喧嘩?いいえ、馴れ合いです
村まで戻ってきたが、ここには村人が大勢いたと考えると虚無感を多量に感じる。
ここに来るまでに未来が言っていたが、この辺にいないということは帝国に連れていかれた可能性が高いらしい。
改めて周りを見ると畑、家、畑、家それしか見当たらない。
遠くに薄っすら小さな城が見えるのが異質に思えるほどだ。
フレンのいるはずの家まで戻って来て、未来とともに地下穴に「フレンいる?いたら上がってきて大丈夫よ」と大声で呼びかけた。
暗闇の中からのそのそとフレンが上がってきた。
「その様子だと勝ったみたいだけど……」
上がってきたフレンの顔は不安感丸出しだった。
「あ~~ここの村人のことなんだけどね?もしかしたら帝国に連れていかれた可能性が高いらしいのよ。」
フレンはしょんぼりとした風格を出して顔も下がっている。
「だから未来と相談したんだけど、これから帝国に乗り込もうって思ってるのよ。」
フレンは瞳孔を大きく開き典型的な驚き顔をしている。
未来はその様子を見て笑ってしまっている。
「わ、笑ってんじゃないわよ!一応心配してんだからね!」
こうして考えるとフレンは典型的なツンデレ気質なのだと思う。
「悪い悪い……ふっ」
「絶対悪いと思ってないだろ!」
フレンは未来に掴みかかり怒っている、戦った後の癒しとなる光景だ。
「今度は私単身で行こうと思ってるけど。」
「それは危険すぎるだろう、引き続き私も付き合おう。」
未来は心配して言ってくれてるのだろう。
「大丈夫よ?私強いもの。」
私は自信を見せびらかすように腕を胸の前で組む。
「今度は私も手伝うわ、あなた達に全部任せるのは申し訳ないわ。」
「そんなの気にしないで、私がやりたいからやってるだけよ。」
「私は何と言われようと付いていく。」
フレンは相変わらず心配そうな、泣き出しそうな顔で見つめてくる。
「いい加減その顔で見つめるのやめてくれる?なんか……やだわ。」
「そ、そんなこと言わないでよ!わざわざ心配してやってるんだから。」
フレンは顔でどんな感情になってるかが分かりやすい、ポーカーフェイスのポの字もない。
「フレンって感情が分かりやすくて助かるわ、所詮強がっても人生経験の差があるのね。」
「はぁ~!?私とあなたは同じ18歳のはずよね!何が人生経験よ!」
ヒートアップしてきた私とフレンの間に入ってきた。
「まったく……そんなに仲が悪かったか?」
「……ごめんなさい、まだ気持ちが不安定なのかもね…………」
フレンを少し俯かせてしまった。
私もついはしゃいでしまった、多分気持ちが高ぶってるせいだろう。
血肉が沸いて体温が50度になって、体から蒸気が湧き出ていると思うほどに。
「私もテンションが馬鹿になってるわ。」
未来は軽く息をついてから、きりっとした目をさらに吊り上げたように見えた。
「改めて計画を立てるぞ、最初にこの辺の地理関係を明確化しておきたい。」
「私は全体像は分かるけど、この辺ならフレンの方がだいぶ詳しいと思うわ。」
私のは所詮書物による知識の域を出ない、ここはフレンに任せることにする。
「分かった、役に立てるなら喜んで教えてあげる。」
2人は家にあったテーブルを地図と置き換えて確認している。
「ん?どこに行く気だ?」
私はドアを開けて外に出ようとしていた。
「2人でゆっくり会議してて、私は先に行ってるわ。」
私は開けたドアを乱雑に閉めてキルナプール帝国に向かって駆けだす。
息が上がることは生きていて一度もないが、2人を置いてきてしまっていいものかという迷いが渦巻いていた。




