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大好きな家族とほのぼの生きています  作者: 青磁
【広がる世界編】
58/108

「仲直りとカフェ。」




ーーみっともなく泣いた後、僕は義兄の膝の上から降りる事なく鼻を噛んでいた。腫れてしまった目元と赤く染まる鼻に治癒の加護を掛け涙の跡を消す。


そうしてお風呂上がりに出そうと思っていたアイスを亜空間から取り出し二人に渡していると、丁度お風呂を終えた義父さんも居間へやって来た為、家族皆んなでアイスを食べる事になった。

僕達の様子にフィリから事情を聞いた義父さんは子供達の頭を順に撫でる。


「ノアが泣くのは大抵家族の事に対してだからね……インディルが慕われている証拠だね」


図星なその言葉に僕は恥ずかしくなり義兄の胸に顔を埋める。

お行儀良く長椅子に座りアイスを食べていたフィリはこくっとアイスを飲み込むと口を開いた。


「でも、ディル兄どうして怒ったの?」


「……ノアが知らない男と、カフェに行くとか言うから」


………知らない男とではなくニールさんです……。

これからビジネスパートナーになる人だよ……


ぼそっと不貞腐れたようにそう言う彼に義父さんはふふ、と笑いを溢す。


「インディル、そんなに心配ならカフェへ一緒に行けるようにお願いしてみよう。

ノアもインディルが居た方が嬉しいだろう?」


思わぬ義父さんのその言葉に僕はパッと顔を上げる。


「良いの?商会の打ち合わせも兼ねてると思ったから言えなかったんだけど………お兄ちゃんも一緒なら、嬉しい」


自然、頬が緩んでしまう僕の様子に義兄は漸く笑みを浮かべて見せた。


「俺と一緒なら良い。ノアが知らない男に付いて行ったら危ないし」


……だからニールさんです。

おかしいな。お兄ちゃんは僕が10歳よりも下に見えているのかな??僕ってお菓子あげたらホイホイついてく子供に思われてるのか……??


一応精神年齢はもっと上なんだけどな………すぐ泣いちゃうけど。とまぁ、義兄と一緒に行けるかもしれない事に内心楽しみにしていると隣から声が上がった。


「ディル兄たち良いなぁ……わたしもカフェに行ってみたい」


………………………おや?




◇◇◇◇◇




そうして迎えたニールさんとの約束の日。

大通りで待ち合わせをしていた僕達はテナー商会の前に立つ細身の男性の姿を見つけると其方へ向かい歩いていく。


この間とは違いラフなシャツに控えめな柄が入ったベスト姿のニールさんは僕達に気が付くと優しげな笑みを浮かべてくれた。僕もにこりと笑みを浮かべて挨拶する。


「こんにちは。今日は忙しい中予定を空けて下さりありがとうございます。

それに此方の我が儘も聞いて頂いて本当にすみません。」


「こんにちはノアちゃん。

いいえ、私も今日は楽しみにしていたので大丈夫ですよ。

ノアちゃんのご兄妹にもお会いしたかったですし。」


そう言い、()()へ視線を向けるニールさん。

僕の右には義兄が、そして左にはフィリが立っていた。


「こんにちは。」


「こ…こんにちは。今日はよろしくお願いします」


言葉少なな義兄と僕の腕にしがみつきながらも挨拶をする義妹。そんな二人の様子に僕は苦笑を浮かべる。


フィリは人見知りだけれど挨拶や礼儀はちゃんと教えられているから喋らないという事はない。今日も勇気を出してニールさんへ挨拶出来たね。


因みに義兄のこの対応はニールさんだからではなく普段からです。スーザンさんにはまだもう少し話すのだけれど……他の人にはやっぱりこういう対応をする。


だからと言ってマナーを守らないとか挨拶をしないとかはない。ただ素っ気ないだけで。

それはもう見事な無表情で簡潔に済ませるだけで、別に相手の事を嫌っている訳では決してないのです。


………ん?

………嫌うというより興味がないだけだな?


んん……まぁ今はカフェの事だ。

もしかしたら商会の話も今日の内に進むかもしれない。ニールさんの案内について行きながら思考を切り替える。


やがて着いた先には茶色の壁に青い屋根の可愛らしいカフェがあった。

ブルースの町の大通りに店を構えるそのカフェはテラス席も幾つか設けられている大きなお店だった。日差しよけのパラソルが色鮮やかに咲いている。


そのテラス席の向こうはガラス張りになっていて店内の様子もよく見えた。どうやら昼間はランチも兼ねているらしくお昼時も相まってお店の中はお客さんで賑わっていた。


お洒落だが気軽に入れる雰囲気のお店だ。慣れた様子のニールさんに続いて僕達も中へ入っていく。

呼び鈴の涼やかな音が鳴るドアを潜るとすぐに店員の女性が此方へやって来た。


「いらっしゃいませ。ご予約はされていますか?」


「はい。この時間に予約をしたテナーです」


「畏まりました。すぐご案内しますね!」


ハキハキとした女性は此方です。と店内横の階段を指し示す。


僕の腕にしがみつくフィリが転ばないようゆっくり階段を上がるとそれに気付いたニールさんが手を差し伸べてくれる。

その手に大丈夫です。と断りの返事を声に出す前に義兄が僕の空いている手を握って来た。


………一瞬、落ちる気まずい沈黙。


…ん〜お兄ちゃん。僕なら仕草だけで伝わるけどニールさんは話さないと伝わらないと思う。

この場合は「俺が見ているから大丈夫です」という仕草だったりする。

これを無言で行うからお兄ちゃんの無表情も相まって他者からは怒ってる?とか言われてしまうのだけれど……誤解を解く為にも僕が一緒にいる時はなるべく通訳をするようにしている。


そんな訳で僕は慌ててニールさんへありがとうございます、大丈夫です。と声を掛ける。僕達のその様子にニールさんも苦笑を浮かべながらもそうみたいですね。と言葉を返してくれた。


そんなこんなで2階へ上がった僕達は窓側の一室へ案内される。どうやら2階は全て個室となっているようだ。


ゆったりと寛げるふかふかのクッションの入った長椅子に順に座ると店員は此方でお呼び下さい。とメニュー表とベルを置いて部屋を退室する。


さて、とニールさんがメニュー表を開きニコリと笑みを浮かべた。


「ここのランチはどれも美味しいですよ。お好きな物をどうぞ」



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