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鉄と炭素と超硬合金  作者: 炭グステン
8/9

仕上げ加工と分析Ⅰ-粗研ぎから鏡面研磨まで-

超硬の製作工程も山場を越えてついに仕上げまで来たぞ!

ここからは結構地味だけど、仕上げの見栄えは大事だぞ!!


*仕事の都合で最長2か月ぐらい更新できないかもしれないけど安心しろ!!!

完結までは書くつもりだぞ!!!!

第4章 仕上げ加工から分析

第1節

 第3章までで、超硬合金の作成工程の概要を述べた。本章では、焼結後の仕上げや、製品の分析について触れたい。まず、本節では焼結後の超硬合金の研磨加工について解説する。

 焼結後の超硬合金は、前章までで説明したとおり、僅かに存在する不純物相の熱分解などで脱炭が生じる。脱炭は主に超硬合金表面で起こり、W6Co6Cを主成分とする有害相(η相と呼ばれる)が生成する。また、脱炭を避けるために、超硬合金を炭素粉末中に埋めて焼結を行なった場合は、過剰に存在する遊離炭素が表面に付着する。これらのη相や遊離炭素被膜はWCに比べてかなり脆いため、必ず表面処理によりはがしておく必要がある。

 そこで、行うのが研磨加工であるが、機械的に研磨する方法と、薬品によって表面を溶かす方法がある。後者では、超硬合金を薬品に浸けるだけで良いように見えるが、WC相とCo相での薬品への溶出速度の違いに注意する必要がある。また、使用する薬品自体が有毒であり、使用後の処理などのコストや危険性の問題がある。したがって、機械加工が適当である。

 機械加工の場合であるが、実験室レベルで行う小さな超硬合金試料であれば、自動研磨装置があればよいが、サンドペーパーでも十分である。サンドペーパーで研磨する際の注意であるが、かなり強く抑え付けながら研磨を行なえるので素早い加工が可能である代わりに、力が均等に加え辛いため、どうしても試料が湾曲してしまうので慎重に削るべきである。削る際のサンドペーパーやセラミックス砥石の目の選択は、試料の厚さに余裕があれば、#120から#1200までできるだけできるだけ細かく目を変えながら研磨するのがいいだろう。急ぎの場合であれば、#240、#400、#800、#1200でもXRD等の表面分析ができる程度には加工可能である。目の粗さを変える目安であるが、経験上、研磨方向の研磨痕以外の傷が完全に消えてから10~15分ほど削れば最低限の見栄えは確保できる。

 工業的にはグリーンカーボランダム(SiCを主成分にした研磨剤)や、場合によってはダイヤモンド砥石等を使うが、詳しい作業工程は企業秘密である場合が多いため、ここでは割愛する。

 さて、ここまでが包丁等でいう粗研ぎにあたる。超硬ドリルの刃先のように、滑らかな平面を出す必要がない用途であればここまでの工程で研磨は終わる。しかしながら、研究用の試料や金型として鏡面が必要になる場合はさらに仕上げにバフ研磨を行う。バフ研磨とは、スポンジやフェルトに研磨剤を滲みこませて、これを回転工具に取り付けて研磨を行う方法である。バフについては、特にどの素材でもよいが、鏡面になるとバフ程度の軟らかさでも傷が入るため、超硬合金をバフから離す際には、回転が完全に止まってからゆっくりと離さなければならない。また、研磨剤の選定であるが、代表的なものに、緑色のクロム酸化物系、白色のアルミナ系研磨剤がある。クロム系はホームセンターでもよく見かけるし、鉄鋼材料の研磨でもよく用いられるようであるが、超硬で使用すると研磨後に表面がくすんでしまうことがる。また、衣服や作業場の汚れが酷い。特に、爪の間に入るとなかなか取れず、サンドイッチなどを手で掴んで食べるときに少し抵抗がある。一方アルミナ系では、粘膜への刺激や肌荒れの欠点があるものの、仕上がりは非常に綺麗で、簡単に洗い落とせる。

 以上、本節では超硬合金の表面仕上げについて述べた。メーカーはともかく、大学の研究室といった手作業で加工する場では、仕上がりが、細かな超硬合金組成の違いや作業者の手先の感覚に大きく左右されるため、本稿はあくまで参考程度に捉えておいて、各人で最良の条件を模索して欲しい。

仕上げ加工に入りました。正直なところ、結構重要な工程で仕上げ後の超硬は綺麗なのですが、作業自体がダルくて結構苦手でした。あと、実験の都合で研磨までは行いましたが、専門ではないため内容の取りこぼしや間違いがあるかと思います。ですので、お気づきの点がありましたら是非指摘して頂けると光栄です。

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