表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鉄と炭素と超硬合金  作者: 炭グステン
2/9

原料混合の話 episodeⅠ

本項から実際の作業工程に関する詳細な内容を紹介するぞ!

筆者の体験も含めて様々な作業技術もどんどん記述していくから期待してくれ!

もちろん作業の原理に関するアカデミックな話も増えてくるので、学校の理科に満足できない中二なみんなも期待していいぞ!!

第2章 焼結技術について

 前章では大まかな原料の生産技術から、超硬合金製造の流れを解説した。引き続いて、本章では、原料であるWCおよびCo粉末から超硬合金を製造過程についての詳細について述べる。

 前章では、原料粉末の混合にボールミルやアトライター等を用いることを解説した。ここでは、混合に関する、混合方式や実際の作業における工夫といった踏み込んだ内容を解説する。


第1節 原料粉末の混合と成型Ⅰ-混合方式の選択-

 粉砕混合の方式には、大まかに分けて二つの種類がある。1つは、混合容器内に材料と共に、金属あるいはセラミックスのボール等を封入し、容器を回転させることで、粉末-ボール間ないし粉末同士の衝突により粉砕、混合を行う方式である。ボールミルやアトライターがこれにあたる。もうひとつが、不活性ガスで試料を高速で飛ばし、粉末同士の衝突によって粉砕混合を行う方法である。

 コストや、材料回収率の問題から、超硬合金の製造には前者が用いられる。また、これらのボールミルやアトライターについても、粉末にヘキサン等の溶媒を添加する湿式、使用しない乾式混合等の細かい種別がある。筆者の経験上、微細な粉砕を求める場合は湿式が適当であると考える。ただし、湿式混合においては、溶媒中での沈殿速度の違いによる試料の混合不良についての検討が必須である。乾式混合についても、原料取り出しの際に、溶媒を使用して回収することがあり、この時の原料の分離には注意が必要となる。

 原料の分離に関する具体的な解決策として、使用する溶媒の粘度を上げることで、粉末の沈降速度を極端に下げる方法が良いだろう。溶媒にヘキサンやエタノールを用いる場合を例に挙げると、溶媒5 mlに対して、0.3 ml程度のグリセリンを添加するとよい。WC-Co系超硬合金では、本焼結の前処理として、脱脂・仮焼結を行なう必要があるが、脱脂は300~400℃の温度範囲で行わなければならない。グリセリンは380℃程度で完全に蒸発するため、この条件に当てはまる。ちなみに、これより高温になると、Coの熱拡散による成型体の凝固が始まるため、蒸発した溶媒が抜け切れなくなったり、溶媒の熱分解によって生じる水分によるWCの脱炭が発生する。したがって、グリセリンを添加した溶媒の使用を勧める。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ