フレン投獄 後編
コツコツコツ…
本を両手で持ち私は階段に踵を返しペラの元へと戻った。
やっぱり長い廊下だと感じる、狭いが薄暗く石で囲われているためヒンヤリとしている。
ようやく光が見えてきた。
「あ、お帰り~何かあった?」
「ええ、ちょっとねこの本と地下への階段があったわ。」
「へ~、その本には何が書いてあるの?」
私はこの本には館に関連するあらゆる事を記してあることを教えた。
「なるほどね、そんな大事な本が隠された通路の先にあったってことは重要な物ってことだよね?」
「私もそう思う、これは私が書庫に大切に保管して……」
「ちょっと待って!これは私が預かっておくよ、ちょうどいい置き場所知ってるんだ。」
「そう…それならこの本はペラに託すわ。」
「大丈夫大丈夫任せて!」
そして今私はフレンをその階段の先にある牢獄に入れようとしている。
後から分かったことだがこの階段は地獄に近くという思いで作られたものらしく、地下は10Fまで続いており無限に階段を下りているような錯覚を感じる。
ようやく階段の終わりが見えてきたがそこはこの世のものとは思えぬ、恐ろしさを寄せ集めたような空間だった。
階段が終わると同時に開放感のある空間になりどこから照らしているのかわからないが牢獄の入り口付近までは深夜の外套のような明るさがある。
例えば監獄に閉じ込めてある囚人を逃すまいと外周を照らすような感じに似ている。
フレンの入った箱をその辺に置いて周りを念入りに見渡してみる。
階段の向かいにある牢獄の入り口となる鉄格子以外はすべて石で囲まれていて照らされていても暗く感じることで閉塞感がある。
よいしょ、と箱を持ち牢獄の門の前に立ち言葉を投げかける。
「ここにいる罪人フレンを許すその時まで苦痛、永遠の絶望を与えよ!」
こう叫ぶとよいとあの本には書いてあった。
すると門が開き箱と縄が消えフレンだけが開いた向こう側は毒々しい冥界の入り口のような紫の空間に吸い込まれていった。