現実[4-2]
目を開くと暗い天井が見えた。
「はぁ……はぁ…………」
夢から突然目覚めた私は、大量の汗を掻いてベッドに寝ていた。冷たく背中を垂れる不快さ……。眠気は星空の彼方、数万光年向こうの宇宙の何処かへ飛んでいってしまっている。
何が、起きたのだろう?
私には解らない。解らないけれど――何か、奇妙なモノが体の中に入り込んで来たような……そんな気がする。
「ぁ、ぅ、お、えぇえぇぇぇ……っ」
この事を考えていると、急にとてつもない吐き気が襲ってきた。ごみ箱を抱え込み、暫くえずく。中身は出てこない。寝ているうちに消化されてしまったのだろう。しかし喉の奥まで競り上がってくる苦味を帯びた液体は、口に雪崩れ込むのさえ嫌で、必死で飲み込もうとした。しかし飲み込めども飲み込めども、何回でもやって来る。……きっと吐き出してしまった方が楽だろう。だが無理な物は無理だ。
暫くして、なんとか収まったものの、
(暫く……あの夢は見たくないなぁ)
そんな気持ちが現れ出てきていた。あれを、あのグルグルと渦巻く酔いそうな黒い何かを想像しただけで、私はシュウ君に会いたいと言う淡い思いなんて忽ちにして崩れ去る。まるで砂の城のように。……
あの黒い波に呑まれた瞬間、シュウ君なんて存在しないんじゃないかと思った。私がシュウ君に抱いている、その、……庇護欲なのか可愛い後輩的な物なのか、はたまた……恋慕の一種なのか……そんな想いは、私の中で創られたマガイモノなんじゃないかと錯覚していた。そうに違いない。そして――、シュウ君も然り、きっと私の事なんて夢の世界の住人程度に思われたんだろう。辛うじて名前が付けられている住人A、その位置付けに追いやられていたに違いない。
もう眠れないなあ……。
目を開いたまま、日が昇るのを待つ。午前3時は暗かった。あの闇と同じように、月をも隠して沈んでいる。と思えば、雨が降っていた。静かだから気付かなかったが、よく聞けば雑音の様に耳に届いてきていた。
日が昇って尚日が見えない雨のなかを歩くは色とりどりの傘達。その中に私は居ない。
今日は、家に引きこもって過ごした。何もしたくなかった。そして、
知らない間に、私はまた眠りに落ちていた――
これで完全にストックが無くなりましたので、次の更新は少し遅くなると思います。
展開思い付かない上にプロットまるきり逸れてる事実……ウボアアアアア