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第9話

「いやっ!」


 振り落とされた刀を咄嗟に避けたが、肩に鋭い痛みが走り、輝夜は思わず膝をついた。

 そこに真上から再び刀が振りかざされた。

 殺される! 輝夜はギュッときつく目を閉じた。

 だが、刀は輝夜に当たる様子はなかった。

 恐る恐る目を開けると、輝夜と刀をかざした黒マントの男との間に、もう一人黒マントの男が立ち、その男が剣先を最初の黒マントの男の首筋にピタリと当てていた。


「下級死神か。塵とともに消えたくなければ、指輪を返せ!」


 この声はロードだ! 助かった、という思いと、また助けられてしまったという思いが輝夜の中で交差する。


「くそっ!」


 占い師だった黒マントの男がふっと姿を消し、男がいた場所には指輪が転がっていた。

 ロードはひざまずいて骨だけの指で指輪を拾い、座り込んだままの輝夜の指に再びはめた。そして、切りつけられた輝夜の肩を強く握った。


「いやっ! 痛いっ!」

「しばらく我慢しろ」


 そのまま数分が経っただろうか、ロードが輝夜の肩から手を離した。


「傷が……!」


 切られた服はそのままだったが、深く切りつけられたはずの傷が跡形もなくなっていた。


「言わなかった俺が悪かったが、死神の婚約指輪と結婚指輪には、死神と同じ能力を持つ力がある」


 ロードは立ち上がり、座り込んだままの輝夜に手を差し伸べた。肉も皮もない骨だけのその手を恐る恐る借りて、輝夜も立ち上がった。


「死神と同じ能力…?」

「つまり、人を殺す能力だ」


 その言葉に輝夜は驚いた。


「そんな力、いりません! 外してください!」

「お前はそう言うだろうと思って昨日は言わなかった。指輪は外さない。昨日言ったとおり、その指輪をつけている限り、他の死神からは狙われない、つまりお前を他の死神には殺させない」

「さっきのは……」

「一度死神の指輪を付けたことのある者を死神が殺すと、殺された者の持っていた力を殺した死神が全て手に入れることができる。死神には階級がある。上の階級ほど使える能力は多い。さっきの下級死神程度では、相手に逃げられない程度の中途半端な結界を作って、直接刀で相手を殺す程度しかできない。もっと強い能力が欲しかったんだろう」


 そう言えば、昼間襲われた時も、ロードは武器一つなく、瞬時に4人の男を殺した。


「……ロードは階級の高い死神なんですか」

「まあな。俺くらいになると、さっきのような治癒能力や、死にかけている人間を救う能力もある。――6歳のお前を救った時のように」


 ロードが話終わると、そこは、街角の交差点に戻っていた。ロードも紫仙先生の姿だ。


「その指輪は2度と外させるな。お前の身が危ない」


 そう言って、紫仙は再び輝夜を家へ送り届けた。


「学校をサボって、フラフラするんじゃない。明日はちゃんと学校に来いよ?」


 最後は教師らしく締めくくり、紫仙は姿を消した。

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