偽物大魔王、聖女(物理)に敗けを覚悟するも、なぜか求婚されてしまう。逃げ出したくても、もう遅い。
この作品は「なろうラジオ大賞2」の参加作品です。
千文字と超短いのはルールなのですごめんなさい(><)ノ
1
どうしてこうなった。
ただの人間だった俺の家族は、魔界で魔族のフリをして暮らしていた。
そして、大人になった俺は魔族のフリをして適当に立ち回っていたら、何故か魔王軍をトントン出世し、大魔王の座に就いてしまった。
いや、その理由はよく分かっている。
俺の部下が次々と手柄を上げ、全員が魔王クラスに出世してしまったのだ。
部下達は強いが、俺は少し頭が回るだけの人間に過ぎない。
そしてこの瞬間、俺を討伐する為に『勇者』と『聖女』のパーティが目の前にいる。
2
勇者と聖女以外はザコだった。
しかし、勇者の武器である聖剣と心を叩き潰す事に奇蹟的に成功した。
問題は聖女である。
この聖女、魔王以上にめっぽう強い『聖属性100%』の必殺技を持っている。
その上、ザコ魔族に滅法強い『物理』攻撃も完備。
誰が呼んだか知らないが、二つ名が『物理(聖女)』らしい。
この為、俺の部下の魔王達、中ボスクラスが手が出せない。
つまり、俺窮地。
3
「大魔王、私の前に滅びなさい。『聖☆インパクト☆パンチ』!」
あっ、やばい、俺オワタ。
……あ、れ、俺、生きてる?
何故か、俺は聖女の必殺技を喰らって生きていた。
なるほど、聖属性100%だから、実は人間な俺には効かないという事か。
彼女が聖属性に変換している力をほんの1%でも物理に割けば、俺の命はそこまでだろう。
こんなチャンスはもう訪れない。
俺は僅かな勝機を見出し、全力で聖女に打ち込む!
……掠り傷程度の聖女。
呆然とする俺。
今度こそ終わった。
「くっ、大魔王、私には全力を出さないというのかっ」
そこには悔しげに、しかし大きく勘違いしている聖女がいた。
もう一度言いますが、俺は全力で打ち込みました。
4
「貴方の力は分かりましたわ! 大魔王。貴方と私が本気で戦えば、この世界が危うい。ここは魔族と人間で和平を結びましょう」
俺がこの世にお別れのあいさつをしていると、聖女が妙な事を言ってきた。
も、もしかして、俺が強いと勘違いしてくれてるのだろうか。
「そうだ! 大魔王と私で婚姻を結びましょう。実力トップ同士の婚姻であれば、誰も文句は言わないでしょう(物理的に)」
「そ、そうだな。しかし、こんな牛頭の男でいいのか?」
俺は今、牛頭を被っている。
「もちろん。とても漢らしくて、カッコイイですわよ」
や、やばい。
これは被り物なんだ。
「じ、実は、我は頭が時に入れ替わるんだ」
「いいですわね。飽きがこないですわ」
よし。
俺は全てを諦めた。
最後までお読みくださりありがとうございます。
もしよければご指摘、ご感想など頂けますと成長に繋がります。
この作品は、もちろん単独で楽しめるように書いてます。
が、こんなのも一応ありマス(*´ω`*)
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・聖女視点はこちら
「サラリーマン聖女ですが、大魔王討伐に失敗したらリストラです。こうなったらリストラ回避の為に求婚して、絶対墜としてみせます。」
https://ncode.syosetu.com/n6807gr/
※紹介作のリンクを感想欄の下あたりに用意しました。