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大好きな家族とほのぼの生きています  作者: 青磁
【広がる世界編】
104/108

「好奇心は猫を殺す。」




それから暫くして。砦の先輩方に発見された僕達は無事めちゃくちゃに怒られました。


ハインツさん達もそうだけど、聖霊の皆んなも相当気を揉んだと思う……

聞けばヴァイスデーゲンは僕達の事態に気付いて、イライザさんに任されていた事をすっぽかして加勢しようかという勢いだったらしい。

ヴァイスデーゲンよ、本当にごめんなさい…………


それと二人共に五体満足で保護されたのもあってか、ハインツさんの怒声以上に他の冒険者さん達の歓声が凄まじかった。


「無事だったか……!!」と自分の事のように無事を喜んでくれるカディスさんや青い顔から一転、喜びに顔を輝かせたジャックとエミの姿を見て僕も漸く心から笑う事が出来た。


まぁその直後、説教だと言うハインツさんに捕まって言葉を交わす間も無く引き離されたんですが。


砦の医務室へ連れられた僕達はハインツさんから鬼の形相でこってり怒られ、イライザさんに氷の瞳で滔々と如何に顧みずで、如何に短慮な行いか説かれ、低頭平身でひたすら詫びる。


僕達に対する心配と、安堵と、僕達の行動力が予想以上だったことへの戒めだと深く理解していたし、言葉の節々から感じる深い安堵に心から反省していたから。


そして説教されている間、安堵に顔を綻ばせているルイスさんに甲斐甲斐しく怪我の具合を確かめられつつ手当てを受けるのが忍びなくて、申し訳なくて胸が痛かった。

片や般若、片や菩薩の笑みでもって迫られている所を想像して欲しい。


温度差で心臓が縮むから。


しかも身体は既に治癒済みなので見た目程ダメージ受けてない上にポーション上乗せしてたんでめちゃくちゃ調子良いんです。

でも絶好調だなんて口が裂けても言えないし、鑑定されても良いように色々と隠蔽しておいたので、それを信じた大人達により安静と折檻の同時進行を課された僕達の居た堪れなさよ。


色々な意味で胸が痛かった………!


あ、僕の愛し子バレは無事防ぎました!

魔法に関してはバレるの前提だったので、鎌鼬は義父さん仕込みです。浮遊魔法は義父さんの魔力が篭った魔石(お手本)があったから土壇場で発動しました。と説明。

幸運の加護ガン積みしたお陰か、義兄と僕がのらりくらりと答える様子に時間が掛かると判断されたか、追及はそこそこに終わりました。


というか、それよりも他の追求がヤバかった。




◇◇◇◇◇




「何 故 後 方 へ 逃 げ な い」


圧が強い………


鬼教官による取り調べ(尋問)はまだまだ続く。

逃げろと言われた際、外壁内へ下がらず態々魔物に近付いた事をめちゃくちゃキレてるハインツさんに頭を伏せたまま僕は答える。


「申し訳ありませんでした。咄嗟の事で判断を誤り「嘘は良いから正直に話せ」


おぅ………建前だとバレてる………………


大迷惑をかけてしまった手前、穏便に済ませ早く次の行動に移すのが最善だと考えていたけれど(というか筋トレメニューを終わらせて一刻も早くペリュトンについて語りたいのだけれど)、ハインツさんは今回の事を受けて互いの認識の齟齬を見直しておきたいらしい。


……その上でキッチリガッチリ釘を刺すつもりだろうなぁ……


僕達はチラと視線を合わせ何方が口を開くか視線で遣り取りする。進んで釘をブッ刺される趣味は僕も義兄もないのです。

数秒の沈黙(戦争)の末、やがて折れてくれた義兄が渋々口を開いた。


「………外壁内に下がったら後は安全な後方で待機命令が出されると考え、守護の加護の範囲内から出ました。

もう少しペリュトンを観察するべきだと判断したからです」


「そもそも出られない筈だが……それで無事で済む算段はあったのか?」


「いえ、今の自分達の力がどれ程通用するのか、というのは観察した上で考察する予定でした。

あくまで直接対峙する意図はなく追手を撒いた後は無事を知らせ、作戦の邪魔にならない場所に移ろうと考えていました。

それと先輩方の戦闘をこの目で見て学びたかった面もあります」


実際は光の魔力に敏感過ぎるペリュトンに執拗に狙われたわけですが。


「その好奇心でお前らは死んでたかもしれないんだぞ」


そう言うハインツさんの声は固く冷たい。如何に短慮な行動であったかがありありと思い知らされ僕達は更に深く頭を下げた。


「はい、軽率な行いでした。本当に申し訳ありません」


「まぁ、私の加護を抜け出して見せた豪胆さは評価しようじゃないか。

まさか後ろに守っていた教え子に()()されるなんて私もまだまだだったよ」


僕達の行動力と隠れる能力が予想以上だったようで釘をガンガンに刺されまくる………

えぇ、まぁバレますよね。


僕達が部屋から動き出した頃、イライザさんとルイスさんは魔力を感知して僕達の動向を見張って(見守ってとは言わない)いたらしい。らしいのだが……


僕達の姿が砦から忽然と消えた。

僕の魔力が唐突に辿れなくなり、義兄も一緒に気配が消えてしまった。


僕達が動き出した事に気付き、一刻も早く安否確認をしたかったそうだが眼前のペリュトンとは膠着状態。

どうしたものかと考えあぐねていた所にまさかのめちゃくちゃ近くから僕の、しかもよりによって光の魔力を感知。更に退避指示を出したら出したで加護から抜け出す状況悪化(オマケ)付き。


イライザさんが掛けた守護の加護にはペリュトンは勿論、見習いも通り抜けられないよう条件付けがされていたから余計に驚いたと思う。

ペリュトンの魔力干渉でもヒビすら付けられないだろう程の、正に鉄壁の加護を抜け出したのだから。


しかも年齢やら身長やらやたら細かく指定して確実に通り抜けられないようにされてた。

あの緊張状態でそこまで考え一寸の綻びなく加護を展開するなんて流石、槍水仙(イキシア)級。

絶対に迂闊な事はさせないという意志を感じる。だけどそこで諦めなかった僕はやりました!


僕達がダメなら別人になれば良いじゃない。


僕の個人情報は普段から調べられないように色々ダミーを仕込んでいるのだけれど、そこから更に魔力操作、認識阻害、妨害、カモフラージュ、隠密、諸々掛けまくって別人に成りすましてみたらなんと通れた。やったね。

ミソは先輩方の模倣。念の為、持ってる装備品も先輩方の物だと認証されるように上掛けしたら引っ掛かることなく通れました!


まぁ悪戯成功を喜ぶなと絶賛釘を打ち込まれてる訳ですが。う〜痛い…………


「何処にいると聞いてそこだと言われた俺の気持ちが分かるか?外壁だぞ!?何の為の作戦と配置だ!!

しかも俺の指示にこれ幸いと加護を抜け出すんじゃない!!誰が前線ギリギリに飛び込めと言った!!久々に肝が冷えたわ!!!」


思考が逸れ始めていた所に僕達の所業を思い返したらしいハインツさんから雷が落ちた。因みにさっきも落ちたから本日二回目です。


「本当にねぇ。どうやったかを詳しく聞きたい所だけど話す気は………無さそうだね。

いいさ、それよりも今はその才能の使い方を見直してもらわないとだ」


いやだって……守護の張り方を参考にしようと鑑定画面を出したら理路整然と掛けられた加護の情報が出て来たんですよ。

しかも僕達用の檻になってるし。脱出ゲームをやった事のある人なら目の前に脱出要素があったら挑戦したくなりますよね??


とは言えないので


「試しに魔力操作で僕達の周りに魔力を重ねたら抜けられました」


「いや試すな!そこで学びの成果を発揮するんじゃない!」


「それだけで抜けられる訳ないよ。本当にどうやったんだい。

あぁ故郷の王室兄弟を思い出す…………勤勉な才能ある子に好奇心が加わるととんでもない事をやって退けるんだよ」


「聖ソリュンテーゼの王太子殿下方の事ですね。星母神様の恩寵溢れる方は我々の想像の遥か先を行きますから」


「本当にな。先生に普段何を教わっとるか知らんが、ここまでやんちゃだとは聞いとらんぞ」


「己の身、心、力は己で操れるようになれ。と常々説かれています」


「その教えをどう捉えたらこんな事になるんだ!

魔物好きだとは聞いちゃいたが、知的好奇心と理性を共謀させろなんて先生も言っとらんだろ!」


「はい。時々思ってもみない事で怒られます」


「…あぁ成る程ね。

坊主、嬢ちゃん。今から私達に()()()()()()()動きなさい。破った時点で家に逆戻りにする。

良いね?間違っても叱られる事を前提に利益を求めるんじゃないよ」


その言葉に義兄が音を立てずに溜め息を吐いた。

僕がのらりくらりと言葉を躱してたのに、その返事から真意を探り当てたイライザさんから重い一撃を打たれたから。


ん〜…僕達に効く言葉を良く分かってる………

こんな貴重な機会を強制終了だなんて………!


内心まだ足掻けないかと葛藤していると、容赦なくハインツさんの追尾射撃が飛んで来た。


「それに結果としてペリュトンから逃げられたから良いが無駄な動きが多過ぎる。

あの速さを体感したなら分かるだろうがリコは魔法で底上げしてギリギリだったろ。

あれを目の前にして冷静な判断が下せたか?

逃げる方角、地理、味方の動き、どれか一つでも正確に把握出来たのか?

そもそもペリュトンがどうしてやって来たのかすら理解して無かっただろう。


俺たちからそれを教わらなくて良いのか?」


……そうだ。縄張りから大きく外れた中継ポイントにペリュトンがやって来た時点で僕達は気付くべきだった。

索敵能力が優れているからこそ光の魔力を探知して態々向かって来たのだから、狙われるのなんて当たり前だよなぁ………あぁ、少し考えれば分かったのに。


的確な飴と鞭の言葉を受け完全にトドメを刺された。

漸く折れた僕達を見てイライザさんがフッと表情を和らげる。でも愉しげに笑う様を見て此方としては嫌な予感しかしない。


「前線に出るにはまだまだ半人前だね。

人を出し抜く才能はあったようだが、ペリュトン相手には分が悪かった。

身体はひよっこ、心構えもひよっこ、好奇心だけは一人前と来た。

あぁそうそう。この後ヴァイスデーゲンにも謝りに行くんだよ。作戦を完遂させた上に二人の尻拭いまでしてくれたんだから」


案の定、全く軽くない軽口が歌のように流れて来た。


やめて、もうこっちのライフはゼロなんです。

死体撃ちはマナー違反ですよ……!


「でも一切探知されずに動けるなんて完全に習得したら素晴らしい才能ですよ。

魔力を飛散させたのは致命的でしたが、精度が上がれば魔物とも無闇に接触しないで済みます。

でも悪用の危険性が高いので私はお勧めできませんね」


うぐぅ………身体中に刺された釘がめちゃくちゃ痛い。ルイスさんのフォローが逆に傷口を抉って来る…!


そもそも怒られるのは目に見えていた事だけど、ここまで事態が大きくなったのは魔力を飛散させてしまうなんて失敗をした僕が原因だ。

事前にペリュトンの特性について聞かされていながら魔力操作を怠り、危険な状況を作り、挙げ句の果てに触手の柱を築いてしまったのは僕…………はい………本当にごめんなさい。


最初に誘って来たのはお兄ちゃんだけど、よくよく考えたら7:3位の割合で僕が悪いのでお兄ちゃんにはあまり罰を与えないで下さい。五体投地で謝りますので、どうか、御慈悲を。


途中から自分のドジを思い出してくよくよぐすぐす謝り倒していたらいつの間にやら説教は終わっていた。


やっぱり筋トレ()はあったけどお兄ちゃんの罰が若干軽減されたからそこは良かった。

そこは良かったけど僕のぐすぐすは止まらない。


何故って諸々が終わった後にナギちゃんにコッテリみっちりガッツリ扱かれるのが目に見えてるから………!!!


いや、魔法に関してはナギちゃん鬼教官と化すから。本当に。普段の天真爛漫悪戯っ子お茶目コメットなナギちゃんが消えて失敗が無くなるまで無限に練習を続けるbotと化すから。本当。


ハインツさんが叱咤激励タイプの鬼教官ならナギちゃんはタスクを終えるまで懇々と身体に覚えさせる悠然タイプの鬼教官です。

ナギちゃん感情に訴えた位じゃ靡かないから。

難航してるとアプローチ変えてくれるし、的確にアドバイスくれるし、出来たらしっかり褒めてくれるしで最高の先生だけど向上の余地があれば幾らでも教えるから。


あぁ………家に帰ってからが恐ろしい……!!


そんなくよぐすの僕の隣では僕の頭を撫でつつ遠い目をした義兄が居る。

お兄ちゃんはお兄ちゃんでハレくんに戦闘訓練を付けてもらってるから考えてる事は大体同じ。

初動に始まり気付かれた時の対処、果てには逃走経路までを一個いっこ丁寧にダメ出しされるんだろうなぁ……で、効率的な動きを身体に馴染むまで反芻。復習。繰り返し。


「どうしよう………僕、地下から出られないかも」


「……俺も仕事以外はほぼ篭り切りだろうな」


研修の後に課題が山積みされてると言われてる気分だ。

んんん〜〜……兎に角、早く出発する為に動こう。


「お〜い、話は終わったか?こっち来いよ!」


向こうから聞こえるジャックとエミの声に返事をしながら気持ちを切り替える。

反省はしっかり忘れず、今は安堵を大切に噛み締めながら僕達は先へ進む為に準備を始めたーー



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