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今回から主人公視点です。
「おい、なんでオレらがギルドまで行くんだ?」
風でなびく赤い髪を皮製の紐で纏めながら、フレイがたずねてきた。
「仕事だよ仕事」
「そうか」
フレイは興味が無くなったかのように、会話を終わらせ空を見ている。
さて現在俺らはギルドに向かっている。
基本探索者の俺らはギルドに用は無い。
だが稀にギルドには手におえない依頼を俺達に依頼する事がある。
魔族の討伐、王族の暗殺、突如発生したダンジョンの調査などな。
おおかた公には公表できないものばかりだ。
依頼自体は面倒だがそれを受けるだけの報酬をあいつらは持っている。
「今日はどのような依頼でしょうね」
メイはニコリと笑うと、少しウキウキとした様子でたずねてきた。
「俺の勘では討伐系かな」
「それは楽しみですね」
「あいかわらず戦闘が好きなようだな」
メイは俺の返答に少しごまかした表情を浮かばせていた。
皆勘違いするが、普段荒々しいフレイが戦闘狂に思われることの方が多い。しかし実の所を言うとメイの方が断然戦闘狂である。むしろフレイの方が戦闘において冷静に対処し、とても知的に戦闘を行う。対してメイは感情的で、考えるよりも直感で動いている。しかしそのことは認めたくないのだろう。どうもフレイの前ではお姉さんでいたいようだ。
そして、なぜ俺が今回の依頼を討伐系だと思ったのか。それはもちろん勘ではない。
今回俺達が来たこの小さい国は、この世界のにある3つの大国の内の一つである水国の西の外れにある人間と亜人が共存する国だ。確か、名は「碑国」だったかな。どうも建設時に多くの石碑が出土したため、このような名前だった気がする。そして最近やっかいな石碑が出土したという話がこの業界に流れている。内容は石碑を掘り返していた者達が次々と行方不明になるというものだ。さらにそれを確認しにきた探索者も行方不明になったという情報もつい最近追加されていた。また、この碑国というのは平和な国でこのような話を聞くのはかなり珍しい。これらの理由から俺が今回の依頼は討伐系だと考えたわけだ。
さて、そろそろギルドが見えてきた。
一見すると建物は木材で作られているようだが、かなり頑丈そうだ。この国には良い職人がいるのだろう。質素だが高級感があり、俺が好きなタイプだな。
「古くせぇな、このギルドは」
「フレイ、声が大きいです」
俺の気分をぶち壊し、文句を言いながら乱雑に扉を開けフレイが入っていき、すぐ後に続くようにメイが入っていき、自然とため息をつきながら少し間を開け後に続いて入った。
中に入ると、正面にカウンターがあり依頼をする窓口とそれ以外のことを行う窓口があり、フレイが依頼をする窓口にいる女性に絡んでいる姿が見えた。
一度目をゆっくりと閉じもう一度開く。
しかし残念にも先ほど見たものは現実だったようだ。
メイはどこに行ったのだろうか、このような場合メイがフレイを止めるはずなのだが...。
辺りを見渡すと、端の方で犬と戯れるメイの姿が見えた。
またも肺から自然と発生する、空気の塊を一気に排出しフレイを止めるため、カウンターへ向かった。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
何か誤字などがあれば教えてください