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爽快⭐️アスラワールド  作者: バットコート
8/13

進歩後歩

詰め合わせセット



今思えば、あの時から壮大な陣取りゲームは始まっていた。見えないところで話は進んでいたのだ。

過ちといえば、そうだろう

オリア学園、世界全体があまりにアスラ、アルトを軽視していたことだ。

人類が作った全ての技術を含んだ生命体と言う点での解釈が間違っているわけでわけではないのだが、それが指す意味について。深く考える必要があった。


アスラは人類が作ったものではないのだから。



「進路かぁ、ここに入るのが目標だったし特に考えてないよ~」


学園生活も半ば、あと三年すれば卒業だ。ピチピチJKタイムは有限。それをどうやって使うかも、重要だが進路のことも考えなければならない。授業も進路関係が増えて、これからのことを考えると憂鬱だ。


「俺はこの能力を力なき者のために使う。アスラに触れたときに気づいたんだ。人を救う為に俺は生まれたんだと。」


聞いてない。彼は真面目に言っているのかもしれなけど、馬鹿にされている気がする。またへんなラーメンを食べているからよけいそう見える。


「キリトくんに向いてると思うよ。それ。」


ハルは真面目な顔で答えている。


「えへへ、まぁね。」


「...別にいいんじゃない。」


本心だ。


「えっと、ハルは、さ、どんな進路を考えてるの?」



「......」


彼女の箸が止まる。


「俺は、別に能力とか関係なしにやりたいことをすればいいとおもうんだけど...」


ハルはなにかもう決めているけど言いたくないんだろう。でもいつか話して欲しいな。それと本の内容についてね。


「今は秘密っ!」


可愛い。ハルは食器を片付け、金色の髪を揺らしながら、足早に教室へ駆けて行った。


「ハルのために能力を使うとかいえば良かったのに。」


「は?」


じれったいなぁ。まだバレていないと思っているのだろうか。あんな喋り方して気づかないわけ無いだろ!


「ハルのことが好きなんでしょ」


「いや違うけどなに?」


即答。

…は?キメ顔で言いやがって。ふざけてるのか、マジなのか、虚勢張ってるのか、なんなのか。


「こうなったら力づくで…」


「こっちにはアレがあるんだぞ。」


でた、最近ことあるごとに使ってくる、黒歴史痛みわけ極悪魔術。いやこいつは存在が黒歴史だからダメージはないのかもしれない。たちが悪いなぁ。


「あんたがこういうことしてるのハルにいっ」


「もう遅いわっ!!」


吹っ切れた彼にハルは通用しないか…。対話幻術が出てくると毎回全てが終わってしまうから早めにどうにかしたい。しかも今回は周りに人目も多数。これじゃ同盟で済まないぞ。

畜生、キリトに対抗できる力があれば…。私もっ。私もこいつの口を封じるアルトが欲しいっ!!


C-12の録音機能を開くキリトに釣られるようなかたちで私もC-12のインターネットからアスラを呼びだした。一か八か。ここで私もアルトを身に着けるしかない!


キリトが対話幻術の使用体制に入る。ギリギリのタイミングで私もアスラに触れる。脳を駆け巡るびりびりとした感覚。嫌いじゃない。

ただ今までと自分が変わった感じは特にしない。


「自身の秘密を言えー!!」


キリトは勝ちを確信しているような顔で言った、大声で。もうこれが決まったらもう退学しかないか道はないかもしれない。今初めて恐ろしいと思った、冗談ですまないことを平気でやってくるキリトのことを。

マズイマズイマズイ。口が勝手にっっ。うわああああああああああああああああ。



「..................?」


「あ、あれ?」


なにも起こらなかった。もしかしたら本当に私にアルトが身についたのかもしれない。どんなアルトかじっくり検証...。って今はそれどころじゃない。キリトの処理が先決だ。


「おいイキリト」


「...じゃあなっ!」


キリトの体がテラスの方へ飛んでいく。こんなことをしておいて謝りもせずに逃走とはマジで許せねぇ。


「逃がすかぁっ!」


数日前までは米袋を持ち上げるのも精一杯だったはずなのに自身の重量を操り、軽々と十数メートルを跳躍している。あれだけの時間しいた練習は無駄ではなかったらしい。このままじゃ追い付けないっ!。

その時、キリトの体がドスンと地に落ちた。彼本人ではなく他者の影響で落ちたようだ。よく見ると地に這うキリトの隣に、イスと同じくらいの大きさの人が立っているのが見えた。


「おい、暴れすぎだ。ここ食堂だぞ。」


もっともだ。彼はかなり背が低いが教師らしい。ここは大人しく二人で叱られるとしよう。くそう、キリトのせいで新年早々教師に目をつけられてしまったじゃないか。別にそこまで怖そうな人じゃないのが幸いだが。童顔だし。最終的にキリトには反省文が課せられた。ざまみろ。



後に調べた結果、意外にも私にアルトが付いたわけではなく、キリトの対話幻術が使えなくなっていたことがわかった。こんなことばっかに使うのだからアスラも呆れていたのだろう。彼は人類の技術を悪用しすぎた。剥奪されて当然だな。私にアルトが付かなかったのはちょっと残念だが、結果的に対話幻術は消えたので良しとしよう。ちなみにキリトの重力操作は残っているらしい。それ私にくれよ。



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