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夕日に沈む

作者: 座時点、

ある曲を聴いて浮かんだ情景と今までを振り返って自分の心の歯がゆさを混ぜて、書きなぐった駄文の駄文です。


これを書いて自分は『ああ、なんて語彙力もなくストーリー性がいい加減だな』と感じました。


ちなみに、連載の方をサボった訳ではなく、なんだか自分の中にある、『これ』を吐き出さないと自分として精神的に平静を保てないような気がしたのです。


どうぞ、心象の旅に御付き合いください。


敷き詰められたタイルの道が斜陽に反射し、独特の中間色を作り出している。家の中では蝋燭の火が灯りだした。

坂の下は暗く、人気がない。けど、何かが待っているような気がよぎる。ゆっくり、微妙に緊張に近い感情と興奮を共にして、歩き始めた。



辺りを見ると、この町には深愁を抱いているように、静けさだけが漂っている。

歩みを進めていくと、街の雰囲気はますます暗く陰鬱な物に見えてきた。不気味な程、人気が無いことにやや背筋に寒気を感じ、足を前に出そうとする事さえも躊躇し、微妙に足に湿り気があると気が付いた。

だが、歩みを進めようと体は前かがみになっていた。

足を一歩、また一歩踏み出すと、辺りの暗さはまた段々と増していく。

道の向こうを見ても、なかなか先がよく分からない。


空を見ると、さっきより雲が厚くなり、どんより重たい雰囲気であった。


突き当たりの曲がり角を曲がって、なんだか物音がしたのに気づいた。

私は思わず、隠れん坊をする子供のように壁に隠れ、音のした方へ、ゆっくりと近づいてみても、そこには何もなかった。


胸の中で空気を入れた風船が音をたてて萎んでいくような感じがした。


すると、ポツリ、ポツリと暗い雲から雨が降り始めた。私は頭を手で覆いながら走って雨宿りをしたいが為に蝋燭の灯る家にノックをした。しかし、返事などは無く、ただ私に外で濡れていろとでも言いたげな雰囲気で、私の心の中に虚しい物が引っかかった。


寒く、冷たい雨を私は受けた。雨は一段と激しく降り、服は完全に濡れてしまった。雨が降った事で街の風景がさらに哀愁を帯び、街灯に反射する雨を目で追うことしか出来ない自分に物悲しさとやり切れなさを感じた。


仕方ないので歩き始めた、なんとか雨を凌げる所を見つけないと……。


パシャパシャと水たまりに足が浸かる度に音がする、子供の頃であれば愉快な物であるが、私にしてみれば只の悲愴である。

寒く、落ち込んでいく。


雨から逃れようとするが、受け入れる事しか出来ない現実。やるせない、ただ、その一言であった。


道端にあった濡れたベンチに腰掛けると、やはり、冷たさが身にしみた。歩き続けるには、厳しかった。かといって、座った所でどうにか成るという訳でもないだろうが。


ベンチに八つ当たりではないが、今までの蟠りをぶつけた。当然の如く、自分の拳にそれ相応の痛みが走った。


空疎の心は、雨の冷たさによって凍りついたようであった。


ここであることに気が付いてしまう、こんな事をしても、やはり、誰も私を助ける事はなく、きっと雨に打たれる私の情けない姿を嘲笑しているのではないかという錯覚が頭を殴ったような気がした。そして、最終的に自分は生きる価値など無いのではないかという疑念が胸の奥を痛くし、呼吸をするのでさえ、辛くなった。

私は外への理不尽さを心中で怒りを激しく燃やしながら、それに対して抵抗出来ない事に恐ろしく憤慨し、その煮えたぎるエネルギーのやり場に困った。


歯軋りの如き所行は私の痛んだ心そのものかもしれない。



ベンチから立って歩き出したが、喉の奥が抉られたような気がして、思わず足をよろめかす。淡々としたパシャパシャという水たまりのリズムがここで転調した。嗚呼、一体どうして他は私を見放すのだ。私が何をしたのか、私が何をしたのか。反駁する無用な問いが頭を貫く。溜め息をする事さえ、なんとも疲弊を感じられた。しかも、呼吸をする事も苦しいという感想を漏らすだけだった。

息を整えてまた歩きだした、けど、また足を止めて、自分の足元を見るしかなかった。



……。



行くしかない……。


黙ってここに居たところで、どうしようと言うのだろうか。



下がる事なんて、もう出来ないだろうから。



再び、足を前に出した。

靴に雨水が入って音がする。自分の体温で生温くなった水の感触は余り心地良い物ではない。


だが、黙って俯いているより前に進む方がまだ気持ちは軽かった。それが唯一の救いだった。だから、また足を前に出して進んだ。雨だって良いじゃないか。私は、今ここに居て、前に進んでいるという事実はあるのだから。


胸には、なんとも竹串が刺さっていた様であったが、少しずつ抜かれていくような感覚が自分でも分かった。

思考を転換し、自分を慰めてみた。




私は何とか歩いた辛かったが、それはある意味では自分の慰めでもあった。

私は、今まで誰も考えない端から見れば、阿呆らしく杞憂的な考えに苦しめられていたのだ。だが、そのように考えてしまうのも、また私なのだ。







歩みを進めていくと、開けた通りに出た。

段々と冷酷な雨は止んでいき、紫色になった雲間から星が見えた。



夜の瑠璃色が混ざった海と空。それと、彼らを分ける地平線が何とも私の心に深く入り込むかのようであった。



空の星々はささやかに瞬いていた。



私は走った。

そして、海岸線に着いた。


徐に、身を海に浸した。海は温かく優しく受け入れてくれた。






ありがとう、さようなら。






海からあがると、太陽は沈んでいた。

このまま星と対話するのも良いものだと思い、砂浜に横になった。



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