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日暮しの自己紹介

ここのサイトには合わない題材だろうし、拙文ですが、大目にみてやってください。

ピピ、ピピピ、ピピピピピピ


〈ガシッ〉


毎朝お決まりの電子音で目が覚めた。時計に目をやるとAM8:15。


「んー」

軽く伸びをして、布団から這い出た。テーブルの上の、クシャクシャになったセブ○スターに、手を伸ばす。


「ちっ。んだよツイてねぇな。」

寝癖だらけの髪を掻きむしる。ラスト一本が折れていた。仕方なく灰皿を漁り、シケモクを探す。


「お、長いじゃん?昨日のもったいないは、今日のありがたいだな。」




俺は無職の24歳。無職と言っても事実上の無職で、稼ぎはある。

正式には、年間幾らかの不労所得を申告していないから、脱税なのだが。


俺はパチプロだ。ただパチプロを目指していた訳じゃない。何となく勝てる様になっただけ。


そもそも、俺はクズだ。


義務教育期間中、素行も頭もズバ抜けて悪かった。

おかげで「バカでも入れる高校」の入試すら出来なかった。「人間なら入れる専門学校」にしか行けなかった。

しかし、続くハズもなく、一年の途中で辞めた。


タチの悪い友達と街を徘徊し、暴力的な青春を過ごした。

だが、タチの悪い友達も一人一人真面目に働き始めた。

それでも俺は全く働く気はなかった。気が付いたら、タチの悪い友達にも完全に取り残された。


見かねた両親がくれる小遣いを握りしめて、パチンコ屋に入り浸った。

当時の両親は、俺に小遣いを渡してないとドコで何やって金を作るか?不安だったみたいだ。


しかし。小遣いをせびる事がなくなり、生活費を入れ、若い頃に起こした事件の示談金や弁済金も親に返すようになっていった。

現実逃避や暇潰しのパチンコがいつしか飯のタネになった。






......俺はシケモクを吸いながら、昨日余り玉で貰ったビニール袋を漁った。中にあったカルパスを口に放り込み、常温のヤク○ト2本を、飲み干した。


おもむろにテレビを着けた。やはり世捨て人になっても、社会情勢は気になるものだ。


しばしテレビを見てボーっとした後

「さて、と。タバコもねえし、シャワー浴びて出掛けっかな?」

部屋を出て、古い住宅特有の急階段を下りた。



「おはようさん」

母親が洗濯をしていた、素敵な朝の挨拶だ。


「あ、おはよ。そういえば昨日お父さん怒ってたわよ。『アイツはいい歳して、まだうるさいバイクに乗ってるのか?』って。」


「『いい歳して、まだ仕事もしないのか』じゃなくてか?」


「それは両親揃って諦めました。バカを産んで、バカを育てたから仕方ないって(笑)」


「.....バカが産んで、バカが育てたからバカになったんだよ(笑)」



他愛のない日常会話も、機械を一日相手にしてるせいか、心がホワッとする。ありがたい。



シャワーを浴びて、身仕度を整え、家を出た。

「うるさい」単車に跨がる。

お洒落にカフェレーサー風にした単気筒だが、興味なければ4発の族車も「うるさい」のは一緒だ。


キックでエンジンをかけた。物干しに洗濯物をかけてる母親に「行ってくるよ」と声を掛けて走り出した。


コンビニに寄り、タバコと缶コーヒーを買い、コンビニ前で一服して再び走り始めた。



最近は通称[駅前]に通う。

私鉄沿線の中規模駅付近にパチンコ屋が軒を連ねる。

この地域には駐車場がない店のが多い。二輪じゃないと不便だ。

駅前の大半は40玉交換(2円50銭)、大半の店が交換図柄ありのラッキーナンバー制をとっている。





そうこうしてる内に駅前のB店についた。


駐輪場に単車を止めて、朝イチ専用入口に向かう。


中規模駅近辺だけに、街並みには多くの勤め人が忙しなく歩いてる。


それを横目にしたら、バカな俺でも劣等感は感じるもんだ、胸にモヤモヤするものがある。それを誤魔化す為に歩道にツバを吐いた。「俺はバカですよ、モラルないですよ」とクズを強調する。


隣接する自販機で再び缶コーヒーを買い、並びの列に混じる。顔馴染みの常連と下世話な会話をして、いよいよ軍艦マーチの時間だ。


軍艦マーチは、さっきまで談笑していた人達を一気に殺伐とさせるデスマーチだ。






俺は、最近は主に綱取物語を打っている。

朝イチ通常モードで立ち上がるのだが、当たりの度にややこしいシステムで、モード移行をさせる。

ほぼ当たらないモード、連チャンモード、通常モードの3つがある。


立ち回りとしては、朝イチ当たりを引いて連チャン抜けたら、換金ギャップ無視して流す。当たりを引いてない台に移動する。


少しコツがあって、大当たり回数が表示されない店で、当たりを引いた台を覚えておく。それだけでハマリモードを回避出来るからだ。



.....その立ち回りが飯のタネだ。


俺の頭は記憶力が人並み以下だから、カンペに当たり台番をメモしていく。


当たってない台は、他の客にも狙われるが持ち玉流して移動する客は少ない。そこをガンガン移動していく訳だ。


釘は最低限しか気にしない。最初の一台は良い台を抑えるが、後は嫌気がさすほどに回らない台だけには座らない。とは言っても、夕方大半がハマリモードの台に、サラリーマンの方々がせっせと現金投資をするから、綱取は回る台には事欠かない。



今日も今日とて、難なく当てるが、図柄に嫌われる。

朝イチ何で当たってもラッキーナンバーになる時間帯を抜けたら、横綱無制限、大関と金星3と5と7でラッキー。2と4と6で交換なんだが。不思議と4に好かれる日だ。


そもそも図柄に強弱があり、横綱図柄は極端に当たらない。唯一のスーパーリーチ(軍配リーチ)になったとこで、時間の無駄。当たれば驚く程。


今日は持ち玉遊技が少なく現金投資を強いられ、出玉のレシートも多い。幾ら突っ込んで換金が幾らか?収支が把握しきれてない。


こうなるとハタから見れば「アイツはチョロチョロ動いて良く当てやがるな」と思われるが、見た目ほど儲かっていない、云わば当たり損の日になる。


レシートを景品に替えたら、ほら案の定だ(笑)


朝イチからの当たりなし台も、そろそろ売り切れに近付く。


その後は、各店舗のハネモノコーナーの解放台を、狙い漁る。クセを把握してない台が多いため、解放台の釘を考慮して、早めの当たりが多いだけか?本物か?を確かめてから打つ。


機械によって展開によってまちまちだが、一台3千円投資の1万1千円バックのプラス8000円と考える。4000発定量で定量の出玉確認後の当りの最中の出玉を考慮してだ。釘とクセの条件さえ合えば運に左右される事は少ない。


まずは、落としも戻しが13でやたら鳴くだけの道路工事を一台打ち止めにしてから、ジェットスキーで揉んでる最中、仲良し店員が「もう9時だぞ、早く帰れよ(笑)」と来たので、軽口を叩いて、ジェットカウンターにて玉を流す。こうして一日が終わった。



財布の中に交換し忘れたレシートがないか?確認して、くわえタバコのまま、景品交換を済ます。


駐輪場で単車に跨がり、本日の水揚げを計算。どうにか日銭を確保。


ツイたりツカなかったり、一日のブレは仕方ない。

毎日勝てる立ち回りをしてれば、その内に結果は黙ってついてくる。


それでも、勝てば嬉しい負ければ切ない日暮し稼業だ。



さて。昔の悪友が親父さんの跡を継ぐために修行中の居酒屋でも行こう。奴の修業の邪魔にならないように、酒は煽らず飯だけ食って帰るとしよう。


「うるさい」バイクのエンジンを掛け、帰路についた。











果たして続けられるのか?(笑)

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