ナイフの牽制
コン コン
ドアをたたく音がした。
二人は警戒している猫のように構えていて私はドアの向こうを睨みつけるように目は鷹のように鋭くなり雰囲気も変わった気がする。
スッとドアが軋むことなく軽やかに開ける。
ここにいるのは私たち三人以外には一人しかいないさすがに二人も分かってるようね。
ドアが開くのと同時に私は木のテーブルの上に載っていたパンくずのついたナイフを手に取り素早くドアの前に立ち、半分ほど開いたところでフレンの喉元を手で掴み、そのまま壁に背中を打ち付けナイフをちらつかせる。
「ちょ、ちょっと落ち着いて!早くこの手を放しなさい!」
「そんな態度でいいの?このまま頸動脈切って喋れなくするけど?あはは!」
「フレンさん今すぐ誤った方がいいですよ、こうなったシリアは何をするか分からないんですよ。」
フレンはおそらくこの子は誰!?って思ってるでしょうね。
「シラリアには洗脳が完了してるはずなのに!なんでいうことを聞かないの!」
「だいぶ混乱してるようね、あなたはまだ私たちの本当の秘密を知らなかっただけのこと。」
「秘密って、どういうこと!」
「不思議に思ったでしょ、私があなたの言う通りにならなかったこと、それはね彼女のおかげなのよ。」
私は後ろ2メートルでニコニコしてるティーナを指さす、なんだか楽しいそうね。
「彼女はティーナ、私たちの一員と言っても過言じゃない、彼女の言葉はあらゆる呪縛を解放する。」
ヴィントール・ティーナ、彼女は私たちに情報と珍しいものを届けてくれる行商人だけど、特殊な力があって、それが呪い、洗脳といったものを打ち消す力、いわゆる破魔の力を持っている。
「な、なんですって!そんなのずるいわ!」
「所詮あなたは私の寝床に宝を盗みに来たウサギも同然、私は宝にまんまとかかった小動物を狩り食材の糧にするのと同じこと。」
この言葉は貴様に明日はないといった意味合いで言ったものだ。
私はこの場でフレンをばらしてやろうと考えていた。
「シラリアちょっと待って、とりあえず縛り上げて地下に入れておきましょう。」
「ペラがそう言うならそれでいいよ。」
ペラは普段はどうしようもない馬鹿だがこういった時には最高の判断をしてくれる、判断能力がずば抜けているのよ。
判断についてはペラにすべてを委ねている。
「私が地下に入れておくよ。」