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異世界召喚おかわり、もう一丁っ!!  作者: HY
公爵邸の人々
13/88

VS神前

「結局、お前とマイヤーさん達は、どう言う関係なんだ?」

食後の紅茶を飲みながら、神前が切り出す。

「そ、その……。」

「いやいや、誤魔化さなくていい。に、肉体関係、ってやつだろ///?」

「ま、まぁ、そうだ……。」

クラスメートの美少女の口から出る『肉体関係』という単語に少し興奮する。

あと、自分から言っといてちょっと赤くなってる神前は可愛い。


「主従の関係を利用して……。」

「そっ……!」

「「それは違います。」」

神前の当然の疑問に、マイヤーとルヴォークが声を合わせて否定する。

「確かに私たちは主従の、主人と奴隷の関係にあるがっ、」

「ご主人様が無理強いされた事は一度としてございません。」

「まぁ、プレイの一環で無理やりっぽく、というのはあったが……。」

「ルヴォーク、お前もう喋るな。」


俺に叱られれ、凹んだルヴォークは放っておいく。

「無理矢理、じゃなくて良かったよ。」

「俺がそんな風に見えるのか?」

「そんな風も何も、そんなに女性に慣れてるなんて思ってなかったよ。

私の、元の世界でのお前の印象を改めて聞きたいのか?」

「俺が悪かった。」


「どうした?ニヤニヤして?」

神前に指摘されて気づく。どうやら俺は笑ってるようだ。

「いや、お前は今まで通りだな、と思っただけだ。」

「当たり前だろう。私はお前のコトなんて、なんとも思ってないからな。

筋肉はちょっとどころじゃなくイイと思ってるが、

まぁ、お前が誰とイヤラしいコトをしようと気にならない。」

「なるほど…。」

「なんだ、ヤキモチでも焼くと思ってたのか?

自意識過剰だな、お前。」

心をザクザク削られる…。


「俺もオマエのコトはどうでもイイが、面と向かって言われると傷つくな…。」

「もっと傷つけ。」

「?」

「お前は私の親友を傷つけた。だから、もっと傷つけ。」

「……どういう……。」


ーガタッー

神前が席を立つ。

「これ以上は、私が言うコトじゃない。」

食堂の扉で神前が立ち止まり、

「右も左もわからない異世界で、保護してもらって感謝している。」

「いや、それは王城では俺も都合が悪いから…。」

「それでも、私たちは感謝している。本当にありがとう。」

神前は振り返る事なく、食堂を出て行った。

食堂に残されたハヤトは机に突っ伏す。


「お疲れ様です。」

マイヤーから労いの言葉が。

「あぁ…。覚悟していたとはいえ、疲れた……。」

「問題は一個も解決してないと思いますが。」

「わかってるよ…。」


「……自室へ戻る。」

部屋で一人でゆっくり考えたい。

俺も食堂を後にする。



「飲み物です。」

なぜか自室まで着いて来たマイヤーが、紅茶を淹れてくれる。

「……ありがとう。」

一人でゆっくり考えたかったのだが……。

マイヤーの淹れた紅茶の湯気を見ながら、考える。


神前の発言から推測するに、

道祖は俺に好意を抱いている。

厳密には抱いていた、だろう。今はわからない。


信じられない。

クラス、学年でも人気者の道祖が、陰キャグループの俺を?

「俺なんかをどうして……?」

もっともな疑問がボソリと口を突いて出る。

「ハヤト様は素敵なお方です。」

質問したワケではなかったが、マイヤーが答える。

「そ、そうか、ありがとう。」

「それに、とてもお優しいです。奴隷の私にも優しく接してくださいます。」

「お、おう。」

「それに、地道に、真面目な努力家でもいらっしゃいます。

それは、ここまでの立身出世が証明しております。」

「照れるな……w」


「ですので……。」

マイヤーが俺の手を握り、

「ご自分を卑下なさらないで下さいませ。」


俺を励ますために、部屋まで着いて来たのか。

「マイヤーは優しいなw」

「お慕いしておりますゆえ///」

マイヤーの顔が赤く上気する。

いつもは厳しいマイヤーが時折見せるこの可愛らしい表情が、俺は大好きだ。


マイヤーの腰に手を回し、彼女を引き寄せる。

「……道祖と話してみるよ。」

「それがよろしいかと。」

「ひと暴れして、スッキリしてからのつもりだ…。」

「それは、とても良いかと思います♡」

二人の口唇が近き、触れるか触れないかの距離まで近づき……。

「失礼しますっ!」

今朝の仕返しとばかり、ルヴォークが突然部屋に入ってくる。

慌てて離れるハヤトとマイヤー、スッキリし損ねた。


「ルヴォーク…。」

マイヤーが呆れたようにルヴォークを睨む。

「火急の要件のため、失礼しました。」

険しい顔でルヴォークが最敬礼で応える。

「どうした?」

「はっ!北方の国境付近に、ボルワール帝国の一団が接近中との報告がありました。」

「数は?」

「およそ5千。」

「ハヤト様、いかがいたしましょう?」

「………。」

「ハヤト様?」

返事をしないハヤトをマイヤーとルヴォークが覗き込む。


「ふふ…そうか……。」

ハヤトが不気味に嗤う。

マイヤーが眉間を押さえ、ルヴォークは興奮している。

「スッキリさせてくれる相手が、向こうから来てくれたw」



つづく


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