第十一話 「高校生も、ちゃんとしています」
今回は異世界の話ではなく、ちゃんと高校生してるんだぞアピールが出来たらいいなと思っています。
更新遅れてすみません。
高校二年生になって数週間が過ぎた。相変わらずの田舎の風景が広がっている。田んぼと一時間に一本しか来ないバス停……。
ほんとに何もないが、こういうのは嫌いじゃない。夕日は綺麗に見えるし、空気は美味しい。それに、友達もいる。
「おはよ」
声をかけられて、横を見た。
「あ、龍おはよ。 今日、朝練ないの」
こいつは、奥村龍。野球部に所属し、背は俺より高い。そして、一年の時からの友達だ。一年の時、隣の席だった龍の最初の印象は、俺よりも身長が高くて、恐いイメージだった。しかし、勇気を出して話しかけてみると、優しく仲間思いでいいやつだった。それから、何となく話すようになり、昼ご飯を一緒に食べたり、困っている時に相談したりする仲になった。
「おう。 昨日、練習中に猪出たから、休みになった。 あの猪、結構大きかったな」
「い、猪……」
「たまにある。 犬とか猿とか」
龍は顔色を変えずに話していた。これが、あれか……田舎あるあるというやつなのだろう。
「猪か。 見たことないな」
「好みはわかれるが、猪美味しいらしい。 いつか、食べてみたい」
龍の声色は、少し楽しそうだった。
「本物の猪を見て、恐いではなく食べ物に見えてしまうあたりが龍らしいな」
「そうか」
「うん」
そんなたわいのない話をしていると、いきなり龍が走り出した。向かった先には鳩が数羽いた。鳩は龍に驚いて、飛び去っていく。
「龍、いきなりどした」
龍はくるりと俺のほうを向いて、笑顔で
「鳩がいたから」
と、答えた。
「子供か」
「鳩見たら、追いかけたくなる」
「子供か」
「ナイスツッコミ」
俺は、龍に追いつきまた横に並んで歩きだした。
時間がたりない。