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大好きな家族とほのぼの生きています  作者: 青磁
【4人の家族編】
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「4歳。」




ーーーあれから4年の月日が流れた。


季節は秋となり、空気が日を追う毎に冷えて来ていた。

外では鮮やかな落ち葉が木から降り、地面を彩っている。

4歳となった僕は、義父さんとスーザンさんに大切に育てられ、怪我も病気もせず成長していた。


聖霊である3匹、御晴義(ミハルギ)詩凪(ウタナギ)永華穂(エイカスイ)との勉強会は一段落し、今は専ら魔法や加護の精度を上げる事に時間を使っている。


僕の能力や聖霊の皆んなの事は外では話してはいけないと義父さんと約束している為、スーザンさんのいる時間は聖霊達には出ないようにして貰っている。


ーーそして僕は相変わらず、()()を決められないでいた。




◇◇◇◇◇




「義父さん、お皿ここに出しておくね」


「あぁ、ありがとうノア。サラダをこの皿に用意して貰えるかい?」


「うん!」


いつも通りの少しのんびりとした時間の流れる朝、僕は義父さんと朝食の準備をしていた。

飴色の木目が綺麗なダイニングテーブルの上、義父さんと用意した朝食を並べていく。

水差しとグラス、カトラリーが置かれたテーブルの上にパンとサラダに、オムレツ、ソーセージが乗った皿が加わる。


シンプルなブレックファーストだけどサラダは家で育てている新鮮野菜に僕特製のレモンドレッシングを掛けたものだし、ふわふわオムレツは僕が作ったチーズ入りだ。


良い匂い漂うダイニングルーム、義父さんと二人席に着くと感謝の祈りを唱えてから食べ始める。

義父さんは手を組んで星母神様への感謝の祈りを。僕は手を合わせ頂きます。と食べ物への感謝の祈りをそれぞれ行う。


そうして二人食べるご飯は細やかな時間ながら、とても幸福なものだったーーー


「それじゃあ行って来るよ。今日はスーザンさんは11時頃に来られるそうだ」


「分かった。行ってらっしゃい、気をつけてね」


そう言い義父さんを見送る。

義父さんの勤めるお屋敷はここブルースの町から馬車で10分程の森の中にあるそうだ。


元はここ、マイアース領を治める領主様の避暑に使われていた別邸らしく、現在は病弱なマイアース家のご子息の療養先として使われているらしい。

マイアース家の御長男であるハルクス様は今年で14歳になるとの事。

僕と丁度一回りは違うが義父さん曰く、


「ハルク坊ちゃんもノアも優秀」


だそうだ。


僕は前世で一応27歳まで生きていたので年の功と、脳への身体強化の加護(ドーピング)のお陰だろうが、病弱ながらしっかり勉学を修めて来たハルクス様は本当に生まれ持った才能なのだと思う。


ーー義父さんを見送った後、僕は先程の朝食の後片付けをする。

まだ僕の身長だと流しは高い為、義父さんが用意してくれた踏み台を使い流しの前に立つ。


桶につけてあるお皿に手を伸ばすと手編みの毛糸スポンジで洗い始める。

陶器の皿は手で一つ一つ綺麗に洗い、木のボウル皿は魔法の練習がてら、風魔法と水魔法を駆使して洗い上げる。

カトラリーはスポンジで洗った後、丁寧に濯ぐ。


洗い残しがない事を確認したら、火と風の複合魔法で温風を出し、乾かす。そして乾いた食器全体に浄化の加護を掛けた。


この世界、食器洗いに使われる洗剤はあるのだがアルカリ性の物しかないらしい。

アルカリ性だと水垢が残ってしまう事もあるので、念の為浄化の加護を使って清潔を保っている。


強アルカリ性の洗剤もあれば、除菌・殺菌効果も期待できるんだけど……


そんな事を考えながら風魔法で慎重に食器棚にお皿を仕舞う。

皿洗いが終わると次は洗濯の時間だ。

勿論、洗濯機という便利な物はない為、他の方法を使う。


庶民の家庭では水の魔石で水を溜めた大きな桶に洗濯物を入れそこに石鹸を泡立てた後、風の魔石でぐるぐると回して洗うそうなのだがその後の水抜きの作業は魔石では対応出来ないらしい。

更に脱水も笊などに入れて上から重石を置いて一気に水抜きするか、手絞りで行うとの事……


……洗濯機が恋しいとこんなに感じた事はない。

シーツなど大きな物を洗う場合は重労働だし、何より時間が掛かる。ので、僕は現在別の方法を模索中だ。


まず僕は洗濯物を籠に入れて家の裏手へ行く。

裏手には雨受けの排水口が掘られており穴の上には金網が被せてある。

鉄網の隣には底の深い、大きな桶が置かれている。

この桶の中は二重になっており、内側の桶は所々穴が空いていて外側の桶は側面下方に栓が付いている。


この桶に僕は水と火の複合魔法でぬるま湯を入れた後、洗濯物のリネンと油汚れの付いている洗濯物を入れ、石鹸水を入れる。

暫くつけ置きしたらこれを"水魔法"で洗う。

波を起こすように水の動きを作り、上から下に、右へ左へと水を操ると側面の栓を抜いた。


開いた穴から勢い良く水が排水口へ流れ、やがて止まると僕はまた栓を嵌めて、水魔法で桶に水を溜める。

そうして何回か濯いでからある物を取り出した。

手作りの柔軟剤だ。


この世界、糊の効いたパリッとしたシーツやシャツが好まれているようで、柔軟剤は作られていないようだった。

女性物の衣類は石鹸を薄めて生地が痛まないようにしているらしい。


でも、柔軟剤が効いた洋服が普通だった僕には耐えられなかった。肌にごわごわ当たる服は違和感しかない。


そこで柔らかな衣服が着たいと義父さんを説得し、材料を揃える手伝いをして貰って何度も試行錯誤し漸く完成したのだ。


そんな努力の結晶である柔軟剤を入れる。

洗濯物に馴染ませてからまた水を抜き、後は内側の桶を風魔法でぐるぐると回せば遠心力で水分が飛んで行く。


これを籠に出し干し終わった所でスーザンさんがやって来る時間になった。


ふぅ………今回もなかなか大変な作業だった。

魔法の練習も兼ねているから、余計に体力を消耗する。


今日もまた、スーザンさんと一緒にお昼を作りながら、美味しいご飯のレシピを教えて貰おうと、玄関へと向かったーーー



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