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プロローグ

 ふかふかなベッドで目が覚めると――前世の記憶のせいか、いつもの風景とは違って見えた。ベッドから降りて、近くの姿見で自分の姿を見て思う。


(やっぱり夢じゃ……なかったんだ)


 私は好きだった獣人系乙女ゲームの悪役令嬢、黒髪、琥珀色の瞳、黒猫族ミタリア・アンブレラに生まれ変わっていた。


 前日、屋敷に届いた王城からの封書。その封書に書かれていた同じ歳、白銀の髪、青い瞳の狼族、第一王子リチャード・ローランドの名前を見てから、胸がざわついた。


 この胸のざわつきの後に激しい頭痛が起きた。


 ーー痛い、苦しい。乙女ゲーム? 悪役令嬢? 転生……頭の中をその言葉がグルグル回った。しばらくして頭痛が治まり落ち着いて考えた、前世で疲労? 事故? 何かの不運? で私は死んで乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。


 可愛い獣人族に生まれ変われたことは最高だけど――モブではなく、悪役令嬢か……。

 王子と婚約して学園に入学しても、プリティな白兎ヒロインが出てきて、王子を奪われて嫉妬して、最後に悪役令嬢の私は婚約破棄される。


 婚約破棄までは別にいいとして、問題はその後だ――私が知っている悪役令嬢の末路は国外追放、牢屋行きになり最後に野垂れ死んでしまう。


 乙女ゲームのミタリアこと、私は高慢な性格のため誰にも相手にされず国外追放の後は、ボロ家で一人病気を患い、誰にも看取られずに寂しく死ぬ。王城の地下牢屋でも高慢な性格が災いして、みんなはに見放されて一人寂しく死ぬ……



 ーーいやぁぁぁぁあっ、二度目の人生では前世よりも、早く死にたくない!



 地獄の様な職場から脱出できて、可愛い獣人に生まれ変われたんだ。

 寝坊、お昼寝、二度寝、三度寝、ふかふかオフトゥン(お布団)を心ゆくまで楽しむぞ、と心に決めた。



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