「述懐の決断。」
お久し振りです!!
大変お待たせ致しましたまず一話投稿します。
ブクマ消さずに居て下さった皆様本当にありがとうございます………!
んん?ディルさん??今ここで全部話すんじゃないの………???
今度は逆に僕が驚く番だった。
思わず目を丸くして待ったを掛けようとするも頭を撫でてくる義兄にやんわり押し留められる。動くなというように僕を抑えたまま彼は更に言葉を重ねる。
「これまでもこの容姿で他人の目を気にせざるを得ない事が度々あったんです。
それに加えて有能だなんて知られたら………何をされるか分からない。………悪趣味な好事家や私欲に目が眩んだ貴族に拐かされたら堪ったもんじゃない。
性別を偽っていたのもギルドでの扱いに違いが出る他に、そういう輩に少しでも手出しされるリスクを減らす為です」
頭をうりうりと動かし義兄の腕の中からなんとか顔を出す。スラスラと彼の口から語られる説明にギルド長とニコライさんは得心がいったというように頷いている。
僕はその様子を静観しながらも知らず眉根を寄せていた。
………良いのかな、これで。
確かに能力については少し話したけれどあれだけが全てじゃない。それに容姿云々からどうして誘拐の話にまで発展してるんだろう………?
この辺りでは珍しい色彩を持っている上に可愛らしいフィリならその危険が捨てきれないから普段から家族が一緒に居るようにしているけれど………僕の特徴と言えばこの瞳位しかない気が……
内心ソワソワとしながらも義兄の口振りからギルド長達には明かさないつもりなのだろう事は容易に想像が付いた。
胸にじわじわと焦燥に似た想いが滲む。
ーー僕は、いつまで周囲を騙し続けなければいけないのだろう。僕は、こんな事をいつまで家族に強いらなければいけないの?
けれどそんな僕の心の声は誰にも伝わる事なく話はどんどん進んで行く。
すると静かに話を聞いていた二人が口を開いた。
「………成る程、言いたい事は分かった。
俄に信じ難いが………あれを見せられたら確かに警戒せざるを得ないのは理解できる。
というよりよく今まで危ない目に遭わなかったな。まぁそうならない為のあの魔法なんだろうが………」
「確かに貴族の子女でもない限り後ろ盾がありませんし、身の危険を感じる事でしょう。
………疑ってすみませんでした。
これまで怖い思いをして来た子に私は更に怖い思いを………」
「しかし、それなら尚更親御さんから離れない方が良いだろう。誰か良識ある大人や身近な人には頼れなかったのか?
リコはまだ小さな子供だ。
自分達で警戒するのは良い事だが、保護してくれる人に身の安全を確保して貰った方が………」
「居ます。けどその人にはこれまで沢山お世話になってるんです。恩返しの為にも俺達は自分の力で生き方を決めたい。
だから能力も姿も隠して真面目に仕事を熟してたんです。
普通の生活を、自分達で送り続ける為に」
義兄のその言葉を聞いて僕はゆるゆると顔を上げる。嘘を並べた言葉の中、その台詞だけは本心なのだと考えずとも分かった。顔を上げた先、向かいに座る二人へ視線を向けると案ずる表情で僕の事を見つめている。
………頭の中をぐるぐると色々な考えが渦巻いている。
この二人は信じても良い人達だろうか?
義兄がこんなに僕を守ろうと動いてくれているのに、僕が正直に話したら困らせてしまうかな。
この人達に裏切られたらどうしよう。
聖霊の皆んなだって打ち明ける事には反対する。
でもこんな事をこの先もずっと続けて行くの?家族を嘘吐きにさせてまで、ずっと?
カホちゃん達や家族に甘えて頼りきりで、ずっと……?
「…………ディル待って」
「リコ」
「……お兄ちゃん、僕は大丈夫だから。全部話そう」
その言葉に義兄は繋いだ手をぎゅうと強く握りしめた。
僕は抱き寄せてくれている義兄の身体からそっと離れ彼と目線を合わせる。安心させるように笑みを浮かべて僕はゆっくりと口を開いた。
「お兄ちゃんいつも守ってくれてありがとう。でももう大丈夫。」
その言葉に彼の瞳が僅かに揺らいだ。僕達の様子にこれまでの話が全てではないと察したギルド長達は静かに此方を見つめて出方を窺っている。
こんなに優しい彼に嘘を吐かせたくないというのは僕のエゴなのだろう。実際、僕の胸の中では未だギルド長達を完全に信じ切れていない部分が確かにある。裏切られた時のリスクに、日常を壊される未来に怯えている自分が居る。
そんな自分に言い聞かせるように敢えてゆっくりと彼へ語り掛ける。
「誓約魔法がどういうものかは義父さんから教わって知ってるでしょ?
そんな重い選択をしてまでギルド長達は僕達が打ち明けられるようにしてくれたのに更に嘘を重ねるのは失礼だと思う。
ギルド長達は僕達の話を聞こうとしてくれたんだよ。
本来なら疑いを掛けられた時点で資格取得の話が流れててもおかしくなかったのに、その前に直接話し合いの場を設けてくれたのは僕達を信頼してくれたからだと思う」
滔々と彼へ向けて語り掛けながらも僕自身の胸にも訴える。大丈夫、誓約魔法まで使ってくれたんだから。
誠意を見せてくれたのだから此方も誠意を返さないと。
「僕なら大丈夫だよ。お兄ちゃんのお師匠様だよ?お兄ちゃんが信頼してる人なら僕も正直に話してみたい」
その言葉にいよいよ眉根を寄せて困った表情をする義兄。感情の機微に他人より鋭い彼が壁を作らず素直に敬意を示すのは義父さんの他にはギルド長しか居ない。自身の特性について伝えたのもギルドの人間の中ではギルド長だけなのだ。
ニコライさんについては初対面だけれど誓約魔法という縛りもある。始めは此方を警戒して厳しい目を向けていたけれどそれも職務に対して真面目だからこそだろう。
寧ろ僕の姿を見てからは何だか僕に同情的というか……まぁ、もしもの場合はギルド長に対処して貰えるように訴えかけてみよう。
そう判断した僕はゆっくりと息を吐くと姿勢を正して前を向く。そして深く頭を下げた。
「ギルド長、ニコライさん。今回は態々話し合いの席を設けて下さり改めてありがとうございます。
……僕の話を聞いてくれますか?」
「あぁ聞こう。教えてくれリコ」
お読みいただきありがとうございました。
改稿が中々満足の行く方向に纏まらず行くの間にやらこんなに日が経っていました……当初の予定から180度ズレた展開を迎えた為、また書き直しです……_(:3」z)_
忠実に投稿確認にいらして下さっていた方本当にありがとうございます………(涙)




