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エロとうどん

ウーマン「エロとうどん」


ズルズル、ズル

うどんをすする。


「鮎川先輩って、エロいっすね」

「なに?」

「鮎川先輩のうどんの食べ方って、超エロいっすよ」

ジロ、

鮎川、貞本の顔を見る。

「あんた、それセクラハよ」

「いや、そういうつもりじゃなくて、」(焦る)

「そういうつもりじやなくて、どういうつもりなの?」怒った顔の鮎川。

「いや、その…」

「鮎川先輩の、うどんを食べてる時の表情というか、ちょっと首を傾げた角度というか、微妙な開き方の口というか、」

「なんか、エロさ100パーセントなんすよ」

「……あんた、私をディスってるの?」

「いやいや、誉めてるんすよ」

「やっぱりセクラだね」

「いや、そうじゃなくて、どう言ったらいのかな〜」

ズルズル、ズル

うどんをすする。

「先輩とうどんと言うか、うどんと先輩の組み合わせが、エロいんすよ」

「よく解らないなぁ」

「そうっすか?」

「そう、」

なんか、負に落ちない。

私は、モヤモヤした気持ちで、うどんを食べ終えた。


別の日、

ズルズル、ズル

一人で、うどんをすする鮎川。

視線を感じた、

回りの男の客たちが、私を見ている。

もしかして、

ズルズル、ズル

チラ、

やっぱり、

私がうどんをすすると視線を感じる。

そんなに、私のうどんをすする姿ってエロいのか?

手で口を隠して、うどんをすすってみる。

ズルズル、ズル

まだ、男たちは私を見ている。

皆、気付かないふりをしているが、確かに私を見ている。

うどん好きの女性って珍しい?

お店には、他の女性客もいる。

その女性客たちも、同じ様にうどんをすすっている、

なぜ、私だけ?

ただ、うどんを食べているだけなのに……


別の日、

ズルズル、ズル

うどんをすする。

「やっぱり、鮎川先輩のうどんの食べ方ってエロいすよ」

「また、言った」

「いつも、エロエロ、エロエロ、あんたの頭の中はエロしかないの?」

「違いますよ〜」

「本当にエロいんすよ」

「怒った!会社にセクラハで訴えてやる」

「すいませんでした、鮎川先輩」

急いで謝る、貞本。

「許さない、絶対、セクラハで訴えてやるから」

「お願いしますよ、勘弁して下さいよ〜」

「いや、許さない」

「回りを見て下さいよ〜皆んな、鮎川先輩のうどんのすすり方をエロいって、思ってるんすよ」

回りを見てみる。

サラリーマン、学生、老人、子供、赤ちゃん、

男性たちは、皆、私の方を見ていた。

そんなにエロいのか?

普通だと思うけど、

自分じゃ、まったくエロいとも何とも思わないんだけど、

試しに、男っぽくすすってみる。

ズルズルー、ズルズルー

回りを見てみる。

視線を感じる、

やっぱり、私のうどんをすする姿を見ている。

皆、私のうどんをすする姿を見ていた。

そんな目で見ないで……


別の日、

ズルズル、ズル

パスタをすする。

回りの視線を確認する。

誰も見ていない、視線も感じない。

ただ、下品な女がパスタをすすっているだけにしか見えない。

もう一度すする。

ズルズル、ズル

誰も、エロいとは思っていない。

うどんにだけしか、反応しないのか、

うどんと私、

この組み合わせが、確実に私をエロくしているのか、

なぜ?

そういえば、

新入社員として入社した日、

社員食堂で、うどんを食べていた時だった。


ズルズル、ズル

不自然な視線を感じた。

明らかに、皆、私を見ていた。

私のうどんの食べ方が下手で、注目されたと思っていた。

どこが悪いのだろう、地方出身だから?

それ以来、うどんを食べる時は外で食べる事にしていた。

今でも、うどんの食べ方は変わらない。

あれは、

嫌われていたんじゃなくて、魅かれていたんだ!

思い出した!あの時もそうだった。

小学校の運動会リレーの選抜の時、

給食はうどんだった。うどんをズルズルと食べた。

そして、私が選ばれた。

中学校、HR委員長の投票の時、

あれも、うどんをズルズルと食べた後だった。

大学の推薦入試の時、

あれも、学食でうどんをズルズルと食べているのを面接官に見られた。

それで、受かったのか!

受験も、会社も、何もかも、

みんな、私のうどんを食べる姿を見て決めていたのか、

私の人生、すべて、うどんが決めていたのか……


居酒屋、

悪酔いしている鮎川。

「私のどこがエロいのよ、」くだを巻く鮎川。

散らかっている焼酎のビン。

ズズズ、ズー

焼酎をすする。

「まーまー、そんなに荒れないで、」

「これでも食べて元気出してよ、鮎ちゃん」

マスターが、うどんを出してくれた。

「うどん?」

うどんをすする。

ズルズル、ズル

しまった!また、やってしまった。

回りを見てみる。

マスターや他のお客たちが、鮎川を見ていた。

慌てて、顔を隠す鮎川。

「見ないで、」

ポツリ、ポツリ、

涙が、頬を垂れてくる。

ポツリ、ポツリ、

「うどん、美味しいのに……」

ポツリ、ポツリ、

ポン、ポン、

突然、肩を叩かれる。

目の前には、男性が立っていた。

「あなたの、うどんの食べっぷりに感激しました!」笑顔。

「是非、私と付き合って下さい」

「……」


そんなこんなで、

私は、この男性と付き合っている。

ズルズル、ズル

うどんをすする。

その横、

嬉しそうに見ている彼…


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