、問答無用で殺しに来るのかそこらへんは経験したことのあるやつに聞かんとわからんさ...あんたみたいなね」
「げっ」
「おや、やっぱりかい。わざわざ聞きに来るなんて珍しいからねぇ」
「それだけで?」
「年の功ってやつだね」
ご老人恐るべしだ、この人に隠し事は出来ないかもしれない。
「よし、とりあえず帰ります。ありがとうございました」
「そうかい、またなにかあったらおいで」
――――――――――
「おばあちゃんうれしそうだね」
「ん?ああ久しぶりのお客だったからね。それにかなり見どころのある子だったよ」
「見どころ?なにが?」
「フフフ、秘密さ。少し喋り疲れたねお茶にしようか」
「...わかった」
「面白い子だったね...まだここにきて数日だろうに玄鬼に人造人間だって?面白い、まだまだ若い子に負けてられないねぇ」
――――――――――
「はー、なんか威圧感ある人でしたね」
「まぁプレイヤーで館長なんて重要なポジションに就いてるってことは弱くはないだろうね」
「確かにそうですね...ところで今からどうします?」
「エリスと合流したいけど...どこにいるんだろ?」
「メッセージ送ればいいのでは?」
「いやフレンドじゃな…いや行けるか?」
絆の腕輪のメニューからエリスを選ぶ、が特に連絡を取れそうなものはなかった。
そりゃそうだ、一応テイムモンスター扱いだ。テイムモンスターに連絡を取る人がそうホイホイいるとも思えない。
一度送還してまた召喚すれば強制的に呼び出せるだろうが...やめとこう。嫌われても困るし。
「お探しですか」
「...だから急に出てこないでよ」
「失礼、つい」
「ついで脅かすのやめてよね、この前も行ったけど―――」
「あのぉ」
「ん?ユカリどうかした?」
「ちょっと前から思ってたんですけど」
恐る恐るといった感じでユカリが言う。
「エリスさんって人じゃない...ですよね?」
何故バレたし