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「3匹の事。」



………星母神の、愛し子???

はて、これは何の意味なんだろう………

てっきりケルヴィナ人的な事が書かれると思っていたので、予想の斜め上な記載に頭の中にハテナが浮かぶ。


いや、もっと具体的に

"グレイヴス・ウィーネブルクの養子"

とか書いてあっても………


……という事はこれ、戸籍みたいな身分証明書じゃなくて、完全にゲームのステータス画面の扱いなのかな。


そうなるとこれは……称号???   

はぁ、と呆けながら目の前に並ぶ文字の羅列を眺めていると、

ちょんちょんと啄く感触が。

鳶さんが鑑定画面の下を示すようにクイっと下に首を振る。


んん?どれどれ、何か気になる事があるの……?


目線を下に向けると自動で画面は下にスワイプする。

そうやって流れた画面の下、そこにはこれまた不思議な文字が。


ーーー守護聖霊

  状態:未契約ーーー


んんん??守護聖霊とな???

何ですかそれは???   


再び、視線を鳶さんに移すと何やら物凄い勢いでそこを示していた。

他の2匹もじっと此方を見つめている。


……………………


………もしかして、この守護聖霊っていうのは

この子達の事?


その確認を込めて3匹を見ると頷く皆んな。

……成る程。皆んなは守護聖霊っていう存在なんだね。

ここに来て漸く僕の大事な友達の事を知れた気がする。


理由は分からないけれど、生まれてから、いや、僕の意識が芽生えてからずっと側に居てくれて見守ってくれていた。

今では大好きで大事な友達だと思っている。

この子達が望む事があればやってあげたいのだけれど………残念な事にそれが何か分からない。


恐らく、未契約となっている事を指しているんだと思うのだけど……契約とはどうやって行えば良いのだろうか?

書面に書くの??いや、僕今、赤ん坊だしな……

それじゃあ、血判???

ううん、そもそも契約を記す書類がない………


困ってしまって3匹を見るも、皆んなもまた困ったように顔を見合わせていた。

う〜ん、申し訳ない……契約が何をすれば良いのか分かれば良いのだけど……

いつもなら分からない事があれば本を浮かせて持って来てくれるのだけど今回はそれがない。

きっと契約に関する資料がないか、伝えられない事情があるのだろう。


………これは、覚悟を決めた方が良いのかもしれない。




◇◇◇◇◇




勉強会の翌朝、今日は義父さんがお休みの日だ。

いつもと同じように僕のお世話をした後、朝食を食べている。

この世界、珈琲があるみたいで義父さんは挽いた珈琲豆をドリップして楽しんでいた。


良いなぁ、珈琲……寒天かゼラチンがあれば珈琲ゼリーも作れるかな……

なんて考えていると、ご飯の終わった義父さんが食器を片付け始めた。


本当、食べるのが早いな……前世で聞いたけど教師って職業は早食が身につくらしい。

授業の時間以外にも次の授業で使う資料の整理や、テストの採点を行わないといけないからだそうだ。

また教師同士の定期的な勉強会もあるらしい。

教師という職業は古い知識だけを生徒に教える訳ではなく、知見を広めて絶えず新たな知識を身に付ける物らしい。


この世界でもそうなのか……世知辛いな。

それが教師の役目なのだとしても、ご飯位はゆっくり食べて欲しいと思ってしまう。

よし、僕が大きくなったら義父さんにゆっくり食事を楽しむ時間を作ろう!


なんて決意している間に僕は義父さんに抱っこされていつもの籠が置かれている部屋に向かう。

ここは居間になっているらしく、大きな暖炉の前にはふわふわの敷き物が敷いてありそこにロッキングチェアが一つ置かれている。そしてロッキングチェアの近くに置かれているローテーブル、そこに僕が使っている籠は置いてあった。


義父さんはロッキングチェアに腰を下ろすとゆらゆらと椅子を動かしながら僕の頭を撫でた。

これがお休みの日の日課となっている。

こうして揺られていると、いつの間にやら眠っているのである。義父さんの大きな手で撫でてくれるのも要因かもしれない。


「ノアは最近、また大きくなったなぁ。…これが幸せの重みなんだね」


義父さんが優しく話し掛けてくれる。

深く心地良い声音に段々と瞼が重くなって…………


………っは! いけない、今日は寝ちゃいけないんだ!

心地良い睡魔に抗い必死に目を開ける。今日は義父さんに伝えたい事があるんだ…!


あぅあぅと声を出し義父さんの意識を僕に向けて貰う。

ん?と不思議そうな顔をした義父さんを真っ直ぐ見つめ、軽く息を吸うと心の中で呼び掛けた。



ーー皆んな、ここに出て来て!



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