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野球女子

ウーマン「野球女子」


小、中、高校と、

野球部だった…


兄二人が野球をやっていたので、必然的にやってしまった。

ニックネームは、「女イチロー!」

走、攻、手、運動神経は抜群だ。全国大会出場、3位。

結構、いい所までいった。


が、


今は、銀行員。

毎日、接客とお金の勘定だ。

パソコンをたたき、書類を書く。

指にマメが出来るのではなく、タコが出来た。

運動神経は、まったく役に立たない。無意味。

逆に邪魔、

じっとしているのは結構つらい。

違う職業に就けば良かったんじゃないかって?

就職活動、すべて敗退。コールド負け。

一つ、延長戦の末、残ったのがこの信用金庫だ。断れるわけが無いだろう。

今日も、一回戦から窓口に座る。

笑顔、

スマイル、スマイル、

お尻が痛い。

早く、ゲームセットになれー!

そんな日々…


夕方、

自転車で帰る。

河川敷のグランド。子供たちが野球をしている。

「楽しそうだなぁ」

あっ、女の子がいる。昔の私みたいだ。

日焼けしている顔が真っ黒だ。ますます、私に似ている。

カーン、

コーチがノックしている。

下手だな、

ボールが外野まで届かないぞ、

多分、子供の親が、即席でコーチをしているのだろう。

弱そうなチームだ。

家へ帰る…


次の日、

嫌な客が来た。

いつも、難癖をつけて絡むお客A。

今日も悪態をつく。

お前は、監督か?オーナーか?何か勘違いをしていないか?

1000本ノックを喰らわしてやるぞ、

コイツと戦ったら絶対勝つだろう!

でも、笑顔。

スマイル、スマイル、


帰り道、

自転車でグランドの前を通る。

カーン、

ボテ、ボテ、ボテ、

私の前に、ボールが転がってきた。

「すいませーん、ボールお願いしまーす」

野球少年が叫んだ。

よし、

ビューン、

バシッ、

「ナイスピッチング」驚く野球少年。

「ありがとうございましたー」帽子を下げる。

いい挨拶だ、感心、感心。


週末、

河川敷に自転車を止めて、川を眺める。

夕日がきれいだ。

「会社、辞めようかなぁ…」

あの夕日の中に走って行きたいな、

青春ドラマかって?

夕日が沈む…

今日も一日が終わる。


ある日、

難癖お客Aが、悪態のかぎりを尽くしていた。

他の女子行員は、皆、逃げてしまった。上司も助けてくれない。

9回裏ツーアウト満塁のピンチ。

その時、

「泥棒ー」

ATMの前で、引ったくり強盗が起きた。

よし、

シュン、

私は、カウンターを飛び越えた。

素早く、カラーボールを掴む。

振りかぶって、

投げたーー


ビューン、


バシッ、泥棒の足に命中!

ゴロゴロ、ゴロ、

足がもつれ、転ぶ泥棒。

タッチアウト!

パチパチパチ、パチ

皆んなの拍手。

難癖お客Aが、冷や汗をかいていた…


そんなこんなで、

カーン、「レフトー!」

私は今、週2で少年野球のコーチをしている。

また、日焼けしてしまった。


しかし、毎日が充実している…


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