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フレン投獄 前編

コツコツコツ…


私は今両手両足を特殊なロープで縛り上げた状態で手ごろな箱の中に押し込み石造りで少し欠けている階段を下りている。


この館は地上は4階まであり、尖塔に小部屋がいくつかある構造、地下が通常2Fまであり、階段の位置が入り口から入ってすぐのエントランス、館を奥に奥に進んだ所の二か所ある。


手前の階段は螺旋階段となっていて床の赤絨毯が同じく敷かれていて、パパッと上に上がれるようになっているが、奥の階段は質素な木の階段となっていて踊り場も確保されていてゆったりとした階段となっている。


あとこの館内装が手前半分は豪勢な作りになっているが、奥半分は木を基調とした質素な作りになっていて落ち着いた雰囲気になっている。


つまり手前は豪勢な代わりにスペースはそんなに広くはないが急いでいるときには非常に便利、奥は見た目も落ち着いてゆったりしている、ちなみに私は奥の落ち着いた雰囲気が好きで読書もはかどるし手前側と比べて着飾っていないのが居心地がいいのでそこに自室がある。


さて、気づいた?いま私が下りているのは石造りの階段、私はまだそのことについては何も話してないのよ。


実はこの館には不思議な空間が所々にあって、ほかのところは追い追い話すとしてこの階段は4年ほど前に私が真ん中らへんにあった武器庫で武器を眺めていた時に見つけたのよ。


4年前


「ペラ今日こそはちゃんと掃除するよ、いつもなんだかんだ言って掃除さぼってるからね、今日は私がしっかり見ててあげるからね。」


「え~本当にやるの~、ここ薄暗くて気味が悪いし、足元も見えづらいし、武器ばっかで転んだらケガしちゃいそうだし、掃除面倒だし…」


「つべこべ言わないでさっさと始なさい!明かりなら私が持って来たから安心しなさい。」


私は持ってきた壁に取り付けられる黒鉄の枠組みにガラスをはめ込んだランタンを壁に取り付けてペラのことを見守るふりをしながら武器を丁寧に扱っているだけで涎が出そうだった。


私は元々武器、いわゆる人を殺す道具には目がなく特に刃物類が大好物だ。


私はここに武器庫があったことを前々から知っていたがペラが危ないからと行かせてくれなかったのでペラに掃除をさせてその間にじっくり見ようと考えていた。


さすが武器庫というだけあってレイピア、ファルシオン、サーベル、グレイヴなど様々ある、正直声を大にしてはしゃぎたいほど興奮している。


「きゃ!レイピアにサーベル最高!」


「シラリアどうしたの?なんかあった?」


「い、いや何もないけど…」


つい声に出してしまった、恥ずかし。


ん?なんだろうこの違和感、この収納棚全部等間隔で置いてあるのにここだけ大幅にずれてる。


パパッと戻しておくか。


そう思い棚を等間隔になるよう右側に押した。


戻し終わり、フゥと息をついて棚の方を見るとさっきまで棚のあった壁がすっ、と消え通路が現れた。


「え……ちょっと待ってよ、なにこれ、ペラ急いででこっちきて!」


「どうしたの?って何この通路こんなのさっきまであったっけ?」


「この棚の位置を調整しようと思って動かしたら突然出てきたのよ!」


ペラはきょとんとした顔をしている、多分理解できないんだろう。


これで理解しろという方がおかしな話でもあるが私だって混乱している。


そんなこんな考えていたらペラが中へ入ろうとしている。


「ペラ!待ちなさい!」


私は焦りと同時にペラの手を強引に掴みこちらに引き戻す。


「そんな簡単に未知の空間に足を踏み入れないで!」


咄嗟のことでつい声を荒げてしまった。


「まず私が行ってみるから私が戻ってくるまでここで待っててね。」


そして私はすたすたと進む、どんどん暗くなるかと思ったがあらかじめ取り付けられた蝋燭が自然と道をうっすらと照らす。


しばらく一本道を歩いていたが途中に階段が現れた、私は戸惑いながらも石造りの階段に近寄ると階段の隣に小さなテーブルがあり、上には一冊の本が置かれている。


これは何?と思いながらも好奇心で本の埃を掃う。


表紙には取扱説明書と書かれている。


中を見てみるとこの館の全体図や外装を描いた絵だったりいろいろなことが書いてある。


ぺらぺらとページをめくっていると栞の挟まっているページがあった、何かあるかもと思い凝視して見る。


そこにはこの階段のことが書かれている。


「この階段の到達点は館に害をなす者を彷徨わせるために作った空間である。

入った者は死ぬことを許されず許される時まで永劫の時を過ごすこととなる。


注意、ここに入った者が出るのを許すのは投獄した者のみなので投獄した者が死んだ場合一生出ることができなくなる。」


と書かれている。


なるほど、ここは特殊な牢獄なのね、この本は大切に保管しときましょう。



























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