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帝国に何しに来たの?

~帝国内~


着物に似たラフな格好の人が男女問わず歩いていて、人の話し声や商店の客を呼ぶ声が喧しい。

塀があるはずなのに地平線が見えるほどに帝国の領地が広いことが伺える。


「で、あなたは何をしに来たの?」


後ろでおどおどしている商業人の男は「え?」とでも言いたそうだ。


「そういえば言ってなかったね、実はここはいい稼ぎ場なんだ。」


「じゃあ稼ぎにわざわざ来たってこと?」


「そうです、急に大金が必要になっちゃって…」


明らかに何か事情がありそうな顔をしている。

なのであえて深くは聞かなかった・


「まぁ頑張りなさい、私はここには入れればいいのよ。」


「え?手伝ってくれるんじゃ…」


「私がそんなに善人に見える?立派な節穴を持ってるようね。」


正直この男がどうなろうがどうでもよかった、今は明確な目的があるのだから。

フレンと未来に身勝手な人間というレッテルを貼り付けられたら面倒だし。


じゃあ総本山に飛び込むかと思ったところで後ろ手を掴まれた。


「ま、まってください!少しでいいんです!手伝ってください!。」


私に依存してしまったか?

面倒なことになった。


勿論断ろうと思ったが顔を見てしまったことが失敗だった。

男の顔は今にも泣きだしそうで、真っすぐな目で見つめていた。


「……しょうがないわね、手伝ってあげるわ。」


大した思考もせずに決めてしまった、私は流されやすい人間なのだろうか。

しかも内容すら聞くのを忘れていた。


「っていうかあなたの名前を教えなさいよ。」


男は晴れやかな顔で嬉しそうだ。


「そうでしたね、僕はアレクと言います。」


「私はシラリアよ、面倒ならリアって呼んで。」


なぜこうも親切なのか自身のことなのに不思議だ。

そもそも私ってこんな性格だったっけ。


「ありがとうございます!リアさん。」


「で?何を手伝えばいいの?」


「まず露店の設営ですね、この辺は人口密度も多くて儲けやすいんですけど競合が激しくて…」


まぁそうよね、これだけ主要な場所だと民家より商売人の住居兼露店の方が圧倒的に多いからね。


「じゃあこの辺のどこかに建てればいいじゃない。」


私はなぜか開いているスペースに駆け寄る。


「ちょっと待ってください!ここはダメなんですよ、」


「え?なんでよ、こんないい場所他にないわよ。」


私はまるで禁足地にいるような目でみんなに見られている。


直ぐにスペースから出るとみんながほっとしたような顔をする。


「ここは何なのよ。」とアレクに聞く。


アレクはちょっと躊躇ってから「ここは帝国の特別指定場所なんです。」

「昔ここに入った人が酷い拷問にかけられたそうです。」


それでみんな怖がってるのね。

自分にも非が飛んでくるんじゃないかと。


「そんなこと言ってもね、この辺には隙間なんてないわよ?」


「うん、そうだね。」


アレクは飄々とした返事をした。


私は苛立った様子で「は?何のんきなこと言ってるのよ。」と苦言を言うと、「この場所は帝国に売り上げの一部を献上しないと商売できないことになってるんだ。」


そう説明された。


別に無理やり商売すればいいと思ったが、面倒なことになりそうなので言わなかった。


暫く二人で周辺を一周してきたが満ち満ちになっていて隙間がない。


「あきらめた方がいいわ、ここじゃないと稼げないでしょうし。」


私は軽く突き放すように言った。

この時間が無駄なようなものに思えてきたし、うかうかしてたら未来が来ちゃうかもしれないし。


アレクは「そんな…」と明らかにがっかりと肩を落としている。


その時私は手っ取り早く場所を確保する方法を思いついた。

「そんなに言うなら場所だけは作ってあげるわ。」


私は「ここで待ってなさい」と伝えて一番近くの、テントが大きくなったような店に入る。


店主は「いらっしゃいませ!」と陽気に声をかけるが全て無視して店主に話しかけた。


「ここから今すぐに立ち去らないとあなたの首が飛ぶわよ?」


店主は顔を強張らせて悲鳴のような声をあげながら金だけをもって出て行った。


予想通り私を上級に位置する人間と思い込んだようね。

私はテントから顔を出して「場所確保してあげたわよ」と言いアレクはおどおどしながら入ってきた。


中は乱雑に配置されていて、いい加減な置き方に腹が立つ。

ただ…もう関係ないけどね。


「これだけやってあげれば満足でしょう?」


私は今すぐにでも城に行きたかった。

そこにいる可能性が極高だから。


私が言い出したせいだけどこれ以上足止めされたら困るので「じゃあ頑張ってね」と残してテントを出た。

アレクは「ちょ、ちょっと待ってよ」と言ってくるが無視して聞こえないふりをした。

走ると目立つ可能性が少しでもあったから歩いていたが、アレクがへばりついて来て鬱陶しい。


ずっと隣を並走して横を向く事さえできない。

おまけに「どこに行くの?」とか話しかけてきて蠅のように五月蠅い。

暫く無視していたら引き返すだろうと思ってたのに全然離れない。


「何の用事?」


ついに私の方が折れてしまった。


「いや…なんか…」


何でしどろもどろになってるのか訳がわからない。


「用が無いなら私は城に行くわ。」

暫くすると気配が無くなり、後ろを見るとテントに戻って行くアレクの姿があった。



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