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第一話 「今日も、異世界生活始まります」

 初めまして、井上雪都いのうえ ゆきとです。

 初投稿です。よろしくお願いします。 

 前に広い草原、右に魔王、左にクイーンヴァンパイア、後ろに勇者。

 そして……空にはドラゴン。今日も、いつも通りの日常が始まる。


 俺の名前は姫川陸。一年前から、異世界の駄菓子屋に居候し、今日から高校二年生になる。


 一年前、高校受験を控えていた冬。

 両親に、都内の高校ではなく、地方の高校に進みたいと相談を持ち掛けてみたが……


「りっちゃん、ママは悲しいわ。 そんなにこの家を出たいの? わかったわ! 昨日、ママがロリータ服で進路面談に学校へ行ったことを怒ってるんでしょう」


「い、いや、確かに、驚いたけど、怒らないよ。 前から行きたかったんだ」


「だから、パパはロリータではなく、ゴシックの服にしときなさいって言っただろ」


「え、どっちも、驚くよ。 服と進路関係ないよ」


「だって、せっかくパパに買ってもらった服だったんだもの。 大事な時に着たいじゃない」


「ママ……よし、今度ゴシックの服を買いに行こう」


 と、まあこんな感じで俺の受験の話を流されてしまった。


 その話をした数日後、母に無理やり連れられて、ゴシックやロリータ服が売っている店に来た。


「あーこれかわいい。 どうかな、りっちゃん」

 選んできた服は、黒を基調とした……なんかこう……黒魔術みたいなものが使えそうな感じがした。


「あー、うん。 いいんじゃない」


「もーテキトーなんだから。 今、選んでる服は、りっちゃんの卒業式で着ていく服なんだよ。 あ、お会計してくるね」

 少し楽し気に、レジのほうに向かっていった。

 

「絶対、主役の卒業生より目立つよ」

 母の趣味に、何も口は挟まないが、卒業式に来る姿を想像すると少し周りの視線が怖いと思った。主役を食う母親というのもなかなかシュールである。


「おまたせー。じゃあ、本命のお店に行こう! りっちゃんすごく喜んでくれると思うわ」

 そういいながら、服屋の向かいにある少し古びた建物の前に来た。


「ここはなに」


「りっちゃんが前に地方の高校に進みたいて言ってたでしょ。 でも、なかなか会えないのは寂しいし、ママとパパも知らない人や土地に行くのも不安だから……異世界を経由して、通えばいいと思うの。 胡蝶さんって人が、異世界で駄菓子屋を経営してるから、そこで居候させてもらってね! 胡蝶さんいい人よ! パパも安心だって言ってたわ」


 俺はこの時、何が何だかわからなかった。母が不思議な発言をする時はあったが、まさか俺の受験の話で『異世界』なんて言葉が出てくる日がこようとは……

 しばらく、考えても理解が出来なかった俺は、この場所から離れられるなら、もう何でもいいやと半分投げやりな気持ちで


「じゃ、それで」

 と、答えた。


 それから、無事、地方の高校に合格し、異世界の駄菓子屋に居候をし、今にいたる。

 両親に感謝したいことが一つある……二人のおかげで、何が来ても、臨機応変な対応とあきらめを覚えた。


 父さんと母さんの息子は、今日もたくましく生きています。ありがとう。


「さてと、胡蝶さんを起こさないと」


 こうして、いつも通りの異世界生活が、今日も始まる。










 緊張で震えて眼鏡がずれました。


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