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大好きな家族とほのぼの生きています  作者: 青磁
【広がる世界編】
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「面談。」




見習い試験から数日後ーーー

いつも通り義兄と二人冒険者ギルドへ赴くとギルド長が呼んでいると言われた。その言葉に義兄と二人、言葉には出さず視線のみで遣り取りする。

義兄ではなく僕を呼び出すという事は………僕の能力について聞きたいのだろう。正体についても怪しまれているかもしれない。


試験での立ち回りをさっと思い出す。先日の試験で僕は少し手の内を出し過ぎた自覚がある。

あれでもバレないように隠しながら行っていたが、それでも疑問に思われる位には魔法を幾つか見せていた。

……ここで拒否したら、怪しまれるよね。



何だろうね?と口に出しながら隣の義兄の目を見て瞬きを1回する。ーーー肯定、了承の意だ。


それに対して彼も僕にだけ分かる位の微かな動きで頷いた。ギルド長は義兄の師事している人だ。なるべくなら不和は起こしたくない。


「俺もついて行きます。それが駄目なら二人で行ける時に改めますと伝えて下さい」


感情の乗らない、しかし有無を言わせない義兄の言葉に受付の人はあっさりと義兄の同行を認めた。

というより二人共一緒に来る心積もりだったようだ。


………一緒に居られるのは安心だけど、僕と義兄がセットなのが当たり前になってる………なんか複雑だ………


案内に従い2階へ上がるとどんどんと奥へ進み普段はギルド職員のみが立ち入る区画、その手前まで連れて行かれる。

人気の少ない静かな廊下。そこで立ち止まると一室に案内された。


中へ入ると休憩スペースらしい簡素ながら落ち着いた調度品と職員が持ち寄ったのだろう不揃いで何処か可愛らしいクッションの並んだ長椅子が向かい合うように置いてあった。


そして部屋で僕達を出迎えたのは二人の人物だった。

一人は言わずもがなギルド長、もう一人は………


眼鏡を掛けた知的な雰囲気を見に纏うその男性はニコライ・スヴェンセンと名乗った。一見するとお役所仕事でもしていそうな厳格な印象である。

仕立ての良いシャツとベストの上にローブを纏うその人は切長の目で此方を冷たく見据えていた。


「おぉ二人共来たか。朝早くからすまんな」


「師匠おはようございます。先日はありがとうございました」


「ギルド長おはようございます。僕からも、この間は祝いの席を設けて頂きありがとうございました」


「あれ位大した事ないさ。改めて二人共合格おめでとう」


そう言いながらギルド長は職員の人を呼びお茶とお菓子を用意してくれる。

職員さんの好みなのか僕達に気を遣ってくれたのか、グラスの中に入れられた飲み物は紅茶に林檎の果汁を絞ったフレーバーティーに氷を浮かべたものだ。中央に置かれたお皿にはローズマリーの練り込まれたハイデザントが並べられている。


用意が済むと職員さんは僕達へにこりと笑み扉へ向かう。

あ、あの人はミラさんと同期の女性だったな。僕が女性へ小さく手を振っているとギルド長が話し出す。


「堅苦しくしないで寛いで良いぞ。ほら、そこの席に座れ」


「はい」「失礼します」


ニコライさんとは対照的に快活な笑みを浮かべるギルド長の言葉に甘え長椅子へ二人並んで座る。並んで、ですよ。

義兄の流れるように膝に乗せようとした手をやんわり退いて、代わりに膝がくっ付く位近くに座って見せる。

こんな時でも通常運転の義兄に呆れを通り越して笑いが溢れそうだよ。


それでも足りないと言ったように彼は僕の手を握り、より密着するように引っ張る。

お兄ちゃん、家に帰ったらまた沢山くっ付けるから。今は駄目だよ。


思わずふふ、と笑うと向かいに座るニコライさんが身じろぐ気配がした。

僕の視線に気付いたギルド長がニコライさんの紹介をする。彼は冒険者ギルドの本部から派遣されて来たらしい。

冒険者ギルド本部の人間は皆、ギルド長並みかそれ以上に実績を持つ冒険者達で構成されているそうで、特に彼はギルド本部でも幹部を勤めている人物との事。


そんな人物が何故態々チェロの冒険者ギルドまでやって来たのかと言うと………


「今回、ギルドでは君達の能力を鑑みてある決定がなされました。合格者である4名の内、ディラン君とジャッカス君の資格を今年渡そうという決定です」



ーーそう切り出したニコライさんは大まかな話し合いの流れを伝える。


本来資格が貰えるのは14歳からだが、今回の試験合格者4名全員に資格供与しても良いとバーナードさんとイライザさんが判断している事。その話を受け認定員であるニコライさんがきた事。

特に義兄とジャックは推薦を正式に受けており、既に資格取得は確定している事。

後のエミと僕に関してはニコライさんが直に見定める事になった為、今回僕達を呼んだ事、など…………



事務的に淡々と話すニコライさんは丁寧な口調を崩さないも、時折僕に向ける視線に鋭さを感じる。

その視線を向けられる度にディルの不機嫌さが増していく。

話を聞く姿勢ではあるものの、話しの合間に僕と繋いだ手に指で文字を書いて意思を知らせてくる。


………んんと……"帰って良いか?"

………………

………………………駄目ですよ。


お兄ちゃん、師匠から呼ばれた席なんだからせめて用件だけでも聞いていこうよ。ニコライさんも僕達の為に態々遠方から来て下さっているのだし、全部話終わる前に帰っちゃ失礼だよ。


ニコライさんの話に相槌を打ちながらそっと隣の義兄へ視線を向ける。無表情の中に見え隠れする苛立ちに僕は小さく笑みを溢した。


ありがとう、理由も分からず僕が睨まれてるから怒ってくれてるんだよね。

大丈夫、別に睨まれる位どうって事ない。

突然噛み付かれた訳じゃないし、痛くも痒くもないよ。


まぁ、別に自律しろだとか、大人になれとか言うつもりもないので義兄が本気で嫌なら僕が取り成して帰らせて貰うけど。

自分の評価が下がるだけで場が収まるなら前世の社会人経験も捨てたもんじゃないか。


そう思い、ニコライさんの声が途切れたタイミングで口を開こうとするもそれより先にギルド長が言葉を継いだ。


「まぁ細かい話は互いにまどろっこしいだろう。

だから単刀直入に言うが………リコ、お前何を隠してる?あの試験で出した魔法……本当にあれがお前の全力なのか?」



ーーその言葉に不意を突かれ、僕は言葉を詰まらせた。



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