五十四 オフトゥン召喚!
舞踏会まであと五日、今日は王城てドレスを王子と合わせていた。今回、王子がウキウキと選んだドレスは薄いブルー。王子のジュストコールも私のドレスと同じ色だった。
「綺麗なドレスをありがとございます、リチャード様」
「とても似合っているよ、ミタリア」
王子は合図してメイドと側近リル、近衛騎士を下がらせた。二人きりになる部屋でいきなり頬に擦り寄られた。
「ん、んん」
おかしい舞踏会が近付くにつれて王子のスキンシップが激しくなる。それに王子は何かに怯えて焦っているようにも見えた。騎士団との稽古も激しいのか傷を付けて帰ってくる日もあった。
(聞いても平気だって言って、笑うだけ……心配だ)
「リチャード様……」
「ん、どうした? そんな可愛い瞳で見られたら我慢が効かなくなるよ」
チュッと、王子に唇を奪われたその唇が微かに震えているように感じた。何かに耐えていの……胸がくるし。早く、自分の特殊能力が使えるようになって、オフトゥン召喚で王子を癒したい。
遂に舞踏会の当日。
本日は舞踏会は学園の新学生の歓迎だけではなく、王女様のお披露目会もあり!王城は厳重な警備体制だった。
国中の貴族が招かれていて受付で、招待状と騎士がボディーチェックしていた、もちろん私のお父様とお母様も招待されている。
「ミタリア、今日は俺から離れないでくれ」
「(離れないでくれ?)リチャード様?」
「……っ」
王子に痛いくらいに手を引かれて胸に抱きしめられた。でも"どうして?"と聞けずにいた、聞いても王子は話してくれないだろう。
よし、私に出来ることをする。
オフトゥン召喚で王子を癒そう。
「リチャード様、舞踏会が始まるまで時間があります。私の特殊能力――オフトゥンを召喚して一緒に開始の時間までまったりしませんか?」
舞踏会の開催まであと三十分くらいある。そう聞くと王子は頷き私の手をひき近くの扉を開けた。中はシャンデリアと古びたカーテンが窓にかかる空き部屋だった。部屋に入ると王子は部屋の鍵をかけた。
「ミタリアの特殊能力を楽しみにしていたんだ。さあ早く、オフトゥン召喚を見せてくれ!」
「はい、リチャード様。オフトゥン召喚しますね『ふかふかオフトゥンよ来い!』」
王子が見守るなか、私がそう唱えると目の前にふかふかな布団が召喚された。実は昨夜、誕生日が来たと同時に好奇心には勝てずオフトゥン召喚をやってみた。
目の前に現れたオフトゥン。色、柄、大きさ、ふかふかさは私の思い通り。夢はめちゃくちゃ分厚いオフトゥン召喚だ。
「本当にふかふかオフトゥンが出てきた」
「約束通り一番乗りはリチャード様です、さぁオフトゥンの上に座って」
「では、失礼する」
王子は緊張しながらオフトゥンに座った。
+
私が同じオフトゥンに座れば、リチャード様が癒されるはず。ヨイショっと隣に座った。
「おおっ、緑色にオフトゥンが光った……訓練で付いた傷が消えた……ミタリア、凄いぞ」
ジュストコールから見える傷を見て驚いている。
「リチャード様、あんまり褒めると、 図に乗ってしまいますよ」
それもそうかと王子は笑った。表情が和らいだ、少しは緊張がほぐれたかな。
(よかった……王子に役立つ特殊能力で)
まったりオフトゥンの上――しかし時間が過ぎるのは早く舞踏会の開催時間が来てしまう。王子は懐中時計を見て身だしなみを整えた。
「このオフトゥンはどうするんだ?」
「こうするんです『オフトゥン、戻って』」
目の前に召喚したオフトゥンが一瞬で消えて、元の何もない部屋へと戻る。オフトゥンが何処に消えたけは知らないし、知る術もないのでここは気にしない。
「凄いな、そして面白い。舞踏会が終わったら、俺の部屋でオフトゥン召喚をお願いするよ」
「はい、リチャード様」
王子にエスコートされながら、空き部屋を後にした。




