第五話 「お客さん」
お久しぶりです。よろしくお願いします。
「今日は、誰もきませんね」
「そうね。 今日から、第五十次世界大戦が始まったからよ。 きりがいいし、もうこの戦争で終わるんじゃないかしら」
「きりがいいからって、終わるはずないですよ。 胡蝶さん、適当すぎです」
「あら、そうかしら」
胡蝶さんが、少し笑みを見せた。
「そうですよ」
俺は胡蝶さんの考えていることが、よくわからない。根拠がなくいっているようにみえて、実は確信を持っているんじゃないかと思わせる素振りがある。
「じゃあ、そろそろ準備しましょうか。 たまには、働かないとひめちゃんうるさいから」
「ひめちゃんはやめてください。 そうですよ。 ここの店主は胡蝶さんですよ」
「はいはい。 今日は、忙しくなりそうね」
と言い残し、奥の部屋に入っていった。
「胡蝶さん、店の方向逆です……って、もう部屋に入ったし」
仕方がないな。居候させてもらってるから、手伝いはしないとな。
店の掃除をし、銀さんの料理の手伝いをしているうちに、日がかけ始めた。
「銀さん、今日はずいぶんと豪華ですね」
「はい。 今日はお客様がいらっしゃいますので……」
「そういえば、胡蝶さんが忙しくなるっていってたな」
「はい。 ひめはどうして、胡蝶様が駄菓子屋をしているか、ご存知ですか」
「知らないです。 確かに、人は来ないし胡蝶さんは店ほったらかしですしね」
「そうですね。 あまりじっとしていることができない方ですから、向いてはいませんね」
銀さんは、まだ胡蝶さんが店の外へ出れた時代を知っている人の一人だ。前に聞いた話だが、胡蝶さんは、結構世界に影響力を持っているらしい。外に出れた時代は、それはもう強く美しい人で、今は失われた国のロストメモリーで騎士をしていたと聞いた。今も美しい人だとは思うが、毎日だらだらと生活送っている姿しか見てない俺は、強い姿は想像できない。
国が滅んだ理由と何か関係があるのだろうか。今日来るお客と何か関係あるのだろうか。
「はっきり、いいますね……今日来るお客と何か関係があるんですか」
銀さんは、少し悲しい声で
「まあ、すぐわかると思います」
と、言い残し料理を居間に運びに行った。
今日も、一日お疲れ様です。睡眠は、大切だなと日に日に感じています。