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第3話
その後の帰り道も、家に帰ってからも、輝夜はずっと恐怖を感じていた。
だが、誰に相談すればいいのだろう。
こんな話、誰が信じてくれるのだろう。
この2ヶ月は人間でいられる最後の2ヶ月だと言われた。
これから2ヶ月間、ずっと怯えて過ごさなければいけないのだろうか。
それに……。私はあんな骸骨の花嫁にならないといけないのだろうか。
あの死神の……骸骨の姿を思い出し、輝夜は改めて恐怖に震えた。
それなら……それならいっそ……。
深夜、輝夜は誰もいない台所へ静かに入った。
包丁を取り出し、自分の首元めがけて思い切って振り下ろした。
……つもりだった。
だが、強い力で、包丁は床に叩き落された。
ハッと気づくと、目の前にさっきの死神が立っていた。
「俺の許可なしに死ぬことは許さない」
死神がそう言った。
「お前は、2ヶ月後には俺の花嫁になる。それを忘れるな」
そう言って死神はまた姿を消した。
輝夜は全身の力が抜け、台所の床に座り込んだ。
目の前には包丁があったが、もう、自殺する気分にすらなれなかった。