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大好きな家族とほのぼの生きています  作者: 青磁
【広がる世界編】
51/108

「鬼畜…っ。」




………………………………

……………………………………………………

………え〜、こほん………ここに伝えておきたい事があります。


というか男性に問いたい。


……………世の男性はあんな敏感な臓器を身体の外に晒して普段生活しているんですか!!


あんな………あんな…………

……………あんな、うぅ…………………


……何故、義兄がベッドへ僕を横たえた時、防音魔法と扉に守護の加護を掛けるように言ったのか理解しました。

朦朧とした頭でもキッチリ魔法と加護は使える僕の練習の成果が恨めしい………!!!


あんな、あんな事する為に、沢山練習した訳じゃないのに……!!!!


はぁ……………諸々を省くと僕の身体は昨日、精通を迎えました。

詳しくは…………聞かないで下さい。


もう……………お嫁に行けない……………………

………いや、男の機能が使えるのが分かったからお婿か?

いや………もう、どうでも良いや……………



「くぅ〜…」


ぐったりしながら居間の長椅子に横たわっているとカホちゃんが労わるように尻尾で僕の胴を包んでくれた。さり気無く下半身は避けてくれている気遣いが今の僕には沁みる………………

いや、もう、本当に。


お疲れ様。って深い労りの感情がカホちゃんから伝わってきて僕は縋るようにカホちゃんに抱き着いた。


うぅ、家のお兄ちゃんは鬼畜だ!!変態だ!!!

お仕置きって何………!??

僕が何をしたの言うの……????


泣いても、必死で止めてって言っても全然休ませてくれなくて、躾みたいに態と痛く噛まれて終いには啜り泣くしか出来なかったよ………

寧ろ義兄から受ける痛い事が嫌じゃなくなってる僕の身体が怖い……………


嘘でしょ………???

そんな所で順応性発揮しなくて良いからね……?????

何だか段々と義兄に慣らされていっているような……………気の所為だと思いたい。


軽い絶望にカホちゃんの身体に顔を埋めて悶えていると控えめな可愛らしい声が耳に届いた。


「ノア兄、からだは大丈夫??昨日おしごとで疲れちゃったって聞いたけど………」


その声に僕は顔を上げて手を伸ばした。


「駄目みたい……フィリ、お兄ちゃんの側に来てくれる?」


うん!と嬉しそうに此方へ駆け寄るフィリを優しく抱き留める。可愛い天使の訪れに僕の心が急速に浄化されていくのが分かった。


あぁ……フィリは今日も可愛い。

インディルがフェロモンならフィリはマイナスイオンでも出しているのか………あ〜心身共に浄化される〜。

フィリはあんな鬼畜お兄ちゃんに似ちゃ駄目だからね。

フィリの頭にうりうりと頬を合わせると天使は擽ったそうにきゃっきゃっと笑った。


「ディル兄が今朝心配してたよ?昨日はムリさせたからって……」


………無理させられましたね。えぇ。

仕事で、ではなく家に帰ってからですが。


朝、支度も見送りも出来ずにベッドに横たわっていた僕にそれは嬉しそうな笑みを浮かべて今日は早く帰る。と宣った義兄の顔を思い出す。

今日は組紐作りを進めようと思ってたのに〜………体力の消耗と多大なショックとで何もする気が起きない。


天使の抱擁(してる側)で癒されていると、フィリが不意に聞いて来た。


「冒険者のお仕事ってそんなに大変なの?ディル兄大丈夫かな……?」


はぁ、あの鬼畜すら心配する天使がとても尊い……っ!

いやフィリにはあんな事しないか。フィリはお兄ちゃんの鬼畜な一面を知らないからね。

………どうか、一生知らないままで居させてあげたい。うん。


そんな事を考えながら僕はフィリの問いかけに応える。


「ん〜昨日は偶々僕がムリをさせられ、しちゃったから寝込んでただけで、お兄ちゃんなら問題ないと思うよ」


寧ろ仕事終わりに稽古つけて貰ってた位だからね。肩とか頬とか足とかの怪我を治そうと思ってたのに、家に帰ってからの鬼畜な仕打ちの所為でそんな事吹っ飛んでたよ。本人はケロッとした顔で動いてましたし。


怪我したままキラキラした瞳で笑んできた顔を一発殴れば良かったのか………

いや後が怖いから良いや………また、躾とか、お仕置きとか言われたら堪らない…………

僕のそんな思いは梅雨知らず、フィリは無邪気に話し続ける。


「そうだね。ディル兄強いもんね!ローリエきゅう?も夢じゃないって言ってもらえたんでしょ?」


「そうだね。お兄ちゃんの成長ぶりを見ても十分考えられるって」


そう。この世界の冒険者にはランクがある。

大陸共通の冒険者の強さを表す指標であると共にその者の質を現す称号として設けられている。


まずそれぞれの冒険者ギルドにはギルド長が任命されている。そしてそのギルド長を束ねる存在がギルドマスターだ。

ギルドマスターは各国に一名ずつ任命されている。そして各国のギルドマスターの集う全体会議で規定を定め、それに従い各国のギルドで冒険者のランクを認定している。という流れだ。


ランクは全部で7つある。

上から順に月桂樹(ローリエ)級、槍水仙(イキシア)級、(ウィスタリア)級、金蓮花(ナスタチウム)級、菖蒲(アイリス)級、加密列(カモミール)級、薄雪草(エーデルワイス)級だ。


冒険者登録を行うとこのランクを示すプレートを貰える。

大陸共通の身分証にもなる為、冒険者は大事に首から下げている事が多い。


因みにランク付けによる強さの指標だが、

薄雪草が初心者、新人。

金蓮花が中堅。

そして槍水仙になると玄人で、月桂樹に至っては大陸中集めても指折りの人数しか居ないらしい。

月桂樹級は全冒険者の尊敬と憧れを一心に集める、冒険者として大成した存在となっている。


義兄は、お兄ちゃんは………月桂樹級を目指すのだろうか。


月桂樹級と言えば生ける伝説だ。その強さと存在は国の主君も無碍に扱えない程だと言う。


……もしかして、お兄ちゃんは家族の為に、僕の為に強くなろうとしている……?

……そんな疑問に慌てて首を振る。


そんなのは、彼の勝手じゃないか。

僕が指図する謂れはない。彼の人生は彼の物だし、僕とはいつか離れて暮らす事だって十分考えられる。


そうだ。彼が離れる時、僕は………


昨夜は不可抗力だったが何処かでキッチリ線引きをするべきだ。このままずるずると何もかも許してしまっていてはお互いの為に良くない。

只でさえ僕は男か女かもハッキリしない不安定因子なのだ。

彼の将来を考えるなら、距離は適切に保っていた方が良い。



お願い、早く、夢から覚めて。

僕に向けてくれるその気持ちは只の幻だったと思えるなら、まだ傷付かなくて済むから。


けれど……彼に与えられた想いを彼自身の手で捨てられる日が来る。その未来に僕は只々、怯えていた。



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